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カテゴリ:食べ物シリーズ
【4月10日・木曜日】 今朝、目覚めるや否や、枕元に置いた携帯電話を手探りで取り上げ、時刻を見ると6:36、ありゃりゃ、遅刻かな、と思いながらそのまま娘のトルコ携帯のクイック・コール・ナンバーを長押ししてみた。 「あ、お母さん、どうかしたの?」 「ご来光見えたか、V子?」 「すごいね、こんな山のてっぺんに電話かけて来るなんて。それに、普通に繋がったと言うのにもびっくりした~!」 「日の出はそっちの方じゃ5時少し過ぎたころでしょ。どうだった?」 「それがね、山に登る時は晴れていたのに、山頂でもう少し待てばご来光が見えるって言うところで、急に深い霧がわいてきて、たちまち全然何も見えなくなっちゃったのよ」 「そりゃあ残念だねえ」 「いつまで待っていても霧が晴れないし、グループの人達とはぐれちゃったから2人だけで降り始めたの。いま、西のテラスを回って下山の途中」 「道に迷って遭難しないでよ」 「大丈夫、もうじき山小屋に着くし」 ハルコさんとも電話を代わると「ご来光は見えませんでしたけど、霧にすっぽり取り巻かれて真っ白で、それはそれで素晴らしい経験をしました」と喜んでいた。 もう一度V子に替わると、彼女は 「お母さん、ネムルート山に登るとき、前にも泊まったホテルの人がね、あんた7~8年前に3人で来ただろっていうの。覚えていてくれて、特別値段でアタテュルク・ダムとか、フラット河(ユーフラテス河)近辺のテクネ・ツアー(観光船ツアー)をして、最後にガージアンテプまで送って行ってくれて、宿の泊まり賃とか送迎全部入れて、1人200ドルでやってくれるって言うから頼んだのよ。高くないよね」 「いいんじゃないの、安いくらいだと思う」 「よかった。じゃあ、アンテプに着いたらまた電話するわ。で、明日の昼頃帰るからね。」 「そうしなさい。気をつけてね」 「いま山小屋に着いたからそろそろこの辺で」 「そう、じゃあまたね」 私は電話を切った。 ほどなく起きた私は、夕べ美樹さんと食べて、まだ鍋の半分以上、たっぷり3人前は残っているおでんをもう一度煮立て、冷ましてからプラスチックの容器に移し、明日の昼ごろ帰ってくると言う娘達に食べさせるつもりで冷蔵庫に収めた。 娘が言うかもしれない。 「お母さん、自分で食べたらいいでしょ。私達は帰ればいくらでも食べられるんだから。それより、あと2日か3日なんだから、もっとトルコ料理が食べたいよ!」 うん、それももっともだ。よし、帰って来ていらない、と言えばあとで自分で3回に分けて食べよう。なにしろ、美味しくてほっぺたが落ちそうなんだから。 ゆうべ、美樹さんも丸い目をさらに丸くして「わ~、はんぺんまで入ってますね」と喜んでくれたし、盆栽を見た後に、おでんというのも乙なものだ、と10時半過ぎまであれやこれやと話がはずみ、最終バスに乗るぎりぎりまでいてくれたので、久々に爽快な気分になれた。 美樹さん。おでんのほかにカタクチイワシの みりん干しもたいそう気にいってくれました。 私。油揚げとほうれん草の味噌汁なんて、トルコじゃ滅多に食べられない。 おでんの種:はんぺん、ちくわ、厚揚げ、油揚げ、ゴボウ巻き、 蒟蒻、昆布、じゃがいも、にんじん、大根、えのき茸、味噌汁。 カタクチイワシのみりん干し網焼き、大根おろしを添えて。 というわけで、今日は午後からこそこそと片付け物を始めたのだが、よく晴れていて西日の当るベランダが明るいので、急に思い立ってベランダの掃除をすることにした。 ところが、2年くらいベランダに出たこともないので、うずたかく土ぼこりが溜まっており、夕方薄暗くなる頃までかかって、植木鉢の大小何十個というのを捨てることにし、それらをまとめて特大ごみ袋2つに入れて家の廊下に運び、オスマンがどこかから帰ってきたのでちょっとうちに来て、と呼んでまあ、10リラ(500円程度)を握らせ、「今日と明日でゴミ袋が沢山出るから協力してね」と頼んだ。これはチップ先払いである。 ベランダに置いてあった木の椅子や大きな板がもう風雨にさらされ、使い物にならない状態なので、これらもうんうん言いながら運び、猫に脱走されないよういちいち鉄格子を閉めて鍵をまわし、もう、何をするにも容易ではない。 やっときれいになったベランダ。余計なものは殆ど捨てました。常にこうでなければ! さいわい、下の猫達に餌をやるまでにはベランダはきれいになった。その代わりサロンはもうひと踏ん張りだ、と日が暮れる頃休憩をしていたら、今度はV子の方から電話がかかって来て、こんなことを言う。 「お母さん、今ガージアンテプに着いたんだけど、もうゼウグマに行く時間がないので、私達もう一日延ばして、ぜひ見たいの。土曜日の朝イスタンブール行きに乗るからいい?」 「あ、もちろんだよ。アンテプに行ってゼウグマを見ずに帰ってくるんじゃ行く意味がない。見てきなさい、見てきなさい(しめしめ、明日もう一日掃除する時間が出来たぞ)。」 「じゃあ、そうするね」 ばんざ~いっ!! ゼウグマというのは、ユーフラテス河にダムが建設されると、湖水に沈む運命だったゼウグマ遺跡から救出されたモザイクの数々を収納し、2011年9月にガージアンテプにオープンされた世界最大のモザイク博物館のこと。正式名称はゼウグマ・モザイク博物館と言う。 ゼウグマ・モザイク博物館の収蔵モザイク こちらから Google画像から拝借しました。 私は先日煮ておいた挽き肉のそぼろ煮を食べ忘れていたので、駄目にならないうち、外猫達のパンの餌にたっぷりとまぶしてやり、外に持って出た。 タロー、ター坊、太陽ちゃん、シェケル、アオメ、その他の猫達がウシウシ大喜びで食べているのを見守りながら、しばらく立っていたら、ポツッ、と顔に雨が当たった。通り雨らしかった。 ところがその晩、サーナック・ヤーシュ(突然の雨)が襲ってきた。そしてそれは本降りとなってしとしとと続き、夜半になってもやむ気配はなかった。 ベランダを掃除するなど、余りに珍しいことをしてしまったので、天気が変わってしまったのだろう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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