風の詩を聴かせて 桑田佳祐
ソロとして今年2作目。前作のような派手な仕掛けはない。墨絵のように心のままに描いたような味わい深い作品のなった。メロディは落ち着く場所へ進まず寄り道を続ける。さざ波に呼応するかのように。若くして亡くなったプロウインドサーファーとその家族を描いた映画「Life 天国で君に逢えたら」の主題歌 。故人がサザンオールスターズをよく聴いていたということで作曲の依頼が来たようだ。想いを胸に制作に取り組んだであろうことが伝わってくる。故人を偲ぶように楽曲のストーリーが進んでいく。下敷きはエリック・クラプトンの「ティアーズ・イン・ヘブン」であろうか。やはり亡き息子を描いた秀作だ。アコースティックギターで故人と対話しているかのような自然体の歌。コマーシャル性の低い楽曲を発表したことに拍手。何度も聴くたびにリスナーのなかで熟成され色を変えるこのような楽曲も素晴らしいと思うのだ。シングルとして一般に広がり認知されることはとても嬉しい。そろそろ桑田さんにオリジナルソロアルバムを作ってほしいな。どちらかというとソロアルバムは自分のルーツを探るような作品が多かったから、1作目「keisuke kuwata」のような先進性のある過激な作品、期待してます。【CD】風の詩を聴かせて / 桑田佳祐【VICL-36800】