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テーマ:映画館で観た映画(8361)
カテゴリ:アメリカ映画
原題:Tomorrow World(アメリカ)公式HP
上映時間:109分 鑑賞日:吉祥寺スカラ座 11月19日(吉祥寺) 監督・脚色:アルフォンソ・キュアロン 出演:クライヴ・オーウェン(セオ)、ジュリアン・ムーア(ジュリアン)、キウェテル・イジョフォー(ルーク)、チャーリー・ハナム(パトリック)、ダニー・ヒューストン(ナイジェル)、クレア=ホープ・アシティ(キー)、マイケル・ケイン(ジャスパー) 【この映画について】 原作は、英国作家界の女王P.D.ジェイムズの「The Children of Men(人類の子供たち)」。出演には『クローサー』でアカデミー助演男優賞にノミネートされ、『キング・アーサー』『インサイド・マン』『シン・シティ』等の注目作に立て続けに出演し脂が乗っているクライヴ・オーウェン。『フォーガットン』のジュリアン・ムーア、『バットマン ビギンズ』のマイケル・ケインなど演技派俳優が名を連ねている。 監督には『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』のメキシコ出身のアルフォンソ・キュアロン監督で、近未来の地球を描く問題作を原作とは異なるアプローチで描いている。 【ストーリー(ネタバレなし)】 2027年。我々人類にはすでに18年間も子供が誕生していない。このままでは、そう遠くない日、地球を引き継ぐ者はすべて地上から消え去ってしまう!その原因は遺伝子操作か大気汚染か未知のウイルスか解明されない、 そんななかで世界をどん底の悲しみに陥れたニュースが駆け巡った。11月16日、ブエノス・アイレスで「人類最後の子供」リカルドが事件に巻き込まれて18歳で亡くなったのだった。世界各地でこのニュースを聞いた人々は泣き、ますます人類の未来に展望を持てず絶望するのだった。 エネルギー省役人セオは、人類の未来はおろか、自分の将来すら興味のない絶望を生きる男。セオはリカルドのニュースロンドン市内のカフェで知り、外に出た直後に危うく爆破テロに巻き込まれそうになりショックのあまり出勤後上司の許可を取り半休で勤務を切り上げ郊外に住む旧知のフォト・ジャーナリストでもある友人のジャスパー宅を訪ねる。 ところが或る日、白昼堂々セオは何者かに拉致されてしまう。強引に車(バン)に押し込められマスクを被せられ、マスクを暫くしてから剥がされると眼の前には20年前に離婚した元妻のジュリアンがいたのだった。ジュリアンとはセオはかつては反政府活動組織「FISH」での活動を通じて知り合い夫婦となったが、我が子を事故で失った悲しみから立ち直る事が出来ず生きる意味を見失い今では政府役人となった。ジュリアンとは離婚後は没交渉であるがセオは今でも彼女への未練がどこかに残っていた。 ジュリアンらは政府機関で働くセオに対して、通行許可証を手に入れることで反政府組織として追われるFISHが自由に活動できる事を望んだ。セオは従兄の文化大臣に懇願し許可証を入手した。 そしてセオは同行する事が条件の許可証を入手しジュリアンから計画の概要を聞いた。それはヒューマン・プロジェクトという組織に、密かに妊娠した移民キーを無事にそして政府に極秘裏に届ける事が任務だった。 しかし英国では国境が閉鎖されて8年が経過し全ての移民は隔離されることで最低限の秩序を保っているために、有色人種の移民キーの移送には最新の注意が必要だった。 ルークの運転する車でFISHの活動する牧場までの移動中、セオとジュリアンは20年のブランクを埋めるべく会話に花が咲いていてた。ところが走行中に突如としてセオらの乗った車が襲撃されジュリアンは射殺されてしまう。命からがら銃弾を免れたセオ一味は必死で逃げたが警察に追われ停車を命じられるが、冷静さを失ったルークは射殺してしまいセオはルークに罵声を浴びせる。 ジュリアンという組織のリーダーを失ったFISHだが、何とか牧場にキーを届けた。だが、リーダーを失った組織内部には穏健的なジュリアンを好ましく思わないグループの一味は、キーを政治的に利用する計画を練っていたのだが...。 さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。 1.セオが牧場で偶然知ってしまったジュリアン襲撃の真相とは? 2.セオはジュリアン襲撃の真相を知り密かにキーと夜中に脱出しジャスパーの隠れ家に向うが、果してセオとキーは安全に過ごせるか? 3.ヒューマン・プロジェクトとのつながりのあったジュリアン殺害で、セオは如何にしてキーを無事にヒューマン・プロジェクトに届けるのか? 4.キーは如何にして妊娠したのか? 5.不穏な動きを見せる隔離された不法入国者たちに対し、政府側は如何に対応するのか? 6.相反するイデオロギーを持つFISHだが、果してセオとキーは彼らから逃げ切れるのか? などを中心にこの近未来のSF映画は是非映画館でお楽しみ下さい。 【鑑賞後の感想】 日本では少子化が叫ばれる中、その一方で第三世界では人口爆発による飢饉が深刻化する地球。この映画では地球に18年間も子供が誕生しないという地球規模での深刻な悩みを抱え、このままでは確実に人類は滅びてしまう。 こうしたテーマをしかもこのSF的な設定が2027年の英国であり、しかも移民を不法入国者として隔離するという強圧的な方針で辛うじて秩序を保っている。こういうテーマは決して飛躍しすぎていると感じる人は多くないはずだ。 あえて細かい点を気にするならば、キュアロン監督の方針もあって人類に子供が生まれなくなった理由はさらりと流されてしまった。更に、「ヒューマン・プロジェクト」に付いても人類の将来を担うキーを預かるという重大な任務を請け負いながらも、その組織の実態や活動についても不透明なままだった点。この2点は監督自身のコメントでは重要視していないようで、むしろ、ジャスパーの個性的なキャラクターが目立っていた。 俳優陣では話題の注目作に立て続けに出演するクライヴ・オーウェンの演技力も光るが、ジュリアン・ムーアの出演シーンが意外と早い時点で終わってしまった点は物足りなかった。 作品全体としては脚色までこなし原作の中身を自身の手で大幅に改作したアルフォンソ・キュアロン監督のカラーが強く出たのではないだろうか? 【自己採点】(10点満点) 7.7点。作品のテーマは素晴らしいし興味深かっただけに、細かい点をもう少し描いて欲しかった。 人気blogランキングへ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【写真館】 東北温泉巡り1 東北温泉巡り2 [今日の主なBGM]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 1.Dave Grusin/Mountain Dance お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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2006.12.01 23:00:53
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