郡上鮎の楽しみ(その1)
こんにちは、郡上農林事務所です。皆さんは「郡上鮎」をご存知ですよね世界農業遺産「清流 長良川の鮎」の中核をなす、ブランド鮎の筆頭です様々なメディアで取り上げられていますので、名前は聞いたことがあるはずですそして、その釣りも、日本の夏の風物詩として、少なくとも岐阜県には無くてはならないものになっています。毎年夏になると、地元の人はもちろん、全国からこのブランド鮎を求めて、多くの釣り人が郡上に集まります 郡上地区長良川で釣り上げられた大きく美しい鮎釣り人は夕方になると、何匹かの鮎を手に、家族の待つ家路を急ぐのですが、なんと、郡上鮎には、家族のために持ち帰る楽しみのほかに、自らが商品の生産者になることができる楽しみがあるのです今回は、一般の釣り人も郡上鮎の流通に直接関わることができる、画期的なシステムを中心に、郡上鮎の楽しみ方をご紹介しますまず郡上鮎の流通量についてですが、さすがに名だたる郡上鮎ですから相当量が市場に出回っていると思いがちですが、意外とそうではありません。平成27年の郡上鮎の岐阜市常設市場への出荷量は、1,920キロ。そのほかに、漁協から東京・大阪など大都市圏への直売も約1,390キロ。去年は、合計で約3,300キロの漁協公認郡上鮎が世間に出回りました。郡上漁協管内の漁獲高は、平成27年で130,976キロですから、自家消費分も含め、127,659キロ、実に97.5%もの鮎が、立派な郡上鮎でありながら、公式ブランド鮎以外の郡上鮎となって流通しています。県下全体の鮎流通量は、平成26年度の統計によると、469,067キロですが、そのうち市場へ出荷されるのは53,543キロとなっています。ということは、数字上だけですが、市場から卸される郡上鮎を手に入れられる確率は数パーセントです。我々庶民が日常の買い物で郡上鮎を手に入れることは、これだけみるとあまり期待できないことになります・・・。でも、そうなってくると余計に食べたくなるのが人情というものです。天然郡上鮎を味わうためには、都市圏で貴重な郡上鮎を狙うより、郡上へ出向いて、自分が釣り人になるか、直接漁師さんや釣り人から買い上げている市内のレストランや料理店で、地元の空気や水とともに楽しんでもらう方が確実ですそうすれば、郡上踊りや白鳥踊りとともに、たくさんある郡上の産物を堪能していただくことも可能ですしねただ、やはり、街に居ながら郡上鮎を楽しもうとしたら、市場出荷高を増やしてもらうしかありません前置きが長くなりましたが、この、公認ブランド鮎の出荷高を増やす行程に関わってくるのが、他でもない一般の釣り人なんです。なぜなら、郡上漁協が認定する「郡上鮎」は、「竿により友釣りで釣られたもの」だからです。釣り人と漁協によって構築されたこのシステムは、非常に単純なものです。釣り人は、釣れた鮎を、その日の夕方、そのまま漁協事務所か市内に3箇所ある公認出荷所へ持ち込むだけです。数も問われません。一匹でもOKです。(ただし、魚の質は厳しく問われますけど・・・。) 郡上地区長良川で釣り上げられた鮎お見事(参考:郡上鮎出荷所)〇郡上漁業協同組合 郡上市八幡町有坂1238 TEL0575-65-2562〇だるまや 郡上市白鳥町白鳥南條川原1110-2 TEL0575-82-2057〇杉錠 郡上市八幡町島谷1298 TEL0575-65-2021〇福手釣具店 郡上市美並町三戸1054-1 TEL0575-79-2283郡上鮎を市場へ出すからには、ヘタなものは扱えませんそのため、とにかく広く集荷し、市場販売に耐えられるだけの大きさと数を揃えるのです。出荷所では、担当の目利きさんが、持ち込まれた鮎を、一匹ずつ吟味して、鮮度はどうか、売り物になるか、養殖鮎が紛れ込んでいないか、大きさはどうかなどを厳しく見極めます晴れて郡上鮎と認定された魚は、その時の相場にあわせた値段での買取となります。と、ひとまず今回はここまでにして、次回は、郡上漁協直営出荷所での出荷作業について紹介します