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May 30, 2013
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カテゴリ:日々湯猫
昨今、巷をにぎわせている慰安婦問題について、自分なりに
論点を整理してみました。

この問題には、3つの異なるアプローチがあり、論者各々が
異なる観点から語っているため、議論がかみ合わないのだ
と思います。


3つの観点とは、

1.歴史としての「正しい事実」は何か。

2.外交戦略上、日本が取るべき対応は何か。

3.各国の政策のうち、ベターなものは何か。




1.歴史として「正しい事実」は何か。

(1)強制連行の有無-正しい「事実」は何か?

まず、慰安婦の何が問題なのか。

慰安婦そのものが「悪」であるとの評価もある。

確かに、売春が禁止されている現在の価値観を前提に
すれば、慰安婦そのものを違法と解することもできる。

しかし、1940年代当時において売春は合法であった
以上、慰安婦そのものを違法だと主張されている方は
少ない(これは判断基準時の問題と密接に関連する
ため後述する。)。




問題は、「従軍」慰安婦であった点である。

すなわち、軍の強制により、慰安婦にさせられていた
か否かという点が、「正しい歴史的事実」の探求にあたり
焦点となる。


橋下会見でも指摘されているように、ここにいう「強制
性」の意義こそ、問題である。

当事者の真意に基づく自由恋愛の結果でないセイ行為は
すべからく、強制されたものだと考えれば、強制性は
肯定せざるを得ない。

しかし、やはりここまで強制性を広げて解する見解は少数派
にとどまる。


多くの論者で意見が分かれるのは、軍による「強制連行」
の有無である。

これは、直接的な強制連行と、間接的な強制連行とに分けて
考える必要がある。



ア 直接的な強制連行の有無

日本政府が「強制連行」と言う場合の「強制連行」とは、
直接的な連行を意味する。

すなわち、日本軍の兵士が朝鮮人女性(議論にはなっていないが
日本人女性も)を、拉致して慰安所に連行したという意味である。

この意味での強制連行を裏付ける証拠は一切ない、というのが
日本政府の公式見解であり、多くの学者の一致するところである。

もっとも、証拠がないから、事実としても存在しないというのは、
論理の飛躍がある。

刑事学上、犯人が証拠隠滅に走ることは自明である。


では、実際のところどうだったのか。

これは、戦争当時生まれてすらいなかった湯猫にはわからないが、
おそらくなかったと考える。


まず、いくら証拠隠滅を行ったとしても、何万人という規模で
慰安婦を利用していた本件において、直接的な強制連行を裏付ける
証拠が何一つとして出てこない、という事実は、当該事実の不存在
を強く推認させる。

また、当時、日本軍が慰安所を設置した理由は、戦地での暴行事件
の防止・抑制にあった。

性犯罪を抑制するための施策である慰安婦制度で、女性を拉致する
という明らかな性犯罪(わいせつ目的略取)を犯してしまっては
本末転倒である。

これでは、何のために慰安婦制度なるものを設けたのかわからない。


この二つの理由から、軍による直接的な強制連行はなかったと考える。





イ 間接的な強制連行の有無

では、自らの意に反して、慰安所に連れて行かれた女性がいなかったのか。

ほぼ間違いなく、その答えはNOだ。

「まさか慰安所に連れて行かれるなど思いもしなかった」という女性は
少なくないだろう。

ただ、彼女たちを慰安所に連行したのは、日本軍ではなく、ブローカーで
あった可能性が高い。

当時、朝鮮半島で慰安婦を募るに際し、募集広告を見て自ら応募してきた
女性だけで、需要をカバーできたとは考えづらい。今ならどうか知らんが、
少なくとも当時は今よりも貞操観念がはるかに強かった。

当時、朝鮮半島にも、風俗業なるものは間違いなく存在した(世界中で、
風俗業が全く存在しない国・地域は、過去・現在において存在しない)。

だとすれば、日本軍は、その業界を仕切っているブローカーに対して、
慰安婦のスカウトを依頼した可能性が高い。

最初は、風俗業を生業にしている女性がターゲットになったのだろうが、
それだけでは賄えない。

かといって、文字通りの「スカウト」に応じてくれる女性はそれ程
多くない。

となれば、ブローカーが略取・誘拐に走ったであろうことは想像に
難くない。

中には、親の応募に基づく例もあったであろう。

日本でも、困窮した多くの小作農が、娘を奴隷同然の工場へと出稼ぎ
にだし、命を落とした女性も少なくない。

当時の朝鮮半島でも同じ状況があったものと思われる。

娘の身売り。でも、さすがに親自身が、娘に「家計のために慰安婦に
なってくれ」といって慰安所に連れて行くのは辛すぎる。

せめて自分の見えないところで、慰安所に連れて行ってほしい。

親の無責任かつ自分勝手な考えではあるが、その心情は理解できる。

しかし、娘からすれば、ある日突然、知らない男に拉致されたという
ことになる。

ブローカーによる強制連行はあった。




では、日本軍がそれを認識していなかったのか。

指示していたことはないだろうが、かといって認識していなかった
ということもありえない。

一部の業者によってそのようなことが行われていることを知りながら、
黙認していたというのが実情であろう。

ここに、軍の「間接的な」強制連行がある。


これが、正しい「事実」であろう。


次に、これをもって軍の強制連行と評価すべきか否かが
問題となる。



(2)判断の基準時-「正しい」事実は何か?

「正しい」か否かを決するにあたっては、判断の基準時が
重要である。

仮に現在を基準時にすれば、業者が拐取していることを知りながら
それを利用していた日本軍も同罪であろう。

他方、1940年代を基準にすれば、そうともいえなくなる。

少なくとも、共謀共同正犯が圧倒的少数説であった当時の日本を
前提にすれば、日本軍は不可罰となるであろう。

ちなみに、アメリカでは、「性奴隷」という語句が使われた結果、
従軍慰安婦が「奴隷」の定義に該当するかという観点で議論がされている。

現在の支配的見解によれば、人身売買の対象となれば「奴隷」であり、
人身売買があることを知りながら雇用すれば、「奴隷」として利用
したことになる。

当時の見解からも、同じ結論が導かれるのかは、湯猫にはわからない。

肝心なところで知識不足を露呈して申し訳ないが、奴隷文化のない
日本では、奴隷の定義に関する見解の推移については、広く認識されて
いないし、湯猫の知るところでもない(今後、勉強します。)。



また、判断基準時を巡る見解の相違は、「そもそも慰安婦そのものが
悪だ」と主張している方との間で最も鮮明になる。

強制連行があろうとなかろうと、女性を性のはけ口にしたこと自体が
許されざる行為であると主張している方々は、判断基準時を現在に
置いていることは明らかだ。

当時、日本を含む多くの国では売春は禁止されていなかった。

したがって、当時を基準に判断すれば、慰安婦そのものは合法。

他方、現在を基準に判断すれば、(日本を含め多くの国では)違法
となる(フランスなど、現在でも売春を合法としている国の方々が
どう考えているのかは不明。)。


遡及処罰禁止という刑法の大原則から言えば、当時を基準に判断
すべきであり、合法ということになる。

ただ、この大原則は、法律家にとっては常識でも、一般国民にとって
は非常識なのかもしれない。





※一部、セイ行為・ゴウカンなど、不自然な表記があります。
これは当初漢字で入力したところ、楽天のフィルターにひっかかって
しまったため、訂正したものです。
文脈からわいせつ性の有無を判断することもできず、他方で表記を
カタカナに変えるだけですり抜けられる。コンピューターの能力も
まだまだこんなものなのですね。
どうやらまだ人間の活躍する場が残っているようです。


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Last updated  May 31, 2013 05:06:15 AM
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