カテゴリ:虫歯の電気化学説
今日はCKを再製作する機会が2例あって、
どれも30年経過症例でした。 セメントはとうの昔に接着性が失われているにもかかわらず、 ひどい2次カリエスにはなっていない。 じつはセメントに元々歯質接着性が無いものもあるのです。 それでもこのセメントは2次カリエスになり難いのです。 これをどのように解釈するかというのは、 歯質接着性に拘っている現代歯科医師にはできないのです。 信じられないかもしれないが、 知り合いの、もしくはかかりつけの歯科医師に訊いてみてください。 答えられません。 ところが電気化学的には簡単に説明できるのです。 虫歯とは金属の腐食と同じカテゴリーに属する現象で、 歯はH+(プロトン)を通す、イオン伝導性セラミックスということが知られていて、 このイオン伝導を遮断すれば虫歯は防げるのです。 冠内面、支台歯に付着している黒色物質はFeSで、 硫酸塩還元細菌がタンパク質と血液成分から作り出した物質ですが、 簡単に言えばドブの底の色と同じものです。 これがイオン伝導を遮断するのです。 この硫酸塩還元細菌は嫌気性細菌で、 硫酸塩還元過程でH+を放出するので、 虫歯菌としても分類されるものですが、 FeSを最終代謝産物として生産する限りにおいて、 虫歯の進行をゆっくりとしたものにすることができるのです。 冠と歯質の隙き間が十分に狭ければ、 酸素濃度が十分低く、 この細菌にとっては最適な生息環境になるのです。 ですから、冠はダツリしていても、十分に嫌気的な環境なら、 虫歯の進行は遅いのです。 しかし、ある程度虫歯が進行して、もしくは物理的に隙き間が大きくなり、 好気性もしくは通性嫌気性の解糖系を通じてH+を産生する細菌が優勢になると事態は一変し、 急速に虫歯が進行してしまいます。 セメントが無かったと言われている150年以上前の時代でも 冠を作り被せる治療は行われていたのですが、 その頃ならセメント無しでも30年も保てば十分だったのでしょう。 今と違って人生は短かったのですから。 で、最初の症例、60代男性、左下6 冠除去前 冠の内面 冠除去後 支台歯形成後 ーーーーーーーーーーーーーーー 2症例目、60代女性、左上4 冠除去前 冠の内面 冠除去後 支台歯形成後 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2016/09/20 10:17:18 PM
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