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2011.11.13 楽天プロフィール Add to Google XML

百獣の王ライオンはなぜ群れを作る? ネコ科動物唯一の群居性の謎(続)
[ 生物学 ]    

kawanobu日記/百獣の王ライオンはなぜ群れを作る? ネコ科動物唯一の群居性の謎(続);ジャンル=動物生態学 画像1

 

kawanobu日記/百獣の王ライオンはなぜ群れを作る? ネコ科動物唯一の群居性の謎(続);ジャンル=動物生態学 画像2

 

kawanobu日記/百獣の王ライオンはなぜ群れを作る? ネコ科動物唯一の群居性の謎(続);ジャンル=動物生態学 画像3

 

 確かにライオンのメスは、集団で狩りをする。しかし連係プレーが悪く、獲物を取り逃がすこともしばしばで、取り囲んだとしても、攻撃して仕留めるのは単独のメスだ。事実上、単独狩りに等しいから、しばしば獲物を取り逃がすのだ。

◎集団だと狩りが成功しやすいわけではない
 長い間、集団狩猟と考えられたのは、1頭が仕留めた獲物に、次の瞬間、たくさんのメスがいっせいに食らいつくからだ。見かけ上、集団での狩猟のように見えるだけなのだ。
 次に大型動物、例えば時にはゾウですら襲えるのは、群れを作るメリットかもしれない。しかし群れであれば、仕留めた大型草食動物を分け合わないといけない。その上、狩りに参加しないオスが、まず上等な部分を先に食う。1頭当たりの分け前は、小さくなる。
 それならヒョウやチーターのように、単独の狩りであっても、中型の羚羊類などを標的にした方がよほど効率がいい。
 だから別の説明が必要である。群れを作るという行動は、それなりの理由がなければ、進化するはずはない。
 どうもそれは、生存機会が高まるかららしいのだ。長い野外観察研究によって、常に水の得られる水場をテリトリー内に持つプライドの方が、そうでないプライドよりも生まれた仔の生存確率が高まることが分かってきた。

◎生存確率が上がるうえ、離れオスから仔とメスを守るにも有利
 水場は、ライオン自身にとっても大切だが、もっと重要なのは、そこに餌となる草食獣がたくさん集まってくることだ。メスライオンたちは水場の草むらに隠れて獲物を待ち伏せし、そこで水を飲みに来た草食動物を襲って餌にする。獲物を捕りやすい、したがってメスは栄養が良く、仔にもいつも乳や肉を与えられる。生存確率が上がるのは、当然なのだ。
 テリトリー防衛のためには、1頭よりも複数でいた方が都合がいい。
 さらにもう1つ重要なメリットとして、交尾したオス以外から自分の仔を守るのに都合がいいことがある。
 前述したようにサバンナには、離れオスが常にプライドを乗っ取ろうと虎視眈々と機会をうかがっている。乗っ取られたら、大変だ。生後7、8カ月以内の仔は、すべて食い殺されてしまう(写真上)。
 凄惨な子殺しを行うのは、子育て中のメスは発情しないからだ。乗っ取りオスにとって自分の遺伝子を残すために、追い出した前のオスの仔を殺さざるをえない。観察によれば、ライオンの仔の死亡原因でダントツなのは、他のオスに殺されたことだという。

◎一見ぐうたら、しかし現実は厳しく、やがては野垂れ死に
 狩りに参加しないぐうたらオスにとって、自分の遺伝子を半分受け継いだ仔、そしてその親であるメスを、離れオスから守ることが絶対に必要だ。群れの防衛には、オスだけではなくメスも加わる。
 だから群れを作るのだ。
 単独性のチーターやヒョウは、同種のオスから仔を襲われる機会は少なく、ライオンやハイエナが主な天敵となる。群れで防衛できないから、チーターは頻繁に巣穴を変えるし、ヒョウは木の上で子育てする。
 一見、ぐうたらに見えるオスライオンも、群れの防衛という危険で重要な任務があるから、実は楽ではない。年齢を重ねて体力が衰えたら、まず間違いなく群れを追い出される。そうなると、獲物を獲ってくれるメスがいないので、やがて野垂れ死にするしかない。観察によると、プライドの中で君臨できるのは、たった2、3年だという。

◎メスに選んでもらうために発達したオスのたてがみ
 生物個体にとって自分の遺伝子を残すことは、最大の関心事だ。だからプライドを襲う方も守る方も、命がけである。多くの動物に共通するが、オスにとって重要なのは、どうやったらメスに選んでもらえるか、だ。
 鳥類は、派手な羽毛を発達させてメスを誘う。派手であることは、捕食者にそれだけ目立ちやすく、生存上不利だが、メスにとってみれば、そのオスはそうしたハンデを乗り越えられるだけの頑健さと健康であることを見分ける目安になる。つまり優良な遺伝子を持っている、と推定できるのだ。だから派手なオスの方がメスに選ばれやすく、それだけ自分の遺伝子を残せる。そのために派手さは、さらに進化していくことになる。これが、ダーウィンが初めて気がついた性選択のメカニズムなのだ。
 ライオンも同じである。仔を守れるとメスに思ってもらい、選んでもらうためには、オスは自分が強く、健康であることを誇示しなければならない。
 そのディスプレー材料が、オスライオンにだけあるたてがみなのである。たてがみが濃く、かつフサフサと豊かであればあるほど、メスにもてることが実験的に確かめられている。
 かくてネコ科動物でもライオンのオスにだけ、たてがみが発達した。これも群居性の副産物であろう。

◎氷河時代にはヨーロッパにも人の身近にいた
 百獣の王と畏怖されるライオンは、今、東アフリカと南アフリカ、そしてわずかにインドにしか残っていない。かつてはユーラシア大陸に広く分布していた。
 3万5000年前のフランスのショーヴェ洞窟には、ライオンの壁画(写真中央が残されていることからも、氷河時代のヨーロッパにもいたことが分かる。その他、アッシリア文明のアッシュールバニパル王のライオン狩りレリーフ(写真下)などの例のように、ライオンはよく表現される。中東にも、数千年前まではライオンがいたのだ。
 現生のライオンでアフリカ外ではインドに残るが、それもわずか数百頭であり、個体数のより多いトラとも競合する。
 そしてこれだけ個体数が少なくなると、近親交配のケースが大部分になるから、おそらくアジアにわずかに残ったライオンは遠からず絶滅するだろう。
 やはり野生のライオンを間近で見てみたいという気がつのる。

昨年の今日の日記:「中国漁船衝突事件のユーチューブ投稿した海保保安官は逮捕状なしでの違法拘束、許されぬ人権蹂躙」


Last updated  2011.11.13 06:10:08





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