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原題:Land Of Plenty(アメリカ・ドイツ) 公式HP 上映時間:124分 監督:ヴィム・ヴェンダース 出演:ミシェル・ウイリアムズ(ラナ)、ジョン・ディール(ポール)、ショーン・トーブ(ハッサン)、ウェンデル・ピアース(ヘンリー)、リチャード・エドソン(ジミー) 【この映画について】 ドイツ出身のヴィム・ヴェンダース監督の作品というだけで、固定のファンがいる。今回の作品も、そんなヴェンダース監督が9・11後のアメリカを捉えたロードムービー風の作品である。 ベトナム戦争の後遺症から抜け出せ切れないで、9・11後も一人で祖国を守る男を演じるジョン・ディールは味がある。ミシェル・ウイリアムズはイスラエルから生まれ故郷のアメリカに目的があって戻ってきた女性。 ヴェンダース監督が、9・11後のアメリカの変化や社会の矛盾などを独自の視点で切り込んでいった作品。 【ストーリー(ネタバレなし)】 ラナは生まれ故郷のアメリカに帰る機中から国土を眺める。アフリカとイスラエルで10年過ごし、病死した母の手紙をたった一人の身内であるポール伯父さん(母の兄)に渡すために帰ってきた。ポールが居るはずのロスに着いたラナを空港で迎えたのは、伝道所の宣教師だ。空港から貧しい地区に建つ伝道所までの道中での光景にラナは、久し振りに帰国した母国の現状を見て衝撃を受ける。 一方のポールはベトナム戦争に従軍した経験をもち、いまだにその時の経験がトラウマとなり「母国一人警備員」として、バンを改造しあらゆる警備装具やPCなどを駆使しそこで寝泊りする生活を続けている。 ポールとの連絡先と知らされて訪ねていった住所にポールは居ないで途方に暮れるラナ。そこに住むジミーの機転でポールには内緒とのことで、ポールの緊急用の携帯電話の番号を教えてもらったラナ。 今日も市内をバンで巡回し怪しげな人物がいないか眼を光らせるポールの生活が始まる。人気のない路地裏でポールは、「ボラックス」と書いてある箱を持つアラブ風の男が気になり後を追う。辺りを伺いながら工場と思しき敷地に入る男。 男の行方を追うポールだが見失い失望する。だが伝道所の前で駐車中に、行き成り近付いてきた車から銃が乱射され火炎瓶が投げつけられる。タマタマその時、火炎瓶の犠牲になったのが、ポールが追っていたアラブ風の男だった。すぐさま車の後を追うにも車はあっという間に立ち去っていった。だがポールの車内に積載されているカメラはその瞬間を捕らえていた。 男の手当てをするべく伝道所の宣教師や職員が慌てて出てくる中に、ラナの姿もあった。瀕死の状態にある男を抱きかかえて何とか犯人の心当たりを探ろうとするポールだが、男は「トロナ」との謎の言葉を残して亡くなった。 その様子を見てショックを受けたラナをみて、ポールは「母さんにそっくりだな」と声を掛けた。ラナが幼少の頃にポールと遊んでいた頃の記憶が蘇ったのだ。思いがけない形で再会した二人だった。 ラナは何とかしてこの男の身元を調べ肉親に遺体を届けたいと思い、ネットでトロナが何を指すか検索する。ポールは自身が撮影した映像をジミー経由でTV局に届けさせる。早速ニュースで放映されるが手掛かりは掴めないで焦る。 ポールはこの男の挙動が気になり何を探っていたかを調べたいが、ラナはそうした点には興味はなく遺体を肉親に届けたい一心。ポールを助けたい一心でネットで捜すが手掛かりは掴めなかったが、遂にトロナがカリフォルニア州の砂漠の街だと判明する。 宣教師の協力をありトロナの教会に連絡を取ってもらい、ポールは「ボラックス」についてラナは「肉親との面会」を目的にポールのバンで移動することになった。 車内でポールとラナは目的は違うものの、お互いの思いをぶつけるように様々なことについて話をするのだった。そして遂に砂漠の中のオアシスの田舎町トロナに着く。そこは周囲は砂漠で閑散としており人気も殆どない。益々怪しいと思い警戒を強めるポールだが、ラナはトレーラーハウスの一角に着いたと同時に男の遺体の持ち主を捜すのだった。そして遂に兄と称するジョーの居所を掴み、男の身元がハッサンだと確認できた。兄弟はパキスタン出身だが、最近は全く音沙汰がないという。暫くはいぶかしがるポールだが、ジョーが弟を懐かしがるように色々な過去の話をする。 だがポールにはどうしても「ボラックス」の謎が解けない。 ここから先はネタバレになるのと同時に核心で入るので、ポイントを書くので後は映画館かDVDでどうぞ。 トロナに着いてからも「ボラックス」の存在が頭に離れないポールだが一体それは何だったのか?ラナの母とポールは何故不仲になったのか?ラナがポールに渡した手紙の中身とは?トロナで過ごしたあと二人はNYへ車で向ったが、向った先のNYで二人が真っ先に行った場所は?そこで感じたこととは? こうした点に注目して出きれば映画館で鑑賞して下さい。 【鑑賞後の感想】 ヴィム・ヴェンダース監督の作品は過去に「パリ、テキサス」を鑑賞して以来久し振りだった。「パリ、テキサス」はハリー・ディーン・スタントンが主人公となったロード・ムーヴィーだったが、今回の作品はポールを演じるジョン・ディールのベトナム戦争での後遺症と9・11後のアメリカをシンクロさせている点に注目したい。 本作も確かにロード・ムーヴィーの要素はあるが、それはロスからトロナに向かい最後にNYへと向う辺りがそうだ。だが実際はベトナム戦争の後遺症から解放されない人を抱えたアメリカが、9・11が新たに人々に恐怖心や猜疑心や中東出身者への疑惑の眼を増幅させている点をこの映画でも描いている。 ただそれで終始せずに、この作品ではポールとラナの母との関係やラナとポールの価値観や世代間のギャップも描いてそれを絡めながら進行させた点は評価したい。 ヴェンダース監督の作品はこうしたアメリカの矛盾や社会の裏側を描かせたら上手い。それに彼独特の音楽センスも映像やストーリーに見事にマッチしている点も付け加えておきたい。 最後に年明けにもヴェンダース作品がもう一つ公開されるので、そちらも注目したい。
この映画、ロードに出ている時間が短いのにロード・ムーヴィーの雰囲気が全編に渡ってありますよね。それは、この映画のテーマが、本来なら相容れない二人の人間が理解し合ってゆく、というロード・ムーヴィーらしい主題だからかも知れないですね。(2005.11.28 00:51:33)
>Kenさん、こんばんは。
ロード・ムービーと純粋に言えるのは後半だけでしたね。でもご指摘にあるように、ロード・ムービーの雰囲気は常に漂っていますよね。 映像と音楽が見事にマッチするヴェンダース監督らしい作品だと感じました。(2005.11.28 23:59:09) │<< 前へ │次へ >> │一覧 │コメントを書く │ 一番上に戻る │ |
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