動物のゲップ・メタン除去技術開発
前回の内容に関連する情報が有りました。《牛や羊などの反すう動物のゲップとともに吐き出される、温室効果ガスのメタンについて、帯広畜産大の高橋潤一教授(循環型畜産学)らの研究チームは体内から除去する技術を開発した。牛などのゲップから出るメタンは温室効果ガス全体の約5%を占めているとされ、地球温暖化の防止対策として注目されている。牛、羊、ヤギなどの反すう動物の家畜は世界で約30億頭が飼育され、メタンは胃の中で植物の繊維を微生物が分解・発酵する過程で発生する。メタンは、同じく温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)の約23倍の温室効果があり、また、ふん尿から発生する亜酸化窒素も二酸化炭素の296倍になるという。環境省によると、06年度の速報値で国内のメタンの排出量はCO2換算で約2380万トン、このうち牛からの排出量は約678万トンに達している。高橋教授らは6月、環境問題が主要テーマとなる北海道洞爺湖サミットを機に、帯広市で国際シンポジウムを開く方針。高橋教授は「温暖化防止のため、二酸化炭素だけでなく、メタンにも関心を持ってほしい。シンポでは温暖化への課題を解決する方法を紹介しながら議論していきたい」と話している。高橋教授は、硝酸塩が含まれる飼料を食べた家畜の中毒症状について研究する過程で、多量の硝酸塩が含まれた牧草を食べた乳牛のゲップにメタンがほとんど含まれていないことを発見。さらに、硝酸塩とともにアミノ酸の一種「システイン」を加えると、中毒を抑えられることが分かった。生乳の品質には影響がないという。高橋教授らは既に日本、米国、カナダなど5カ国で技術の特許を取得。酪農国の豪州やニュージーランドなどが関心を示している。》