前門の虎、後門の狼　<年子を抱えて>

鉄道好きな女性のことを「鉄子」というらしい。
たぶん私は、いや、まちがいなく「鉄子」なのだろう。

あれは26歳になったばかりの春、東京へ長期で出張するように言われた。
当時 女性の長期出張者は他に例を見なかったし、上司も心配していたようだが、
私は嬉しくてたまらなかった。新幹線に乗ることが頻繁になる、
むこうでもいろいろな路線に乗ることができる、と それはそれはワクワクしたのだ。
（まったく小学生みたいなヤツだな…。仕事については何もコメントなしか？）

忘れもしない 赴任した初日、定期入れを買おうと思い、
ここ（大崎）から一番近い百貨店はどこですかと職場の人に尋ねた。
渋谷だと言われ、早速 行ってみた。そして渋谷の西武で定期入れを購入した。
その帰り、山手線が恵比寿で止まってしまった。
住まいは五反田である。あと２駅なのに。

山手線が止まるなんてことはよくある話だが、
何しろ東京に来た初日で、勝手もわかっていないし、
いつ動くのか不安でたまらなかった。ふと気づくと、外回りは動いていた。
そう、せっかちな私は運転再開を待っていられず、
逆周りで１時間近くかかって五反田まで帰ったのである。
電車に乗ることが好きだからこそ、そんなアホなことができたに違いない！
実際、およそ１時間の逆周りは非常に楽しかったのだから。

神宮や横浜で阪神の試合があれば必ず見に行っていた。
神宮球場へ行くには山手線から地下鉄銀座線に乗る。
横浜スタジアムへ行くには京浜東北線に乗る。
阪神の試合でなくても、暇があれば野球を見に行っていたので、
総武線（東京ドーム）、京葉線（千葉マリン）、西武池袋線（西武ドーム）も乗った。
西武ドームへは、行きは池袋線、帰りは新宿線などとパターンを変えたりもした。

途中で、五反田から武蔵小山に引っ越したので、東急も毎日の足となった。
横浜へ行く時は、京浜東北線だけでなく東横線も使うようになった。
蒲田まで東急で行って京浜東北線に乗ったこともある。
わざわざ田園都市線まで乗りついで 横浜線を経由して関内まで行くこともあった。
面倒でも京急に乗ることもあった。

行くアテもないのに乗ったのは中央線、南武線、武蔵野線、常磐線。
小田急や京王、東武、京成もそうだ。

地元である名鉄は、大学時代に毎日乗っていた名古屋本線は、
名古屋以北も乗ったことはあるし、支線もほとんど制覇（！）している。
名鉄本線のアナウンスなら任せてくれ（って誰も頼んでないぜ）。

名古屋の地下鉄は、東山線の名古屋以西と鶴舞線の丸の内以北を除いては制覇している。
あ、でも最近 名城線が環状線になったんだったわ。
そこはまだ足を踏み入れていない！いずれ制覇してやるわよ。

大阪へ行く時は、新幹線でなく わざわざ時間をかけて
近鉄アーバンライナーを使うことも多かった。
南大阪線では、あべの橋から藤井寺まで乗ったことがある。
（どうして天王寺って言わないのだろうか。まったくややこしい）
南海ラピートには乗ったことがない。岸和田まで行った時にすれ違ったことはあるけど。
まぁいずれ坊と一緒に乗ればよかろう！
我らが阪神電車で行ったことがあるのは三宮まで。
阪急は京都線に乗ったことがあるだけ。
京阪は天満橋から三条まで乗った。

大阪の地下鉄は 一応どの路線も乗ったが、末端のほうまでは行っていない。
全部の駅を制覇したのは四つ橋線のみである。

ここは田舎で、車がないと生活できない地域であり、
普段は電車に乗る機会などほとんどなく、余計に電車が恋しくなる。
坊と電車のＤＶＤを見ていると、楽しくて仕方がない。
息子がいてよかった、ダシにして電車のＤＶＤを買えるじゃないの（笑）。
坊が電車男になるのは純粋培養だわ。