今日は2次カリエスシリーズ2症例です。
メタルインレーはダツリはし難いが、
セメントはとっくの昔に崩壊、
もしくは接着性は失われている。
元々歯質接着性のないセメントもあるし、
それでも、何年でももつ(こともある)。
そもそもメタル修復物にセメントそのものを使わない時代があったと聞いたことがある。
30代男性、右下5、インレー不適合。
メタルインレーは簡単に外れ、
内面はFeSと思われる黒色物質で覆われている。
セメントとは一体どういうモノだろうか?
じつは歯科医師でさえ本当には知らないのだが、
この20〜30年程はメタルや歯質への接着性に拘っているように見える。
しかし、歯質や修復材料に接着していることは必須条件ではない。
実際問題として、完全な接着性が得られないとすれば、
一定以下の間隙が維持できていることが重要なのだ。
それは嫌気性の硫化物還元細菌は生息できるが、
O2を消費してH+を産生する好気性(通性嫌気性)細菌が生息できない隙間のことだ。
黒色物質が付着している部分が硫化物還元細菌が生息していた部分。
セメントを除去して
辺縁封鎖を確実とするためマージン付近だけ新鮮歯質を出す。
その他の部分はFeSが付着していようが、軟化象牙質(虫歯)が残っていようが問題ない。
α-TCPセメントで覆とうし、
CR充填を行った。