DVD　LABORATORY

公開当時、観ようかどうか迷って観なかった映画。
ＤＶＤが発売になってなかなか評判がよろしいようで、観てみました。
やり直したい過去なんて腐るほどあるけど、実際やり直せたらどうだろう？

以下はネタバレの内容になっています。ご注意を。
この映画は予備知識があると楽しめないかも知れません。

この映画では何より印象的と感じたのは役者さん達。

主演であり、製作総指揮も兼ねたアシュトン・カッチャー。
彼の作品は初めて見ましたが、パッケージにもあるように目が印象的な俳優さん。
彼はコメディ俳優だったらしいが、この作品ではシリアスな演技で魅せてくれます。
コメディアンとは思えない男前っぷりでしたね。

そしてこの映画では、子役がとてもすばらしい。
子供時代のシーンはこの映画ではとても重要で、
子役の演技が映画の良し悪しを左右するといっても過言じゃない。
子役のエヴァンとトミーの演技は凄い。必見です。

タイトルのバタフライ・エフェクトの意味は、
ある場所で蝶がはばたけば、地球の裏側で竜巻を起こすというカオス理論を表したもの。
決定論的な法則でも、初期条件の僅かな差が挙動の大きな違いを生み、その予測が困難化する現象。

でもなんかこの映画違わない？
過去を少し変えれば、現在が大きく変わる･･･ってことですが、
私が見る限りでは、かなり大きく過去を変えてますぜ。
見知らぬ母児を爆死させたり、幼少期に友人を背後から刺すなんて。
人生変わらないほうがおかしい。
極めつけには愛する人をダイナマイトでぶっ飛ばすなんて･･･。

現在に大きく起因する過去をダイレクトに変えちゃってるわけだから、現在も大きく変わって当然。
どちらかといえば、現在のシチュエーションには然るべき影響を持つ過去が存在する
という事を丁寧に描かれた脚本では？

一つの過去が修正されれば、また新たに修正すべき現在が現れる。
人生やり直してもやり直しても思い通りの人生になんかならない。
そんなもんだよなー人生は。
でも、エヴァンは最後までそれに気がつくことが出来ず、辛い選択を迫られる。

この映画のキャッチフレーズは「映画史上最も切ないハッピーエンド」

最後には彼女への愛を捨ててまで、周りの人が幸せになる事を選んだエヴァン。
何が切ないって、自分が最初っからかかわらないことで、
周囲の人達が皆ハッピーエンドになっているという点。
自らの存在自体が否定されてしまってますがな･･･。
これは切ねぇよ。


ディレクターズカット版では、
エヴァンが母親と二人で食事した後に、占い師に見てもらうシーンがあり、
エヴァンが自らの存在や運命に疑問を持ったり、母親との絆（？）みたいのが描かれていて、
個人的にはカットしない方が良かったと感じました。

まぁ、ディレクターズカット版では、エンディングが異なっており、
そのためには欠かせないシーンなんだけど、こっちのエンディングはなんか嫌い。
これこそ、エヴァン自らが自分の存在を全否定する悲すぎる結末。
後味が悪すぎるし。

【ストーリー】
エヴァンは、ごく普通の少年だった。時折、記憶を喪失<ブラックアウト>してしまうことを除いて･･･。
13歳の頃、エヴァンは幼なじみのケイリーたちと悪戯をして大事故をひき起こすが、
その瞬間も彼の記憶は空白だった。
大学生になったエヴァン（アシュトン・カッチャー）は、治療の為に7歳のころからつけていた日記を手にする。
その日記を紐解いたとき、いつしか彼の意識は日記を書いた当日の光景の中にいた。
幼馴染みの少女ケイリーと交わした約束「君を迎に来る･･･」。
しかし彼女との約束を果たせなかったため現代のケイリー（エイミー・スマート）の運命を狂わせたことを知ったエヴァンは、ある選択をする。
それが取り返しのつかない、新たな状況を引き起こすとは夢にも思わずに・・・。

２００３年/アメリカ/本編１１４分/原題：THE BUTTERFLY EFFECT
監督・脚本：エリック・ブレス＆Ｊ・マッキー・グラバー
製作総指揮：アシュトン・カッチャー
出演：アシュトン・カッチャー、エイミー・スマート