思い出の箪笥~100年の時を超えて~
お客様から古い古い和箪笥をお預かりしました。かれこれ100年以上も前に職人の手で造られた和箪笥です。お祖父さまの代から使われた思い出ある品でありながら、もう何年もご実家にある屋外の倉庫で不用品と共に眠っていたそうです。(この写真は実際倉庫の中で撮ったもの)取っ手は錆び一部は破損、本体も中はボロボロで、日の下でまじまじと見た時には一時お客様自身が補修を断念されかけたほどの状態でした。ですが、子供の頃から親しんできた家具、このまま朽ちさせるのは忍びなく、今のお住まいに置くのに具合の良い腰までの高さのチェストに再生することになりました。本体の補修が済んだところ。上部は切断し、下側を生かしました。殆ど使えない状態だった内側は新しくしました。この時点で一度お客様にお見せし、色決めをして頂きました。諦めかけた箪笥が形になると、お客様のテンションがものすごく上がるのがわかります。迷いに迷って色を決定した後、ハイテンションのまま帰られました。そして、完成。錆び錆びだった取っ手は南部鉄のような黒に。本体はてかりの少ない濃い目の茶になりました。お客様ご自身でも手をかけたいご様子だったので、多分お引き渡し後にぬか袋で磨くなどされるのだと思います。絶対大事にしてもらえる、そんな確信があります。近年、家具も家も買いっぱなしで手をかけない方が増えています。バブル世代は特に、何かにつけて"買ったほうが安い"と言われるのを耳にします。古き良きものはお金では買えないし使い捨てにも出来ません。だからといって不便を我慢することが必ずしも良いとは考えていません。リフォーム、という言葉にはどことなくとっつきにくさを感じるかもしれませんが古いものを生かし美しく機能的にする再生にはとても大きな意味があります。家具も家も時々手をかけて、そして快適に使っていく、今後もそういうことのお手伝いを続けていけたらと思います。***この箪笥は今週水曜日までL&L店内にて展示中~*最後まで読んで下さった方↓クリックして頂けると嬉しいです*