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続けて『それでも恋するバルセロナ』を観ました。
婚約者のいる真面目なヴィッキー(レベッカ・ホール)と 自由奔放なクリスティーナ(スカーレット・ヨハンセン)の 親友同士の2人は、バカンスでスペイン・バルセロナを訪れます。 ある日、2人は画家のファン・アントニオ(ハビエル・バルデム) と出会い、それぞれ惹かれていきますが、ヴィッキーは アントニオへの愛情を秘めつつ婚約者と式をあげ、 クリスティーナはアントニオと同棲生活を始めます。 そんな中、アントニオの元妻マリア・エレーナ(ペネロペ・クルス) が自殺未遂をしたとの連絡をアントニオが受け……。 いやぁ、久々にウディ・アレンらしい映画が帰ってきたという感じであり、 ボクがウディ・アレン映画にはまったきっかけである『アニー・ホール』や 『マンハッタン』や『ハンナとその姉妹』をほうふつとさせる雰囲気に満ちた、 シニカルかつ軽快な語りによるウディ・アレン風ラヴ・コメディーです。 そしてウディ・アレン映画の舞台を、バルセロナに移したらこうなると いった感じの開放感とわかりやすさにあふれています。 なので従来のウディ・アレン映画特有の、神経症的な会話の妙は 影をひそめているのですが、その代わりに誰にでもあてはまりやすく 共感されやすい恋愛法則およびエピソードが展開されていて、 それでいてしっかりスパイスの効いたウディ・アレンらしい 作風の作品に仕上がっています。 そしてどこかエリック・ロメール監督の作品をほうふつとさせる 雰囲気も感じられます。 いずれにしても70歳代の監督が撮った作品とは思えない 若々しさに満ちています。 そして今回は、従来の恵比寿ガーデンシネマでの単館上映でなく、 シネコンなどで広く上映されていることからもわかるように、 ウディ・アレン作品でありながらも、 広く受け入れられやすい作風になっています。 出演者それぞれみな良いのですが、中でもセクシーな画家役を ハビエル・バルデムにしたことが大きなポイントだと思いました。 いかにもイケメンなプレイボーイ風の俳優ではあらわせない 独自の魅力を醸し出すことに成功しており、 この男だったらどんなにガードがかたい女でも魅了されて しまうであろうという説得力に満ちた自然な魅力にあふれています。 そして個人的にはレベッカ・ホールに魅了されました。 なので男でありながらボクは、レベッカ・ホール演じるヴィッキーに 感情移入して観ていたのでした(^^) あまり内容について語りすぎるとネタバレになってしまうので、 大まかに感じたことを書いてみますが、 要は他人に対して寛容かどうか、レッテルを貼って批判して いないかという器の大きさが肝心だということを あらためて認識させられました。 主人公の画家の魅力は、そんな器の大きさとともに、 自分にも他人にも正直かつウソをついていない率直さに あるということも認識させられます。 そして出会い一つでその人の価値観がガラッと変わってしまう ことを本作品は象徴的に描いており、良くも悪くもボクたちは、 そういう世界の中で生きていることをあらためて知らされます。 例えばヴィッキーはバルセロナに来るまでは、 それまでの婚約者との生活に満足し、満ち足りた夢を描いて 何の疑問を持たずに幸せだったのに、 バルセロナでアントニオと出会ったことによって、 今まで知らなかった魅力と価値観を知ってしまい、 そしてそれまで嫌悪感を抱いて避けていたタイプの男の魅力を 体感してしまったことによって、 それまで満足していた男のチンケさをイヤというほど知らされてしまい、 これから先の夫との生活を、暗雲垂れこめた妥協の人生と 感じるようになってしまうのですから、おそろしいものです。 だからといって、知らなければ幸せだったかというと、 そうとも言い切れず、そんなこんなのいろんなことを、 軽妙な作風の中で考えさせるという哲学的な奥深さもある、 まさしくウディ・アレンらしい作品です。 スパニッシュ・ギターと夜のムードはすごく合い、 かつ効くことがあらためてわかりました。 テナー・サックスとギターによるデュオの、 ロマンチック・モードを引き続き探求していこうと あらためて思いました。 本体HPの「好きな映画コーナー」に、 『それでも恋するバルセロナ』を載せました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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