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クラシックどっぷり日記 ~音楽回想~

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2010.04.05
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先日、伝説の曲が演奏されました。

 IMG.jpg

 佐村河内守 交響曲第1番

一部では、大変反響があり、ファンの間では、幻とも呼ばれていた曲です。

それが、昨日、東京芸術劇場の大ホールで演奏されました。
自身の体内でも影響を受けている、”ヒロシマ”の原爆に対する曲です。

開演2:00には、指揮者の大友直人さんがマイクを持ち、プレトークをしてくださいました。
この曲を演奏するための、経緯が語られました。元々は、1年位前に、某作曲コンクールの審査員をやっていて作曲家の三枝さんが大友さんに「こんな凄い曲があるから一度スコアを見て」ということを言われたらしんです。その時は、軽く聴いていたそうです。それからすぐクくらいに東響の来シーズンの曲目を決めないととなった時に、スタッフの人が「大友さん、こんな凄い曲があるんですよ」という話で取り上げてみようとなったのが、この交響曲なのです。
昨日演奏されたの広島で行なわれた初演時と同じで、全3楽章あるうちの、1楽章と3楽章のみでした。2楽章も聴いてみたかったんですけどね~。
明らかにお客さんは、前プロのモーツァルトのジュピターを聴きに来た人たちではなく、後半であるこの交響曲を聴きにきたお客さんばかり。

後半の開始ベルが、どんどんお客さんを無言にしていく。

3楽章を演奏すると1時間を越える大曲。まさにブルックナーやマーラーと同じような感覚です。打楽器も大太鼓・小太鼓、シンバル、鐘、ドラという大掛かりなものから、ホルンは何と!8管!ハープにチェレスタ、弦楽ですが、ヴァイオリンだけで16人、ベースも8人と大掛かりな曲です。

大友さんが登場し、全神経が、これから行われようとする奇跡へと、観客も息を呑む。

出だしは、何とも不気味とも思える、ベースの伸ばしから始まり、それに鼓動を打つようにベースのピッツが開始されました。これだけで鳥肌が立ちます。何と孤独に立たされてしまった悲劇しか見えないのです。これだけ暗黒の音楽、それに弦楽器群が交わり、不協和音とまではいいませんが、不安定で綺麗なハーモニクスで全体を取りまとめていきます。
徐々に、壮大な打楽器郡との爆発、悲しみに満ちた鐘が高らかと鳴り響きます、交響曲でも1楽章で鐘が鳴るのは、ほとんどありえません。その鐘の大きさというものは、計り知れなく大きく、遠くまで聞かせるというのもありながら、天に対しても感じれました。
中間、静けさがありがながも、終わるような気がしましたが、まだまだ続きます。そんな簡単には詰め切れなかったんでしょうね。計り知れないパワーの集合体です。
静かな中で、冷静を取り戻したように、静かに1楽章は終結します。
全く聴いたこともない曲なので、圧巻は一入です。
演奏に酔いしれている、我々としては、何てトンでもない曲を葬り去っていたのかと喰いに思います。

2楽章でも、ベースでも伸ばしからはじまり、それからの弦楽群の難しさ。あまりにも大変そうなので、自分では出来ないと断念できます。不協和音的でありながら繊細な、音色。彼の中では、鳴り響いている、綺麗なハーモニクス。
打楽器郡の素晴らしいまでの過激さ、激しさが感じれました。タムタムの激しさそして、平和を祈るような鐘の音。終盤は、何とも悲しげな賛美歌のような弦楽器、旋律が綺麗でこのまま終曲に入ろうものかと思えば、平和を祈る鐘が大音量で鳴り響きます。最後はオケの全体と打楽器郡と交わり、最高潮にして終焉しました。

こんなに凄い曲だと思いもせず、終わった後には、ブラボーと拍手の嵐です。
大友さんが、客席に目をやり、賞賛。賞賛した先には、作曲家である佐村河内さんが。
体調も悪いはずなのに、杖をつきながら、壇上に上がり、大友さんに敬意を表す抱擁があり、その瞬間に、拍手も大きくなり、私も自然と心に来るものがありました。
彼には、この拍手を視覚的でしか感じられない、ブラボーという賞賛も聞こえないというのが、本当に神の悪戯としかいいようがないです。
しかし、彼には、この賞賛が、一瞬でも聞こえたんでしょうか、振動として肌に伝わったのでしょう、涙を流している姿が見えました。

ヒロシマに対して送った曲は、多々あります。
団伊玖磨さんの交響曲第6番「ヒロシマ」、ペンデレツキの「広島の犠牲に捧げる哀歌」、大大木正夫さんの交響曲第5番なども広島原爆に対する悲惨さを語る作品ですが、ここまで強大な作品は、なかったように思います。

個人的には、この作品が、彼の中に宿るDNAや彼にだけにしか感じれない悲痛・激痛・虚しさなども入り込まれているような気がしました。

何とも過激な作品でした。

是非、CD化をしてほしい気がしますが、これは絶対生で聴かないと感じれません、ここまでの感動は。

東京公演で終わってしまうのか、と思いきや、今度は8月に京都で、3楽章の全曲版が日本初演されるそうです。初演した秋山さんの手で復活します。これも楽しみですね。

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絶対聴いた方がいいです。






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Last updated  2010.04.06 07:10:47
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