|
テーマ:ミニ・シアター系映画(152)
カテゴリ:アメリカ映画
原題:Transamerica(アメリカ)公式HP
上映時間:103分 鑑賞日:8月12日 シネスイッチ銀座(銀座) 監督・脚本:ダンカン・タッカー 出演:フェリシティ・ハフマン(ブリー)、ケヴィン・ゼガーズ(トビー)、フィオヌラ・フラナガン(エリザベス)、バート・ヤング(マレー)、キャリー・プレストン(シドニー)、エリザベス・ペーニャ(マーガレット)、グレアム・グリーン(カルヴィン) 【この映画について】 今年のアカデミー賞で最優秀主演女優賞(フェリシティ・ホフマン)と最優秀歌曲賞(ドリー・パートン)の2部門でノミネートされながら、日本では何故かこの時期まで公開が延び且つ全国規模でのロードショウにならないのは配球会社(カポーティもそうだが)のせいだろうか? 性同一性障害に悩む一人の元男性が性転換手術を近日中に控えて、「男性」だった時に一度だけ性交渉を持ったときに出来た息子との関係をNYからLAまでのロードトリップを通じて深めていく内容だ。 ロード・ムーヴィーの要素を色濃く出しながらも親子関係のありかた、性同一性障害への偏見、息子の知られざる生い立ちなどを交えながらアメリカ社会の現状を描いている。 フェリシティ・ホフマンは女性ながら男装をしながらの演技という難しいテーマをどうこなしているのかにも注目したい。 【ストーリー(ネタバレなし)】 若い頃から性同一性障害に悩むブリーは性転換手術を受けることを決心し、セラピストのエリザベスは何度もブリーの意思を確認しながら遂に裁判所の許可も出て後は手術日を待つだけとなる。 ブリーは普段は電話セールスに励みながら生計を建て一人暮らしをしているが、或る日、何時もの様に自宅で電話セールスをしている最中にNYの拘置所から一本の電話が入った。相手はトビーと名乗る少年で保釈費用を工面して欲しいが自分は父を探していると話す。話を聞いているうちにブリーが「男性」だった時に一度だけ性交渉をもった時があり、自分が父親ではないかと薄々感じ始めた。 エリザベスと相談し過去に背を向けないためにもNYへと飛ぶことになったが、その費用は手術費用から工面した。キリスト教団体から来たと名乗ったブリーは少年の保釈費用を立替えてあげた。だが自分が父親であることはおろか女装しているのでトビーは全く気が付かない。身元引受人となったブリーはトビーのアパートに寄ってから、彼の友人が手配した車で一路LAまでの長旅を続けることになる。 途中、トビーの生い立ちを聞いた彼女はトビーが嫌がるのにも関わらず寝ている隙に車を継父の実家ケンタッキー州へと向けた。トビーをそこに預ける積りだったが、そこはトビーが嫌気が差して家出してきた場所であり戻りたくなかった。それでもブリーは半ば強引に継父と引き合わせたが、トビーには継父に性的に虐待された苦い体験が蘇りブリーの静止を振り切って逃げ出す。 継父はトビーに対して再び暴力を振るおうとしたため慌てて逃げ出したのだった。彼の少年時代の虐待の事実を全く知らなかったブリーも激しく動揺しケンタッキー州に寄ったことを後悔する。 トビーはこのブリーの行動を激しく詰り二人は旅を続けるものの気まずい空気が漂ったままに。旅の途中ではヒッチハイクで一緒になった青年に一寸した隙を突かれて車を奪われる失態まで演じる。だが途中で親切なネイティブ・アメリカンのカルヴィンの計らいで自宅に泊めてもらう。そして二人はブリーの生まれ故郷を目指すのだが、そこで久し振りに訪れた実家ではブリーの変わり果てた姿と初めて見る孫・トビーに対して様々な反応が...。 さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。 1.久し振りの実家であったが、母は激しく動揺するがそれは... 2.トビーの若々しい姿をみてすっかり魅了されたブリーの母が彼に取った態度とは? 3.実家を飛び出たトビーが行方不明になるが彼は一体どこへ? 4.ブリーの性転換手術の日は迫っているが、果してそれまでにLAに辿り着けるか? 5.トビーはLAにいたが彼の今後の夢とは?そして彼に「父」と名乗れる日は来るのか? 等に注目し映画館(単館上映のようですが)か今後発売されるであろうDVDでご覧下さい。 【鑑賞後の感想】 やはりこの手の映画はロードトリップが始まってからのほうが面白い。ロードトリップが始まると、お互いの秘められた過去が暴露されたりしながら傷付きながらも前に進んでいく所は良かった。 その反面疑問に感じた点も幾つかあった。それはブリーの性転換手術の話は冒頭とラストで少し触れられるが、どちらかと言えば何故手術を受ける決意をしたのかを語らせるシーンが少なかった。もう一点は何故トビーが急に電話をして来てそれをブリーが「自分が父親」かも知れないかと思ったのか?この二点への疑問が最後まで解けなかった。 最後に、ロード・ムーヴィーらしく旅行中のハプニングやトビーの意外な性癖が描かれたりしている点はメリハリを利かせていたので良い。それと旅行中のシーンで盛んに流れるBGMも映像とマッチしていてこちらの面での私の評価は高いのだ。 エンドロールで流れるドリー・パートンの主題歌はアカデミー賞候補にもなった素晴らしい曲なので、席を立たずに最後まで見てもらいたい。 【自己採点】(10点満点) 7.9点。前述した二点が気になってこの点となったが、その分は音楽の素晴らしさとテーマのよさがカバーしている。 人気blogランキングへ [今日の主なBGM]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 1.Various Artists/The Movie Hula Girls Presents Hula Style Music お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
|