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2011.01.25
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カテゴリ:人類学

kawanobu日記/ネアンデルタール人は植物を調理して食物にしていた;肉食への偏りは大きかったが;ジャンル=進化人類学 画像1

 

kawanobu日記/ネアンデルタール人は植物を調理して食物にしていた;肉食への偏りは大きかったが;ジャンル=進化人類学 画像2

 

kawanobu日記/ネアンデルタール人は植物を調理して食物にしていた;肉食への偏りは大きかったが;ジャンル=進化人類学 画像3

 

 20数万年前に氷河期のヨーロッパに現れ、おそらく現生人類ホモ・サピエンスとの生存競争に敗れて2.8万年前に絶滅したと考えられるネアンデルタール人は、旺盛な代謝を維持するために、これまで肉食に特化していたと考えられていた。実際、ネアンデルタール人の骨の元素同位体分析研究で、彼らの食性は肉食のオオカミやホッキョクギツネと似たものであったことが分かっている。

◎イラクとベルギーの化石歯の歯石から穀物調理の証拠
 しかしネアンデルタール人は、ある種の調理をして、その土地で利用できる多様な野生植物を食用にしていたことを、アマンダ・ヘンリ、アリソン・ブルックスら、アメリカ、スミソニアン自然史博物館の人類学研究チームが発見した。アメリカ国立科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences、PNAS)の昨年(2010年)の12月27日付オンライン版で報告された。
 同チームは、イラク、シャニダール洞窟(写真上)出土のシャニダール3号(写真中央=1960年代の発掘時)とベルギー、スピー洞窟(写真下)出土のスピー1号、2号の歯に残った歯石を分析し、顕微鏡観察である種の植物化石とでんぷん粒を見つけた。それらには、今日でもヒトに利用されているナツメヤシ、豆類、ムギ類の草本類種子が含まれる一方、あまり食用にされていないものも検出された。
 草の種子のでんぷん粒は、調理に特徴的な損傷も受けていた。ネアンデルタール人は、野草や穀類を、火加減を調節しながら上手に調理して食べていたと考えられるという。

◎肉食であったのは確かだが
 イラクという温暖な東部地中海沿岸地方でも、ベルギーという寒冷な北西ヨーロッパでも、緯度の差を超えて、ネアンデルタール人はその土地に自生する様々な食用植物を利用し、しかもそれを食べやすいように調理をしていたことが判明した。彼らの食生活は、これまで考えられていた以上に洗練されたものであったらしい。
 これまでネアンデルタール人の遺跡であるムステリアン遺跡で、植物類をひいて粉にしていたことを証明する石器類などは見つかっていない。その一方、食用にした動物の骨、動物を解体するのに用いた石器類は、例外なく見つかっており、また寒冷な氷河期のヨーロッパで簡単な毛皮1枚で過ごすのに1日4000キロカロリーもの活発な代謝を行っていたと骨格から推定されていた。
 その肉を得るために、危険な大型動物にも果敢に狩りを挑んでいたらしく、ネアンデルタール人の化石には、多数の骨折跡が観察されている。

◎ネアンデルタール人の植物食の科学的証拠は初めて
 上記の理由から、ネアンデルタール人肉食説は揺るがないものの、肉食一辺倒ではなく、植物食も頻繁に利用していたことが判明した。ちなみにネアンデルタール人が植物食を摂っていたことが科学的に証明されたのは、これが初めてのことである。
 なお最古の自生穀物の利用の証拠は、すでに一昨年12月18号にアメリカ科学週刊誌『サイエンス』で10万年前頃にさかのぼる証拠が報告されている。アフリカ、モザンビークの洞窟で発見されたMSA(中期石器時代)石器からイネ科植物ソルガムの種子をすりつぶした跡が見いだされた例がある。





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Last updated  2011.01.25 06:05:04



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