208098 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

ローズダンサーのHP

ローズダンサーのHP

吹奏楽物語 H21年度

第13楽章 再び春の季節

4月。本庄は2回目の新入生を迎えた。
歓迎コンサートを今回は新入生全員の前でやったので効果があり、男子2名を含む25人が入部した。
本庄と知多は、男子新入生の川島裕太と、前原雄大と仲良くなった。
川島裕太はいわゆる軍オタ+鉄オタで、本庄と意気投合した。
前原雄大は、帰国子女で、英語がペラペラ。ゲーム好きなので知多と意気投合した。

吹奏楽部の総人数は60人となり、学校内で最も大きい部活になった。
楽器テストも行われ、大川さくらが1年生を教えているのを見ると、成長したなぁ・・・・と思うようになった本庄だった。
また、チューバとユーフォの1年生も決定した。
チューバには、井上有希が来て、ユーフォには、阿部夢乃がやってきた。
後日、ユーフォに内藤日和が加わった。
1年生の成長はすさまじく、本庄、大川、加藤、倉田の2、3年生陣は喜びながらも焦りを感じていた。
本庄は、1年生に負けるものかと、練習に励むのだった・・・・・
そして、5月も終わりに近づいた頃、講師の先生が来校した。
この講師の先生は、チューバ吹きで、とても響きがある音を出すので、本庄と大川はとても参考になった。
ユーフォとチューバが合同で見て貰えることになり、本庄、大川、加藤、倉田は、音楽室で、みっちり1時間半、レッスンを受けた。
その結果、本庄は、唇を締めすぎている。と言われて、改善に動いた。
そして、その次の部活の時。
古山「もやし、音が合っていないよ。」
と、朝練で一緒に練習していた副部長の、バリサク・古山由紀に言われた。
本庄は、唇をゆるめて吹いていたため、音が合わなかったのだ。
前よりは響きがついたが、音が合わなければどうにもならない。
この点が、今の自分の一番大きい課題だなぁ・・・と、本庄は思うのであった。
6月に入り、1年生も大分部活になじんできた。
本庄達2、3年生だけで、運動部の大会の壮行会の入場曲を演奏した。
やはり、チューバは目立つ。本庄と大川は、全校生徒の視線を感じていた。
さらに、体育館の中は湿度が高く、ムシムシしていた。
なんとか、悪戦苦闘しながら、演奏を終えた。
これで、あと、本庄の中学校の吹奏楽での活動は、コンクール、地元のお祭り、学園祭と、3つだけになった。
本庄は、高校へ行っても吹奏楽を続けたいと思っていたし、また、知多も同じようなことを言っていた。
まだまだ、本庄は、後輩の事が心配だし、まだまだ自分も上手くないと言うことは重々わかっているつもりだった。
また、卒業した先輩が行った高校の定期演奏会の情報をつかんだので、本庄は、知多と川島と共に出掛けた。
そこで、本庄は、改めて吹奏楽の奥の深さを感じた。
ある日の合奏。
小村T「音が響くとこうなると言うことを教えます。じゃあ、拓夢くん、吹いてみて。」
と、言われた。
本庄は、音を響かせる事はできたが、緊張のあまり、音が揺れてしまった。
このことを後でみんなにからかわれたが、気にしないことにした。
今年は、みんなのモチベーションが違うのを、先生も気付いていた。
本庄は、今年こそは金賞を、最後の年だからこそ金賞を取りたいと思うのであった・・・

第14楽章 コンクールへ向けて

6月も後半に入り、講師の先生の講習会も頻繁に行われるようになった。
本庄は、講師の先生はチューバなので、その先生の音と、自分の音の違いを改めて痛感した。何が違うのか。
また、チューバ、ユーフォは無縁だが、1年生も部活になじんできたのは良いが、態度がだいぶ変わってきていた。特に、本庄は皆さん知っての通り、人を怒れるような正確ではないので、完璧に後輩からなめられていた。
知多「なぁ・・・・お前、川島や前原と話し過ぎじゃね?あいつらの為にもならないぞ?」
本庄「いやぁ・・・・どうしよう・・・俺って、話しかけられると、どうしても応対しちまうんだよ・・・」
知多「俺だって、極力川島と話すのを避けてるし・・・・川島が元気なのは良いけど、あまり上手くなっていないんだよな・・・・・」
本庄「そうか・・・・俺にも責任があるな。俺もこれからは気をつけるよ。」
人間関係は難しい。本庄は改めて思った。
また、一つの悩みを解決する事が出来ていた。
前、知多と会話していた同級生や後輩の呼び方。知多はまだのようだが、本庄はとりあえず直すことが出来た。
きっかけは1日練習の時の昼食の時間。本庄は知多と飯を食べようと思っていたが、そこに古山由紀と安田志保の超天然コンビが来たのだ。
結局、4人で食べることになり、
安田「もやし、最近、後輩のことをあだ名で普通に呼んでるね。」
本庄は、大川と井上にあだ名をつけて呼んでいたのだった。
古山「じゃあさ、うちらの事名前で呼んでみてよ!」
本庄「は?・・・・なんで?」
古山「あー!!!さくらの事は普通に呼べるのに私は呼べないんだ・・・・まさか、意識している?」
本庄「ちげぇーよ!!!お前、馬鹿だろ?」
安田「じゃあ、由紀の事名前で呼んであげてよ。」
本庄「ううう・・・・・」
知多は笑ってみていたが、
安田「航大君も名前で呼んでみてよ。」
知多「はぁ?何故俺も?」
安田「航大君も、もやしと同じように意識しているんだ!!」
本庄「俺は意識なんかしてない!!」
古山「じゃあ、早く呼んでよ!!」
本庄「わかったよ・・・・由紀。」
古山&安田「キモッッッッッッッッ!!!!!!!!!」
本庄「そんなに露骨に否定するなよ!!」
古山「さあ、次は航大君の番だぞ!!」
知多「普通に・・・志保と由紀だろ?」
古山&安田「なんか違和感あるな・・・・・」
本庄(なんで反応が違うんだ?)
・・・というようなやりとりが繰り返され、本庄は、安田と古山のおかげ(?)で、倉田明里の事も名前で呼べるようになったし、同級生の事もたいがい名前で呼べるようになった。(知多は前から、必要最低限、呼んでいたようだ)
本庄は、後輩になめられているのを重々承知していたが、もう、この性格を直す事は困難そうだ。せめて、この問題を自分たちが引退する学園祭までには直したいと思った・・・・
そして、講師の先生に言われたとおりに、自分たちの演奏を録音してみた。
本庄「うわっ・・・・汚ねぇ!!」
加藤「ねぇ・・・どうする?」
小村T「同じ音のはずなのに2つに聞こえたり、音に響きが無くて、平べったい音だし・・・・このままコンクール出られたらこっちも困るよ?」
小村先生に追求されて、加藤と本庄は危機感を覚えた。
また、一部のパートでは、先輩と後輩の上手さが逆転する現象も起きていた。
本庄は、パート練にしっかり打ちこまねば、金賞など取れるはずがない、と思い、今まで以上に練習に励もうと思うのだった・・・・

第15楽章 コンクール

遂に、コンクールの日を迎えた。
みんな、朝早く集合し、練習をする。
本庄は早くも緊張していた。
その後、楽器をトラックに積み、バスに乗り込む。車内で、他の同級生の連中に、何かメッセージを書いてくれ。と頼まれる。流石に去年と心意気が違うな。と、本庄は思った。
今年こそは金賞を取りたい。いや、取らねばならない。
迷惑を掛けた先輩達からの手紙にも、金賞取ってきてね。という内容が書かれていた。
知多と共に、対向車線を走ってくる車の車種を答えて、緊張をほぐす。
そして、会場に着く。他校の演奏を聴いた後、チューニング室へ移動する。
そこで、本庄は、鏡に映っている35人の大編成を見て、「これなら行ける!!」と、思った。
遂に、袖待機。そして、ステージへ。
「○番、多分中学校。指揮、小村恵美。」
去年と同じようなセリフだ。だが、今年はここからが違うぞ!!
演奏を終える。もう、何を思って吹いていたか分からなかった。
そのまま写真撮影へ。既に泣いている人も居た。
すると、Clの石合里沙が、
石合「何みんな泣いてるの?泣くのは金賞取ってからでしょ?」
と、去年知多が本庄へ言ったようなセリフを言っていた。
みるみる内に時間が進み、表彰式。
みんなで作った、折り紙の鶴を自分の席の前に置き、発表を待つ。
「○番、多分中学校、銀賞。」
もう、言葉にならなかった。そして、号泣。
なんというか、無力感のような物がこみ上げてきて、むなしくなる。
学校へ引き上げる。先生の話や、3年生が1人ずつ、話をしていく。
もう、終わったんだな。
そう、本庄は思った。
そして、次は高校で、絶対に金賞を取ってやる。と、強く思った。
同時に、今の2年生に、金賞を取って欲しい。と思った。
こうして、本庄達の夏は終わったのだった・・・・・

第16楽章 引退

コンクールが終わり、早くも学園祭のムード。
遂に引退するのだ。
本庄「長いようで短かったな・・・・」
加藤「そうだね・・・・でも、いろんな事があったね。」
そんな様な会話が繰り返されるようになった。
ある日の帰り道。知多と川島と本庄で帰宅していたとだった。
知多「川島・・・・前原とは仲良くなれないのか?」
川島と前原は度々悪ふざけが過ぎるときがあった。
川島「それ、うちの母さんも言うんです。」
本庄「俺はそれだけが心残りだ。頼む。仲良くしてくれよ。」
川島「なるべく仲良くしていきます・・・・」
と、言っていた。実際、本庄と知多は1年生の2人組の事が気がかりだった。
引退したくない。という気持ちとは裏腹に、どんどん学園祭が近づいてくる。
そして、遂に本番になった。
本庄のソリの際、クラスの男子が、「もやしー!!」と、叫んでくれた。
本庄は涙腺が危なくなった。
もう、これで全てが終わる。
次は高校でがんばろう。
そして、遂に演奏が終わった。ああ、引退か・・・・
なんだか口ではいえない物がこみ上げてきた。
そして、学園祭後の部活。
帰る際、3年生の上履きがどんどん減っていく。
これを見て、本庄は、去年と一昨年の事を思い出していた。
もう、ここに俺たちの居場所は無いんだよな。
本庄は、自分の上履きを持って、音楽室を後にするのだった。誰も気付かない涙と共に。


THE END

長い間、読んでいただいてありがとうございました。
とりあえず、中学生での吹奏楽物語はこれで終了です。
3年生での出来事は、「別解 吹奏楽物語」に詳しいので、そちらも是非見て下さい。
次は、高校生編になると思います。
さて、ここで謝辞でも。
まずは吹奏楽部の同級生のみんな、ありがとう。おかげで楽しい部活を送ることが出来ました。
そして、先輩方。まったく吹けなかった私を指導して下さってありがとうございました。私も遂に引退です。
後輩達。ほんっとに頼りない先輩ですいませんでした。これからはみんなで頑張っていって下さい。大丈夫。君たちは十分上手くなりました。
先生方。頼りないTubaで申し訳ありませんでした。迷惑をかけました。いつも、優しく接してくださったので、とても励みになりました。ありがとうございしまた。
そして・・・読んで下さった方々。最後まで拙い文章で本当にすいません。もっと文章も上手くなるためにがんばります。

では、今度は平成22年度版でお会いいたしましょう!!


© Rakuten Group, Inc.