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2007年06月30日
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カテゴリ:カテゴリ未分類
 続けて渋谷に移動して『サイドカーに犬』を観ました。


 20年前の夏、母が家出した日に、
 突然我が家にやってきた
 きれいな女性・ヨーコさん(竹内結子)。
 少女だった薫(松本花奈)に「オッス!!」と挨拶し、
「食事をつくりに来た」と言うヨーコさん。
 ドロップハンドルの自転車に乗り、
 タバコをスパスパ吸うヨーコさんは、
 薫にとっては別世界の住人でした。
 しかしそんな薫にヨーコさんは、
 友人として対等に接してくれるのでした。
 型破りだが温かい心を持つヨーコさんに、
 小4の薫はすっかり魅了されていき……。



 1980年代の夏を舞台に、内気な少女と破天荒な女性の
 心の交流を優しく綴った、芥川賞作家・長嶋有のデビュー作を
 映画化した作品です。
 竹内結子2年ぶりの映画出演作であり、
 彼女のそれまでの「清楚な女性」のイメージとはがらりと違った
 女性を演じたことでも話題となった作品です。
 
 家族に気をつかって、生真面目でいつもオドオドしているような
「長女気質」の小学4年生の薫ちゃん。
 それまでお母さんに、いつも口うるさく
「ああしなさいこうしなさい」と言われ続けていたためでしょう。
 しかしお母さんの家出の後に現れたヨーコさんは、
 そんな薫の「生真面目でオドオドしているようなところ」も
「薫の個性」として認めてくれます。
 例えば質問に対して考えこんで黙ってしまう薫に対して
 ヨーコさんは、「人は正直であろうとすると無口になる。
 でもそんな人はなかなかいないし、私もなれない。
 だから尊敬する、薫のこと」なんて言ってくれます。
 またヨーコさんは、「いろいろ指示を出して自分に従わせる人と、
 他人の言いなりで従う人と、どっちがいい?」と質問したあと、
「私はどっちもイヤだな」と薫に言います。
 すなわちヨーコさんは、
「上から目線」「有無を言わさぬ二者選択」による
「大人-子供の縦関係」としてでなく、
「対等でフラットな関係」として接してくれる、
 薫にとって初めての大人だったのです。
 薫のことを「子供」としてでなく、「対等な友人」として
「日常の中の小さな冒険」に連れていってくれるヨーコさんによって、
 彼女はそれまでの「殻」を自然に破り、
 それまでの「大人の目を気にしてビクビクしていただけ」の
 状態から脱皮し、母親が帰ってくるかどうかに左右されない、
 自分の確立への一歩を踏み出すきっかけになります。

 ヨーコさんみたいな女性に出会い、
「今まで自分が知らなかった世界」を教えてもらったことは、
 薫にとってかけがえのない宝物になりました。
「ヨーコさんがいた夏」は、薫にとって幻のような非日常な日々でしたが、
 同時にかけがえのない日々でもあったのです。


 実はボクも、中学生の時に「薫にとってのヨーコさんとの出会い」と
 似た体験をしたので、この「映画」での薫の気持ちがすごくわかるのです。
 両親とも仕事で家にいる時間はほとんどなく、
 兄とも当時はほぼ敵対関係のような感じで、
 学校でも友人だと思っていた奴らからこっぴどく裏切られ、
 誰のことも信用出来ず、鬱々として
 毎晩一人街を彷徨っていたボクに、
 父の尺八の弟子だったある人が声をかけてきました。
「音楽が好きなのか?70年代ロックかぁ、懐かしいなぁ、
 何、ジャズを聴いてみたいけど何を聴いたらいいかわからない?
 そうか、じゃあこれからジャズ喫茶に行こう」と、
 神保町の「ジャズ喫茶」にかたっぱしから
 連れていってもらいました。
 別の日には新宿に行って、「ピットイン」などの「ライブハウス」のほか、
「リーズナブルな洋服店」や「紀伊国屋書店」、
「桂花らーめん」などなどいろいろ連れまわしてもらい、
 別の日には「渋谷」「青山」にも連れていってもらい、
 いろいろ話をきいてもらったり、話をきいたりなど、
 それまで「知らなかった興味深い大人の世界」をいろいろ教えてもらいました。
 薫とおなじように、ボクにとってもこの人との出会いは
 幻のような非日常な出来事だったのですが、
 大人になった今思い返してみると、
 あの幻のような日々がきっかけになって、
 今の自分を形づくっているのだなぁと、あらためて思えてきます。
 どうしていろいろ連れまわしてくれたのか、
 そして今その人はどうしているのかわかりませんが、
 薫にとってのヨーコさんと同様に、
 ボクもその人への感謝の気持ちでいっぱいですし、
 ボクにとっての心のヒーローです。
 そしてボクも、今の子供たち(とりあえず兄の息子たちかな)に
 同じような体験を与えられたらいいなと思っています。


 ヨーコさんのような「自分の知らない世界を教えてくれる人」に
 かつてめぐりあったことのある人はもちろん、
 めぐりあえなかった人も含めて、
 観終わったあと清々しい気持ちになれる「映画」だと思います。
 特に30代以上の女性にお薦めです。












 サイドカーと犬1















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最終更新日  2007年07月04日 12時33分24秒
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