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カテゴリ:ヨーロッパ映画
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【この映画について】 欧米の映画祭で軒並み賞を獲得していたこの映画は、米国でも権威あるゴールデングローブ賞とアカデミー賞の最優秀外国語映画賞を授賞した。 この作品は実話に基づいて構成されており、四股麻痺のスペインの詩人ラモン・サンペドロの生涯を彼の手記「Letters From Hell」の映画化である。だが映画の中に登場する人物は実在ではあるが、映画では周辺の何人かの人物の特徴(性格)を統合して作り出したキャラクターとなっている。 主人公のラモンを演じるのは「コラテラル」にも出演していたハビエル・バルデムが、毎日5時間のメークに耐えて作り出しておりベッドの中での演技は光るものがある。 【ストーリー(ネタバレなし)】 若い頃は船乗りとして世界各地を旅していたラモンだったが、25歳のある日岩場から引き潮の海に飛び込んで頭から海底に直撃した。それが原因でラモンは下半身が麻痺して兄の家で寝たきりの生活を送ってきた。献身的な義姉マヌエラのおかげで何とか毎日を過ごしてきた。 家には他に兄のホセ、その息子でラモンには甥にあたるハビエル(愛称ハブ)、父ホアキンとの生活は現状では満足していた。だがラモンはこのまま半身不随でベッドでの生活が続くことに不安をおぼえていた。このままの生活が続くことで一家にも迷惑がかかるし、自分の将来も悲観したラモンは自殺を図りたいとこぼす。よく考えれば半身不随のラモンには自殺する手立ては無く、必ず第三者の手を借りなければならない。第三者に協力してもらえば、その人が自殺幇助の罪に問われるのでラモンは躊躇していた。そこでラモンは尊厳死が出来ないかと裁判を起こすが、法の壁に阻まれてこの手段も実を結ばずに衝撃を受けた。 そんなラモンの心情を察してか、ラモンの元には女性が多く訪れる。そしてその中には尊厳死を法的に支援する団体のジェネという女性もいた。彼女は女性弁護士のフリアを紹介した。フリアは助手のマルクと共にラモンの元を訪ねた。フリアも2年前に不治の進行性の病を告げられていたので、ラモンの気持ちは理解できていた。そのフリアは審理の準備でラモンの家に泊り込むことになっていた。フリアはマヌエラにラモンの書いた詩を見せられて心を打たれたが、フリアは倒れてしまう。 フリアの意思はジュネとマルクに引き継がれてラモンの詩を出版することに奔走する。ラモンはフリアが詩が出版されたら一緒に死のうと言ってくれていたので、フリアの事を信じて待っていた。 そんな中で今度はラモンの近所に住むロサが訪ねてきてラモンに恋心を切々と訴える。そんなロサの姿を見てラモンはうろたえるがロサの真剣なまなざしに心を動かされる。 フリアの病状が進行する中で詩の出版は着々と進んでいった。そして念願の出版が叶うことが分かり、ラモンの手元にはテスト版が届けられた。だがそこに同封されたフリアの手紙にラモンは気が動転して大泣きした。その中身は映画館でどうぞ。 ロサはラモンが死にたがっている気持ちを理解していたのと、ラモンは自分を死なせてくれる人が本当に愛せる人と周囲にも言っていたのを知っていた。ロサは自分の故郷のボイロの海を見渡せる家で死のうと言ってくれた。 そして遂に長年住んで来た兄の家からロサの故郷へと旅立っていった。そこでラモンは遂に自分の思いをロサに手伝ってもらい成し遂げるのだった。 尊厳死を裁判で否定されたラモンが、周囲の人々を自殺幇助に問われないように取った行動とは何だったのか?これをばらしたらこの映画のネタバレになるので、映画館で観てください。 【鑑賞後の感想】 スペインで制作されたこの映画は世界の映画祭で外国語映画賞を獲得してきた。中でもラモンを演じたハビエル・バルデムの抑えた演技は見事だった。 こうしたテーマの映画は普通は、いかに不自由な身であっても力強く生きていくと言うのがテーマだ。だが本作品では如何にして命を絶つかが映画全体のテーマと言うのは従来には中々無かったと思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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