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私の好きなアーティスト【KiKi】

kiki キキ

幼い頃からピアノと歌を習い、数々の音楽コンクールにて入賞。数回にわたり渡米し、ボーカルトレーニングを受け、様々な有名ミュージシャンに影響を受ける。また教会に通い、黒人音楽の原点である「ゴスペル」に生で触れ、それがきっかけでソウル、R&Bなどを歌うようになる。日本人離れしたソウルフルな歌声は多くの人を魅了し、新聞、雑誌、TVなどでも多く取り上げられている。
 シンガーであると同時に、ICFマスクワイアの音楽ディレクターでもある。また北海道内に点在するクワイアの指導も行うなど、ゴスペルの指導者としても活躍中である。
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【彼女の4曲入りミニアルバム「GOD BLESS YOU」が6月20日に発売】
制作元:ゴスペル企画
発売元:ライフ企画
取扱い:ラッツパックレコード
CD:GPMK-1 1,500

とても心に残る歌詞で、キキの素晴らしさがよくわかる1枚でした。とっても大切にしてます♪

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【北海道新聞 2003年7月7日掲載記事より】

「人に詩(うた)あり」

ゴスペルでCDデビュー KiKiさん(36)
- 虐げられた者の思い 自分の人生と重なる ー

 5月上旬、ススキノの小さなライブハウスの舞台に、彼女は立っていた。あの時、私は彼女の魂の歌声に確かに引き込まれた。会場のざわめきは遠いものとなり、心の震えが押し寄せた。
 札幌市西区発寒の主婦KiKi(キキ)さん(36)は黒人の教会音楽、ゴスペルの歌手だ。家族離散、不登校、暴走族。自らが歩んだ長いトンネルを抜けたところにゴスペルの世界があった。
 釧路管内白糠町生まれ。帯広の中学校に通っている時、父が営んでいた会社が倒産した。家には毎日のように借金取りが押しかけた。「だんらんがなくなって、幸せだった家庭が急に冷え込んだ」
 中学に行かなくなり、深夜、帯広の街を遊び歩くようになった。父と母がある日、家を出た。兄と二人で残されると、生活はさらにすさみ、暴走族に入り、盗んだシンナーを吸った。けんかに明け暮れた。
 16歳から帯広のクラブで働いた。17歳で札幌に出て、夜の街で働くようになった。救いようのないような人生にも思えた。もし、転機と呼べるようなものがあるとしたら、21歳の時に、札幌市白石区内で自分のパブを持ったことだ。
 音楽だけは好きだった。小学生のころ、琴と三味線をやっていた。歌もピアノもほめられた遠い記憶がある。店に置いたピアノ。指が鍵盤を走り、R&B(リズム&ブルース)を口ずさむと、気持ちが慰められた。請われてススキノでも歌うようになった。
 やがて黒人音楽に魅せられた。「どうしてもアメリカで本物を聴きたくなって」、27歳の時ロサンゼルスに行き、黒人街の教会を訪ねた。

 着飾った黒人女性がすさまじいパワーでゴスペルを歌っていた。「迫力に驚いた。体が震えだして止まらなくなった」。虐げられたものが神の福音を求めるゴスペル。教会に集まった黒人女性と、自分の人生が重なった。
 ゴスペルこそ、黒人女性が自分に戻れる唯一の世界なんだ、となんとなくわかった気もした。
 30歳の時、母ががんの宣告を受けた。救いを求めるように札幌の教会に通った。聖書の言葉が心にしみた。
 ネオンの海を強がって生きてきたときに分厚く顔を覆っていた「仮面」が割れて落ち、米国でゴスペルを歌う彼女たちと同じように、「本物の自分になれた」。
 自分を捨てたと憎しみ続けた母を許せるようになった。好きなのに彼の前では素直になれず、長年友達付き合いをしてきた米国人男性とやっと結婚できた。
 教会の聖歌隊の人たちから「歌を聴かせてほしい」とせがまれるようになった。歌ってみた。心の中に、あの時黒人女性がきっと感じていた、力強い喜びが沸き起こった。生きていて良かったと思った。次第に札幌の各地の教会の聖歌隊を指導する機会が増えた。

 そんなKiKiさんが6月20日、自分が作詞作曲した4曲のゴスペルを収録したCDで全国デビューした。後押ししてくれたのは、KiKiさんの歌に感動してくれた人たちだ。例えば、同市西区の牧師波多康さんは伝道のかたわらゴスペルの市民グループを主催していた。迫力と繊細さを併せ持ち、周囲の空気を支配するKiKiさんの歌声を聞き「すごい。世界で通用する」とほれ込んだ。
 波多さんは資金を集め、米国ゴスペル界の大物をプロデューサーに招いた。米国のミュージシャンたちが「彼女の歌声を世界に送り出すためなら」と米国でのCDレコーディングに続々参加してくれた。CDのタイトルは「GOD BLESS YOU」(神の祝福あれ)とつけた。
 みんな、愛されているんだよ。投げやりになっちゃいけないんだよ。「生きる意味なんてない」と言っている若い人たちにつたえたい。みんなに神の祝福あれ、と。言い尽くせぬほどの思いをタイトルに込めた。
 今、夫と男児2人と暮らす。トンネルを抜けたあとにつかんだ温かな人生。「主婦の自分がCDを出すなんて夢のようです。でも、家族と一緒にいる時間を減らしてまで歌うつもりはないですよ。家族が私の一番の宝物だから」
 (札幌圏部 相内 亮)

 

 




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