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テーマ:邦画を大いに語ろう!(83)
カテゴリ:映画・邦画
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【この映画について】 一見して何の意味だか分からないこの題名は「気持ちを落ち着け、心をリセットし、これからのことを見つめるためのひととき」という意味があるそうだ。 監督は台湾人の侯(ホウ)孝(シャオ)賢(シェン)で、彼が尊敬する故小津安二郎監督の生誕100年記念作品として、全て日本語のセリフで撮影されて松竹映画として公開された。 主演は映画初出演の一青窈(ひととよう)で台湾と日本を行き来するフリーライターの役を演じている。その他には「座頭市」で北野武監督と共に見事な殺陣を披露した今売り出し中の浅野忠信、ベテランの小林稔侍、余貴美子、萩原聖人などが脇を固めている。 【ストーリー(ネタバレ?)】 この映画では厳密に言えばストーリーと呼べるストーリーはあるようでない感じがする。その謎解きをここでしてしまうと今後映画館なりDVDで鑑賞するかたに申し訳ないのでここでは述べない。 台湾人監督の侯(ホウ)孝(シャオ)賢(シェン)が小津安二郎が生存していたらどういう風に撮るだろうと考えて撮った作品だそうだ。私は小津監督の作品は観たことが無いので残念ながら比較は出来ない。 この作品では、一青窈(ひととよう)扮するフリーライターの陽子が戦前に日本で活躍した日本と台湾人の両親を持つ江文也(こうぶんや)について調べることから始まる。その過程で陽子は台湾にも行き、神保町の古本屋の二代目の肇(浅野忠信)とも知り合う。陽子は無口だが親切な肇に好意を持つが、台湾で知り合った男性との間に子供を宿し妊娠していることを肇にも告げた。 陽子は今度群馬の実家に帰り父(小林稔侍)と継母(余貴美子)に妊娠したことを告げる。そしてシングルマザーとして生きていくと告げられて、どう対処していいか分からずにおろおろする二人。 両親は今度は知人の葬式に出席する為に上京したが、相変わらず父は言い出せない。 映画内のストーリーは、こうした風景を侯監督独特の一つのシーンを引っ張って長く撮るスタイルで観ている我々に訴えかける。 【鑑賞後の感想】 侯監督の意思でロケは大部分が都内で行われている。そして肇の趣味が電車の音を生録することという設定で、映画の中でもふんだんに電車に乗るシーンや駅で待ち合わせるシーンや駅舎の中で雨宿りするシーンが出てくる。 監督にとって日本の中に電車の国というイメージがあるのが理由だそうだ。映画の最初と最後も電車が絡んでいるのもこの映画の特徴である。 一青窈(ひととよう)は映画初出演だが侯監督の直接の指名で出演が決まったが、陽子が取材の対象とする江文也が日台混血であるのと無関係ではないだろう。侯監督は彼女に素の自分のままで演じれば良いと言ったそうだ。確かに彼女が主演であり出演シーンも一番多いのだが、セリフも普段の会話みたいな雰囲気で終始展開されるのでこれで彼女の演技力を云々するのは正直言って難しい。もしこれが彼女の「演技」なら今後の映画出演は難しいだろう。 その一方で浅野忠信の存在感はこの映画の中でも光っている。彼の出演シーンは彼が画面に出ているだけで安心感が漂うし、小林稔侍のものを言わぬ演技も見事だ。この2人がいるおかげで、一青窈(ひととよう)の演技力に注目が行かなかったのは幸いだろう。 映画の展開としては、この作品をどう評価するかはとても難しいと思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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