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最近、西村京太郎のミステリを何冊か読んでいます。とはいっても、時刻表シリーズではありません。どうも私はその系統が苦手なようです。面白かったが、クロフツの『樽』も決して得意なタイプではありません。 西村さんは、初期の頃は鉄道ミステリではない作品を多く残しています。公害や差別など、社会問題をテーマにした作品(『汚染海域』など)『、『怒れる12人の男』のように、証言の矛盾を明かしていく作品(『7人の証人」)、オカルト的な雰囲気のもの(『幻奇島』『鬼女面殺人事件』)、まさに本格ミステリといった作品(『殺しの双曲線』)などなどとあります。 なぜこれほどはまったかというと、最初の問題の設定がすばらしかったからだと思います。結構早く事件が起こり、読者を引き込んでいくということもあります。それだけでなく、「誰も乗っていない船が海を漂っていた」というところから始まったり、「警部がいきなり襲われて、なぞの島につれてこられた」というところから始まったりと、読者をいきなりがっしりとつかんでしまいます。 あまり犯人当てや、証拠探しといった本格の面を見せてくれることは少ないような気がします。非常に読みやすく、バリエーションに富んでいることも魅力です。ただし、私は時刻表が得意ではないので、後期の作品は苦手かもしれません。 個別の作品はまた紹介していきます。
昨年、ほとんど更新できず申し訳ありませんでした。それでも読んでくださった方、大変ありがとうございました。 一応、細々と読んできたミステリがありますので、今年はそれをねたにできるだけ更新していきたいと思います。 それでは今年も、よろしくお願いいたします。
『「探偵クラブ」傑作選』という本を読みました。これは、過去の雑誌から作品を選んで編まれた、光文社文庫シリーズの1冊です。 もちろん、これ以外にも『「新青年」傑作選』や『「宝石」傑作選』などあるのですが、『「探偵クラブ」傑作選』はそれらの中でも、ちょっと趣が異なっています。な座なら、収録作品が変わっているからです。 はじめに「殺人迷路」という作品が収録されています。これは、「完全犯罪は可能か?」という喫茶店での会話に端を発する、連作探偵小説です。話自体もどうなるのかわくわくするものですが、執筆陣の豪華さもわくわくさせます。森下雨村、大下宇陀児、横溝正史、水谷準、江戸川乱歩・・・ワオ!! 次には、城昌幸らをはじめとする、数ページの短い「探偵コント」がのっています。水谷準の『僕の「日本探偵小説史」』が特に、著者のうきうき感も伝わってきて面白い。 最後は、また風変わりですが、雑誌への投稿作品とそれに対する乱歩の評価が載せられています。短いですが、トリックを使った作品、幻想的な作品、コメディタッチの作品など、いろいろ読めます。乱歩の『黄金仮面』などに題材をとった作品もありました。 この異色の短編集、おすすめです。
今回も昔の読書メモから。Austin FreemanのMr Polton Explains(『ポルトン氏説明す』)をご紹介します。この作品はもちろんソーンダイク博士シリーズなのですが、な、な、なんと今回の主役はポルトンです。ポルトンは、ソーンダイクの助手にして時計技師。メカニックにたけた人物です。 作品の前半はポルトンの伝記です。ポルトンが盗人に間違えられてしまう話や、子どものころから時計を治す技術があったエピソードなどが紹介されています。 後半は事件編。モックスデールさんという人らしき焼死体が発見されます。しかも死体の周りにはフィルムが散乱している。くびの骨が折れているが、生前の傷か否かは分からない。 ソーンダイクは、その死体を歯や持ち物などの特徴から本当にモックスデールのものかを検討します。この辺りはさすがソーンダイクシリーズです。後にポルトンの時計の知識も生かされてきます。 事件自体はそこまで驚愕のものではありませんが、ポルトンにも興味があるソーンダイクファンは読んでもそんのない一冊です。
今回も昔の読書メモから、Arthur Reeve(アーサー・リーヴ)のThe Silent Bullet(音なしの弾丸)という短編集を紹介したいと思います。本作品のレギュラーメンバーは、科学者探偵のクレイグ・ケネディ、ワトソン役のウォルター・ジェイムソン、警部のオコナーです。ほとんどが、当時最新の科学知識や技術をトリックとして用い、そのトリックを科学に基づきケネディが解き明かすというものです。これはたぶん最初の短編集で、後のもののほうがあもしろさがアップしているような気もしますが、記念すべき初作ということで、まず紹介します。 The silent Bullet(音なしの弾丸) 銃で撃たれた死体があるが、そのとき銃の音を聞いた人もいなければ、銃の煙を見た人もいない、という事件。 The Scientific Cracksman(科学的な金庫破り) 鉄壁を誇るはずの金庫が破られた。ケネディは、なんと、一見関係なさそうな電気の使用量の変化に目をつけます。 The Bacteriological Detective(細菌学探偵) チフスで死んだ男がいた。たしかに病死なのだが、遺言に引っかかる点があった。筆跡と心臓という意外な組み合わせが面白い。 The Deadly tube(死に到るチューブ) グレゴリー医師の放射線治療が失敗し、クローズさんは怪我をした。しかし、ケネディは本当に事故なのかと疑問を持ち、調査に乗り出す。 The Seismogroph Mystery(地震計の冒険) 『シャーロック・ホームズのライヴァルたち3』(ハヤカワ文庫)に翻訳あり。 The Diamond Maker(ダイヤモンド製造者) 金庫破りによる宝石盗難事件。しかも、宝石の作り方を知る男までが登場して・・・。 The Azure Ring ワインライトさんとテンプルトン氏が窒息死体で発見された。しかし、どのようにしてそうなったかははっきりと分からなかった。 "Spontaneous Conbustion"(「自然発火」) ラングリーさんの、上半身がこげた死体が発見された。これは、自然発火元璋のなせる業なのだろうか? The Terror in the Air(空中の恐怖) ノートンさんのジャイロスコープをつけた飛行機が2台ともなぞの墜落を起こした。ノートン自身もフライトを試みるが・・・。 The Black Hand(黒い手) 毒物を使いこなすという秘密組織「黒い手」にゲナーロ氏の娘が誘拐された。ケネディは秘密道具を駆使して「黒い手」に立ち向かう。 The Artificial Paradice(人工の天国) 行方不明のゲレロ氏の捜索に乗り出したケネディたちは、その過程で「人工の天国」という怪しい店を発見する。ケネディも客に成りすまして突入。 The Steel Door(鋼鉄のドア) カジノにいた負け続ける男のなぞ。 コメント どの作品に関しても、なぞの設定はとてもよいと思われます。科学的な地恣意を使っているのも面白いが、どちらかというと道具を使ってなぞを解くタイプであり、論理的な推理の積み重ねというタイプではない。言語連想による心理テストや、心臓病と筆跡の関連、薬品発火による金庫破壊など、面白いトリックが満載。毒物も実辞するものを使いながら、よくもここまで多種多様なものを使って作品を書くものだと思います。
最近読んだ本ではありませんが、昔まとめたノートが見つかったので、そこに記録されたミステリ洋書を何冊か紹介していきたいと思います。最初は、オースティン=フリーマンの作品The Mystery of 31, New Innを紹介したいと思います。これは科学者探偵ソーンダイク博士が登場する長編で、1912年の作品です。1912年というと『オシリスの眼』(後日紹介)と『静かな目撃者』(未読)の間に位置する作品です。代表作と見る向きは多くないかもしれませんが、冒険の要素、奇怪な発端、手がかりなど十分な骨格を備えた作品です。 物語は、ジャーヴィス(ソーンダイク物語のワトソン役)医師のところに、奇妙な患者が来たことから始まります。その患者は、外を見えないようにした車でジャーヴィスをぐるぐる連れまわして「病人」のところまで連れて行きます(ホームズで言えば、「技師の親指」ですね)。どうも、彼の見立てでは(瞳孔の散大などから)モルヒネ中毒ではないかと考えるのですが・・・。 ソーンダイク博士もその病人を不審に思い調査を企てるが、場所が分かりません。その場所を突き止める方法も、実にソーンダイクらしい方法です。そのほか、逆さにかけられた絵の手がかりや、割れた硝子からめがねを復元し、その度数から人物を割り出すという彼の本領を十二分に発揮した手がかりもあります。また、ジャーヴィスが犯人に襲撃されるというスリラー的なくだりもあります(ちなみに『赤い拇指紋』では、ソーンダイクが狙われた)。 ソーンダイクは秘密の?アイテムを駆使して館に着き、いろいろな手がかりを見つけて何が起こっていたのかを推理していきます。「もう手がかりはそろったのだから、君にも分かるはずだ」とソーンダイクがジャーヴィスに言った言葉が示すように、フェアプレイを目指した本格作品であります。
甲賀三郎の『恐ろしい凝視』を読みました。復刻版で、ある古書店にて1000円で購入しました。甲賀三郎というと本格(謎解き、論理)ミステリというイメージが強いですが、本作品ではその枠には収まりきらない作品も多く取り上げられていました。 収録作品は 「従弟の死」「大下君の武勇伝」「急行十三時間」「記憶術」「恐ろしき凝視」「錬金術」「嵐と砂金の因果律」「魔の池事件」「戀を拾つた話」「青春への嫉妬」「見えざる敵」「黒衣を纏ふ人」です。 私にとって特に面白かったものを紹介します。 「急行十三時間」・・・けちな父からお金を出させるために、狂言脅迫事件を演じるものの、そこに本当の事件が交わって・・・?主人公たちは列車でお金を運ぶが、怪しい客が乗り合わせて・・。怪しい客が何人かいるので、誰が犯人かという「フーダニット」の楽しみもある。 「錬金術」・・・・小さな禁を生み出すというデモンストレーションは真実なのか、という問題と、高利貸し殺人事件のかかわりは?題名から最後のオチと主人公の職業まで、上手く計算されつくした作品。 「嵐と砂金の因果律」・・・嵐の岬の家に二人の男が来て、それぞれが昔の話を物語る。その二人の関係は・・・?雨の夜一人で読むにはちょっと怖いかも。 「戀を拾つた話」・・・・主人公はある屋で「瀕死の人」から、他人に成りすましてくれとの依頼を受ける。その目的は?ハッピーエンドかバッドエンドか? 自分にとっていまいちだったのは、「大下君の武勇伝」「記憶術」。どちらもユーモラスな作品なのですが、ほかに比べて見所やストーリーの錯綜感にかける。 全体的に、いくつかの別の事件が絡まりあっている作品が多く、手がかりに基づいて推理するというよりは作者のストーリーを楽しむとよい。楽しく読める作品集です。 【送料無料】恐ろしき凝視復刻版
ドーヴァー出版から2009年に発行されたEasy to master mental magic (by James L.Clark)を購入しました。まだ読んでいないのでなんともコメントはできませんが、比較的薄い本なので速く読み終わることができると思います。最近ミステリもマジックも「積読」状態になっている本が多いので少しずつでも読んでいきたいところです。(とはいえ、実はミステリに関して何冊か読み終えた本があるので、読書ノートを引っ張り出して近日書く予定です)。 【送料無料】Easy-To-Master Mental Magic[洋書](by James L.Clark) ![]()
ミステリー文学資料館編『江戸川乱歩と13人の新青年(文学派編)』を読みました。トリックよりも、雰囲気や、怪奇味などを重視した作品を集めたのが「文学派編」です。 収録作品一部紹介 「レテーロ・エン・ラ・カーヴォ」橋本五郎 愛する人に対してつづられた手紙によって構成された作品。最後でひっくり返されます。 「柘榴病」瀬下耽 水不足に困った船がたどり着いた島には・・・?という話。人間の欲望を見せ付けられる。 「レビウガール殺し」延原謙 シャーロック・ホームズシリーズの翻訳者としても有名な延原氏による作品。ホームズ作品はにも似た、畑に停められた車と瀕死?の運転手と、後のその消失という奇妙な発端から始まります。 「胡桃園の青白き番人」水谷準 水谷氏の本領、恋愛的幻想です。「胡桃園」といわれるところに住む人から、友人をそこに招く手紙がかかれます。そして友人が来るのですが・・・。その手紙からしてすでにロマンティックな香りがします。 「ジャマイカ氏の実験」城昌幸 ある外国人が空中を歩いているのを目撃した。その秘密を聞こうとするが・・・。がんばれジャマイカ氏。 【中古】afb【古本】江戸川乱歩と13人の新青年 文学派編/ミステリー文学資料館 │<< 前のページへ │一覧 │ 一番上に戻る │ |
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