今、防衛相の田中直紀が国会で野党の集中攻撃でフラフラだ(写真)。いつ、ダウンしてもおかしくない惨状だ。野党、就中、防衛族の多数居る自民党にとって、派閥均衡人事で汚沢派に居るだけで起用された防衛問題の素人の田中など、質問攻めにすれば立ち往生する赤子同然だろう。
◎副大臣が訂正する防衛相答弁
最初からおかしかった。野田ドジョウ改造内閣で、先の臨時国会の参院で問責決議された一川保夫との交代で起用されて、「伊江島」を「硫黄島」と言い間違え、防衛問題どころか沖縄に関しても全くの素人であることを露呈した。
通常国会が始まると、野党の質問で南スーダンに派遣する自衛隊の警護はルワンダ軍がすることにすでに決まっているのに、まだ決まっていないと間違え、副大臣の渡辺周が修正した。
これだけではない。一昨年末にボケ菅内閣で閣議決定した「新防衛大綱」で陸自の定員削減が明記されているのに、増員する意向を表明した。自衛隊の前身は「警察予備隊」だが、これを「警察予備軍」と言い間違え、野次で指摘されると、慌てて言い直した。
先月31日、参院予算委員会であまりにもお粗末な答弁を連発した後、15分間も無断退席して雲隠れし、帰ってきて詰問されると、風邪薬を飲んでいたと言い訳を言ったが、本当は国会内食堂でコーヒーを飲んでいた。
◎自衛隊の合憲性を答えられない無知
悲惨だったのは、2日の衆院予算委員会の答弁である。自民党の防衛政策のピカイチである石破茂議員に、憲法9条2項に「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」とありながら、なぜ自衛隊があるのかを聞かれて、答えられなかったのだ。困った田中は憲法の条文を読み上げたというのである。
石破議員は、呆れて憲法起草段階の「芦田修正」にまで遡って解説し、自衛隊が合憲である根拠を教授することになる。
国会外でも識見不足が露呈し、NHKの番組では、自衛隊を海外に送る際の武器使用基準と武器輸出3原則の問題を言い間違えた。
◎公務員が「投票に行こう」とする呼びかけの是非
そして例の真部朗・沖縄防衛局長の「選挙講話」問題である。マスコミと地元沖縄県で問題化すると、トカゲの尻尾切りよろしく「不適切」と批判されていた真部氏の更迭にハッスルした。ここが指導力の見せ所と張り切り、3日朝には防衛省幹部に「真部を変えるぞ、後任を決めろ」と命令したが、政務三役会議で渡辺周に諫められ、さらに他の政務官も同調して腰砕けとなった。
しかも同日の衆院予算委員会に参考人招致された真部氏の答弁で、宜野湾市長選挙に棄権せず投票を、と講話しただけだったことがはっきりした。出馬予定の2人のどちら側にも肩入れした明白な事実はなかったのだ。
だから真部氏に対して、野党自民党の中谷元議員から、「公務員が『投票に行きましょう』と呼びかけるのは当たり前だ」と激励されている。状況から考えれば、真部氏が共産・社民などから担がれた元市長派ではなく、自民・公明が推薦する方向だった元自民党県議を応援する意図があったのは明らかだが、単に投票に行くように、と講話しただけでは更迭などできっこない。
◎市職労の選挙運動には目をつぶって
この問題は、共産党の議員が最初に問題化させた。しかし中谷氏によると、共産党の選挙基盤である宜野湾市職員労働組合は、共産・社民などの推薦する元市長への支援を組合員に要請する文書を配っている。このはっきりした公務員の政治活動に目をつぶって、真意は別にしろ真部氏の「一般論」を処分などすれば、片手おちもいいところだ。
誰かが騒いだから、問題化したからというだけで処分できるのか。もし更迭して、地位保全の仮処分申請がなされれば、地裁で更迭は無効とされるだろう。だから田中以外の政務三役は腰が引けてしまったのである。
部下を守ろうともしない田中は、防衛省内でも孤立し、すっかり信頼感を失ってしまった。
◎カンニングペーパー差し出す秘書官を更迭の奇っ怪
このようにちょっと社会科のできる高校生にも劣る見識なので、田中がいつ地雷を踏んでもおかしくない。野党が、田中に集中砲火を浴びせるのも、当然だ。
これで田中が引責辞職か、参院で問責決議されたら、今度こそ野田ドジョウの任命責任が問われるだろう。
田中は野党席から「腹話術師か!」と野次られるほど、秘書官の差し出すメモに頼りっぱなしだったが、何をトチ狂ったのか、その萬浪学秘書官を6日付で更迭させている。これは自分が外相だった時、やはりしょっちゅう秘書官を交代させて悪評だったかみさんの田中真紀子の入れ知恵だという噂もある。
むしろ萬浪氏には、こんなバカに付き合わないでよくなっただけ、清々しているのではないか。
◎普天間基地現状固定化が決まりそうな大事な時期なのに......
最後に、防衛相の田中抜きで日米間の2+2審議官協議でほとんど決まりかけている普天間基地の現状固定化は、どうするのだろう?
グアムへの海兵隊8000人の移転は、普天間基地の辺野古沖移設とパッケージだった。アメリカ側はこの規模を縮小する意向だが、これは全体計画の前提が変わったことを意味する。アメリカとしては、いつまでも方針の定まらないバラマキスト民主党政権についにしびれを切らし、普天間基地移設に見切りをつけ、現状のまま固定化させることを決めたのだ。
当たり前の話だが、アメリカ軍再編の問題について防衛相は責任者の1人である。それなのに、アメリカ国防長官らとコンタクトすらできない。
前任者の一川ともども大変な時期に、防衛のドシロウトが長に就いている日本。これで国家の体をなしていると言えるのか。
一刻も早く田中を副大臣の渡辺周に交代させねばならない局面だが、相変わらず野田ドジョウも迷走したままだ。
この内閣は、間もなく行き詰まりそうである。
昨年の今日の日記:「名古屋市長選・愛知県知事選で渡されたバラマキスト民主党政権への引導」
Last updated
2012.02.08 05:41:37