石狩振興局農務課です。
石狩振興局では、健康にやさしい石狩の食材の安全性、おいしさ、機能性などを再認識していただき、また、現代の食生活のスタイルが大きく変化する中で、生涯にわたる健康と地域の食の価値を皆さんとともに考えるセミナーをシリーズで開催しています。
11月6日、紀伊國屋書店札幌本店インナーガーデンを会場に「第1回セミナー」を開催しました。
◇テーマ 収穫の秋!感謝の心をコメて、お米を食べよう!
<概要>
普段食べているお米をテーマに、地産地消によっていつもの食卓を豊かにするアイデアを提案します。おいしくなった北海道米のヒミツを解説し、石狩管内で生産されたお米の食味体験を通して品種や産地のバラエティーさを紹介しました。
◇内容
・ゲストトーク1:「やっかいどう米」からの進化~北海道米はおいしくなった~
ゲスト:川村周三氏(北海道大学大学院農学研究員食品加工工学研究室准教授/農学博士)
・ゲストトーク2「教えます!個性を活かしたお米の食べ方」
ゲスト:範國有紀氏(ごはんソムリエ/フードコーディネーター/栄養士)
・お米の食味体験:府県米と北海道米の食べ比べ、石狩管内のJAオリジナルブランド米の食べ比べ
・今話題の「米粉」を使った道産まるごと餃子の試食
川村周三さんのトークでは、「やっかいどう米からの進化」「北海道米の食味向上の軌跡と奇跡を追う」「北海道米の食味向上の理由を探る」の三つのポイントでお話をしていただきました。1991年から川村さんが携わってきた「米の食味試験(食味官能試験)」での全国のお米の食味ランキングや北海道米の評価の推移(変化)、北海道米と府県米の理化学特性、さらに北海道米のおいしさ向上の三つの理由(わけ)を解説していただきました。
北海道米,美味しさ向上の三つの理由(わけ)
第1:品種改良
きらら397、ほしのゆめ、ななつぼし、ふっくりんこ、ゆめぴりか
美味しい低アミロース系統品種の育成
第2:栽培技術
窒素肥料を抑え、米のタンパク含有率を抑え
適度に軟らかくて粘りのある美味しいお米
第3:収穫後技術
自動品質判定、籾精選別、玄米色彩選別、超低温貯蔵
美味しい米を選り分ける最先端技術,貯蔵後も新米と同様な美味しさ
まとめでは、今まで「北海道のお米は不味い”やっかいどう米だった”」が今や北海道米は「良食味米」、北海道農業の「牽引車」に変身し、日本の食料基地として北海道農業の役割は更に重要となったことや今後の北海道米の新たな可能性として、粉食での利用に向けた技術革新が必要とお話いただきました。
第2部では、範國さんから、北海道米の魅力であるバラエティーさやお米のおいしい食べ方等をご紹介いただきました。また、川村さんとお二人でのトークでは、お米の保存の仕方について、アドバイスがありました。会場の方にお米の保存方法を聞いてみると、米びつやキッチンの下などで保存している方が、約8割、冷蔵庫で保存している人が約2割。冷凍庫はいませんでした。最適なお米の保存方法は、超低温貯蔵がおすすめと言うこと。家庭では、冷蔵庫や冷凍庫にお米を入れておくのがオススメ!
セミナーでは、お米の食味体験をしていただき、北海道米のおいしさを味わっていただきました。
食味体験では、1回目にはトレイに黄色と赤色の印を付け、2種類のご飯を盛り、食味体験をしていただきました。会場の皆さんには一つは府県産米、もう一つは北海道米という情報のみです。試食後、皆さんに「どちらが良かったですか」とお聞きすると7割が赤色の印がついたお米を選んでいただきました。
黄色のお米は「魚沼産コシヒカリ」、赤色のお米は「ゆめぴりか」です。
石狩管内では、土づくりを大切にし、化学肥料や化学合成農薬を必要最小限に抑えて生産したお米を原料とした「JAオリジナルブランド米」を販売しております。
セミナーでは、3種類のお米を紹介し、食味体験をしていただきました。
右から「田楽福(たらふく):JA新しのつ(おぼろづき)」、「う米蔵(うまいぞ):JA道央(ななつぼし9割+あやひめ1割)」、「加夢加夢(かむかむ):JA石狩(ななつぼし)」です。
注目の「米粉」。米粉とは、その名のとおり「米の粉」です。以前は和菓子等に利用されていましたが、製粉技術の進歩でいろいろな用途に利用できるようになりました。エスニック料理、ロールケーキやシフォンケーキ、天ぷらと利用のバリエーションが広がりました。セミナーでは、米粉を使い餃子の皮を作っている札幌市内の「茶寮あきもり」さんにご協力いただき、米粉を使った道産まるごと餃子を試食していただきました。「もっちもち」の食感に「おいしい」と評判でした。
※「茶寮あきもり」さんは、北のめぐみ愛食レストランの認定です。
今や日本の米どころとなった北海道。今日に至るまでの北海道の米づくりの歴史は、約130年。寒冷地では不向きとされながらも、日本の大切な食文化をこの北海道の地に第一歩を踏み出した「中山久蔵」と「赤毛」。そしてこの北海道を黄金色輝く稲穂を大地に稔らせてくれた多くの先人達。量から質への転換期に果敢に品種改良に取り組んできた研究者達。私たちが、未来の子供たちに何を残せるのか。この豊かな北海道の自然・大地、恵み。そして先人達の努力ではないでしょうか。