渡辺あやさんの言葉
「カーネーション」が終わってしまいました。 脚本家の渡辺あやさんって、どんだけ老成してんのよ?といつも舌を巻いていましたが1970年生まれなのね。 NHKのサイトでのインタビューの一文が無くなるのが惜しいのでメモ。 初めて現場に入られた夏木マリさんが「アウェーな感じ」とコメントされたのをきいてハッとしたんですが、そもそも「晩年を生きる」ということ自体が「アウェーを生きる」ということなのだと思うんです。72歳の糸子もまたアウェーのど真ん中にいる。自分を守ってくれた人たちを亡くし、若さを失くし、懐かしい商店街もすっかり様変わりしてしまった。新しい時代の人たちのための街並みに変わってしまっているんです。 パーンと時代が飛んで始まった23週、私もそうだし、きっとドラマを見ている人も、ある喪失感のようなものを感じたと思うんですよね。実際にはむしろ自分たちの時代に近づいたはずなのに、すごく遠くへきてしまったような不安と寂しさ。それは22週間をかけて糸子と60年を一緒に過ごしてきたからこそ共有できる痛みとも言えます。22週で糸子が北村に言った、「うちは、ここで宝物を抱えて生きていくんや」というセリフは、これから老いる自分への決意表明のようなものだったのでしょう。その老いが現実となった23週から、糸子のまったく新しい挑戦が始まると思うのです。