カテゴリ:オーディオ
大学に入ったら、オーディオを始めようと思っていました。
当時の流行ではあったわけです。 オーディオを始めるには、まずはスピーカーだよね、 アンプは自作に挑戦しょうと技術系オーディオ誌を見ていると、 「ラジオ技術」の76年3月号に 「新測定法による最新市販SPシステム15種の特性測定報告」 という特集記事が目に付いたのです。 その中でも、ほとんど完璧!と思われるスピーカーがあったのです。 それがこれ、当時の同誌の記事です。 大事なところを拡大、 インパルスを利用した累積スペクトラム特性というものですが、 立ち上がり、立ち下がり共に15種のスピーカーの中では 断トツ1位でした。 下図は通常のスイープ信号によるものですが、 手持ちのHS-400の周波数特性を実測したものです。 40~70Hzに部屋の影響でピーク・ディップがありますが、 20kHzまでフラットです。 今でも、これを凌駕するスピーカーは存在しません。 これならきっと音も良いだろう、、と意気込んで購入したものの、 分解能は優れているものの、音が冷たくて、なんだか音楽を楽しめないのです。 これは僕が使いこなしていないだけだろう、、と気を取り直して、 アンプを自作したり、その改良/試聴を毎日繰り返していました。 まあ、それなりに音は改善するし、回路技術は身に付くしで、 無駄ではなかったのですが、音楽的には楽しめないのです。 もしかしたら、これはレコードに入っている音が悪いのではないか? と思うようになり、 生録して原音と再生音が同じになれば、スピーカーが悪いのではないよね。。 それを確かめようと、テープデッキをゲットして生録してみようと思い立ちました。 カセットではちょっと音質的に辛いだろうし、 改造するにも小さすぎて苦労しそうだと思い、 オープンリールの手ごろなテープデッキの店頭処分品を入手しました。 TC-4660というF&Fヘッド、4トラック19cm/sのものでした。 これは改造しまくりで原型をとどめていませんでしたので、 今はもう現物はありません、 頭の中だけで動いています。 今手持ちの当時モノはTC-9400Aです。 これがそれ、 3モータ仕様ですが、その他の仕様や音質はTC-4660と同じようなものです。 当時、折よく「無線と実験」誌に金田明彦氏がテープ用の録音再生アンプの製作記事を書かれていましたので、参考にしました。 ヘッドから直接シールド線で引き出して、 外部に録音再生アンプを作り、バイアス周波数を変えたり、 回路を変えたりを繰り返しながら、生録をしていました。 音源は大学の寮の同室のビオラを弾く子やそいつが所属しているオーケストラの へたくそな演奏でしたが。 マイクはECM-23Fというセミプロ向けのものでしたが、 その後使わなくなり処分しました。 というのも、ECM-23Fのマイクカプセルだけをサービスで入手し、 マイクロフォンアンプも自作するようになったからです。 このように最初の大学の4年間はテープデッキの製作、生録を繰り返して、 一体録音というものはどういうものか? ということを身につけました。 細かい技術的なことは又の機会にしたいと思いますが、 当時は文系の学生とは思われていませんでした。 バイト先の放送局に大学を卒業したら、このままうちに務めない? と技術部長に誘われましたが、 なぜか断ってしまいました。 まあ、いまから考えるともったいなかったかもしれない、 給料はよかったんですね。 もしそうしていたら、今の僕はありませんが。 もちろん、HS-400に出会わなかったら、 今の僕はありません。 HS-400の開発者の河村先生は僕の生涯の師というわけです。 このHS-400というスピーカーは勉強すれば勉強するほど、 そのすごさが分かります。 フラットなものを積み上げてゆくという、 微に入り細を穿った緻密かつ理論的な設計手法の塊で、 天才技術者河村信一郎氏の存在があればこそなのはもちろんなのですが、 良くこのようなスピーカーが 製品化されて世に出ることができたなと思わずにはおれません。 確かに日本の工業技術のピークは75~76年頃だったのでしょう。 このスピーカーで再生した音楽が良くなければ、 それは音源(演奏か、録音機材か、お前の耳?)が悪いのだよ、、ということです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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