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マックの文弊録

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2011.05.23
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カテゴリ:よもやま話
【2011年辛卯 5月23日 月曜日 旧 四月二十一日 戊寅(つちのえ とら) 赤口:】

私にとっての五月は今までのところ散々なものであった。
連休の期間は、短期間であったが安曇野に遊ぶことができた。折柄の中国由来の黄砂に視界は多少妨げられながらも、随分久しぶりに北アルプスの雪峰や有明山の姿を、菜の花の黄色や花桃の深紅を前景にして眺めることができた。懐かしい空気も存分に愉しむことができた。安曇野の空気には独特の「美味しさ」があると思う。

しかし、連休が明けた頃から痛風発作に襲われ、足の腫れとひどい痛みに悩み続けなければならなかったのだ。

痛風というとすぐに「プリン体」を連想するのが普通だが、プリン体そのものは痛風の原因ではない。プリン体は体の細胞(核酸)を構成する、人体には必須の物質である。
痛風の原因物質は尿酸というものだ。血液中にこの尿酸の量が増加すると、これが結晶化し主に関節に沈着する。これが原因となって炎症を起し、激痛みや腫れを引き起こすのである。尿酸の結晶は、比較的体温の低い場所に沈着しやすいため、痛みや腫れは足指の関節付近に起こり易いのである。尿酸結晶の写真

つまり私の30歳代のころからの持病は高尿酸血症なのである。高尿酸血症の原因は、約8割が体質(つまりおおむね遺伝)で、2割程度が食事を中心とした生活習慣だそうだ。
高尿酸血症は尿路系結石を引き起こす場合があるが、私の両親は共に「石持ち」(胆石ではない)だったので、私の高尿酸血症は多分に両親から受け継いだものである可能性が高い。

「痛風は贅沢病」であるとか、「かのナポレオンは、皇帝になってから美食にかまけて痛風になった」とかいう「風評」があるが、私は憚りながらそんな贅沢、美食などには余りご縁が無いし、上に述べたように原因としての美食の可能性は統計的に2割弱程度である。
だから、この持病とは今後もじっくりお付き合いしなければと、観念してもいる。

冷血?温血?しかし、痛風の痛みというのは本当に半端ではない。よく患部が「風に吹かれても痛い」といわれるが、本当にそれに近いのだ。こうなると、どこかに軽くであれぶつかるのなどもってのほか、どんな姿勢をとっても痛いから、夜の眠りは浅くなり、慢性的な睡眠不足に悩まされるようにもなる。勿論歩行も困難になるし、意気も阻喪して積極的・闘争的姿勢など失せてしまう。

ところが、この高尿酸血症、動物の中でも哺乳類。哺乳類の中でも霊長類だけに特有の病気なのだそうだ。もっと簡単に言えば、痛風はサルとヒトだけの病気なのだ。

上にも述べたとおり、プリン体は細胞(核酸)の構成物質のひとつである。
「使用済み」や「余った」プリン体は酵素によって分解されて、尿酸になり。これが更に酸化アラントインまで分解される。アラントインというのは無色透明の水に溶けにくい固体結晶で、傷の回復を促進する性質があり、化粧品などに配合されることもある。

ところが、ヒトとサルには、この尿酸からアラントインにまでの分解を促す酵素(尿酸オキシターゼ、別名ウリカーゼ)を持っていない。そのため、ヒトやサルのプリン体代謝の最終生産物は尿酸ということになり、尿酸の産生が亢進したり、或いは尿酸の排出力が低下したりすると高尿酸血症、つまりは痛風の原因になるわけだ。

刹那の悔恨
なぜヒトやサルが、この酵素を失ってしまったかは未だはっきり解明されていない。
だが想像してみると、過去のある時点(約5千万年以上前)で、ヒトやサルの共通の祖先に突然変異が起こってこの酵素を失った個体が生じた。今では良く知られているように、突然変異(遺伝子上の変更)が起こるのは極当たり前のことだ。殆どの突然変異は意味が無かったり、無駄なものであるが、自己修復の作用や、環境要因などによって淘汰されて、結果的に極わずかの突然変異だけが子孫に継承されていくのである。

この突然変異の起こった時代には、我々の祖先は主に木の実などを食べており、肉や魚などの核酸をたくさん含んだ食物は摂取していなかった。そのせいで体内へのプリン体の蓄積は無く、この突然変異は生存上のハンディキャップにはならなかった。つまり、尿酸分解酵素の欠損は環境によって淘汰されること無く、その後の子孫である我々に継承されていったのだという可能性はありそうだ。

尤も、この酵素を欠いた祖先が、酵素をちゃんと持っている連中に対して何らかの生存上の優位を持っていなければ、我々現生のヒトやサルの祖先にはなれなかったと思うのだが、その点は私には分からない。

何れにしろ、私の高尿酸血症の遠因は、約5千万年ほども前の祖先にまで遡るようである。これじゃぁ、不平を鳴らしてもしょうがないから、せいぜい子孫の一人としては尿酸値の低下と養生に努める事しか無さそうである。

それにしても、最近は信州の温泉に浸かっているニホンザルを思うと、何となく同胞意識を感じてしまうのである。
幸い昨日辺りから、お蔭さまで少なくとも痛風発作の症状は随分改善してきた。





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最終更新日  2011.05.23 15:08:26
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