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 思春期の君たちへ 

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経験


不登校克服から11ヶ月後、夏休み。

ドロシーはクラブの夏季練習に出かけました。



開始時間は8時30分~のはずなのに、

ドロシーは7時40分くらいに

「行ってきます」と言って出かけていきました。

随分早いなぁ・・まだ学校開いてないんじゃないかな?と思ったのですが、

私は口出ししないので、そのまま「行ってらっしゃい」と言いました。

15分~20分ほどで、ドロシーは帰ってきました。

泣きだしそうな顔で「誰もいない・・・」と言って、玄関に立ちつくしていました。

「あら、そう。8時30分~だというのに、随分早く出るんだなぁと思っていたわ」

と言うと、

「えっ?8時30分?!そうか、なんだぁ・・ドロシーは8時~だと思ってた・・」

と言いました。

そして「もう疲れた~」と家に入り、ソファに座りこみました。



以前のドロシーだったら、まずこの時点で、

今日はもう行かない!となったと思います。

私も、そんな不安を感じて、あれこれとアドバイスしたと思います。



私は、「そう、疲れたんだ」とだけ言って、

2階で洗濯物を干していました。

すると、8時20分頃、また

「行ってきま~す」と聞こえました。

今度は携帯を持って出かけて行きました。



8時30分、携帯電話が鳴り、

「まだ誰も来ていない・・」とドロシーが言いました。

「あらそう。先生も誰もいないの?」と聞くと、

別の先生が何人かいるとのこと。

違反ですが、

「じゃあ、その先生に聞いてごらん」と言いました。

でも結局、自分で知らない先生(転入生なので、限られた先生しか知らない)

に聞くことが出来ず、そのあと2回電話がきました。



こうやって、いちいち電話をかけてくるところが、

やはり元・不登校児らしいなとガックリきましたが、

確かに、8時30分開始のクラブに、

50分の時点で誰も来ていないというのはおかしいなと思い、

仕方なく、私の方から学校に電話を入れてみました。

すると、教室が変更になったようで、

別の教室にみんないるとのことでした。

ドロシーに電話し、そのことを伝えましたが、

その教室の場所もまだ知らない(転入生なので^^;)せいもあり、

完全に弱気になっていました。

でも、電話に出た先生がドロシーのところに行って下さったみたいで、

どうやら無事にクラブに参加したようです。



ドロシーに変更のことを伝え電話を切ったあと、

正直、私は一人でイラついていました。

変更なら変更と教えてくれないと困るじゃない!と、

顧問の先生に腹が立ったからです。



不登校児だったドロシー、転入生のドロシー、

どれだけ不安だったろう、可哀想に・・と思いました。

でもすぐに、冷静になり、それは違うと思いました。


他の子は、みんながいないからと、何十分も同じ場所で動けずにウルウルしていたりしません。

「○○室のはずなのにおかしいな~」と、

他の場所を探したり、職員室にいる先生に、

(顧問の)先生いますか?と聞くなどしたはずです。


やはり、問題解決能力が低いのでしょうね。

すべて私の子育ての間違いのせいですが、

困った時、どうすればよいかの選択肢が少ないのです。

私や気心の知れている先生以外の人に、

SOSを出す勇気もないのです。

心のどこかで、もう既に「逃避」が始まっているのかもしれません。

うまくいかない→今日はもう行かない

の図式が、浮かんでいるのかもしれません。


それでも、実際には諦めなかった。

普通の子には当たり前のことなのでしょうが、

ドロシーにしては、以前とは比べモノにならないほどの進歩です。


こうやって、小さな「経験」を積んで、成長していくのでしょうね。

きっと次は、同じようなことがあっても、

別の教室を探したり、他の先生に聞くことが出来るようになるんじゃないかな?

今回のこの「困る」という経験が大事なんですよね。

そして「結局はなんとかなった」という経験、

クラブをしているうちに楽しい気持ちになって、

「嫌なことがあったとしても、それは必ず過ぎ去るものなのだ」という実感、

そういう小さな一つひとつの経験が、

勇気と自信を与えてくれるのだと思います。

今日の経験がドロシーの選択肢を広げてくれたことを感じ、

私も嬉しい気持ちになりました。


お恥ずかしい話ですが、

以前なら、とりあえず私も学校に駆け付けたり、

「今日はもういいから帰ってきたら?」等と言ったり、

最初の電話の時点で、すぐさま学校に電話をして、

娘のところに行ってやって欲しいとお願いしていたかもしれません。

場合によっては、

「変更になったのならなったで、なぜ連絡下さらないのですか?!」

くらいのことさえ、いけシャーシャーと言ってのけたかもしれません。


親の成長が、子どもの成長に比例することを、

またも痛感したのでした。

そして、こういったハプニングを経験させてくれる

学校は「経験」を学ぶ、最適な場所であると強く実感しています。














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