てろてろてろ

原作とテレビドラマは既に見ていたから、筋は知っている。
さてドラマと全く趣きの異なるこのキャスト(山田孝之・中谷美紀)、
どうなることやらと思ってみ始めたのだが…

中谷って何才だっけ？30くらい？
美人だけど、痩せすぎだし額のしわがどうにも気になる…。
せめておでこ全開はやめておろせばいいのに。

山田孝之、元が格好いいのだからあんま説得力ないよなあ…

と思って見たのは最初だけ。
ドラマが動き始めてからは、気にならなくなってました。
なんといっても二人の演技が自然で上手い。
テレビ版のヒロイン、伊東美咲が比較されるのは気の毒に思えてくる。
前述のように中谷の容姿には不満が残るが(もう少し若い頃だったらなあ…)、
補ってあまりあるのが彼女の声だ。
こんなに声に魅力のある女優さんとは知らなかった。
押さえた、しかし底に優しさや気品を感じさせる声の演技をしていた。
この声で毎日起こされる男は幸せものだ。

山田のほうは演技を初めて見たのだが、こんなに上手とは意外だった。
人とコミュニケーションできないオタク男の特有さを、態度や目線で上手く表現していた。

演出も無駄がなく、スムーズに見られた。
エルメスが電車男に惹かれる理由も無理がなく、素直に納得できた。
2ちゃんねる住人の変化も自然でこれがドラマに深みを与えてくれている。
演出の比重を2ちゃんねる住人に重きを置いているテレビドラマとは、
全く別物の話と見ていいだろう。
映画は順全たるラブストーリーと見てさしつかえない。

逆に言うと、先にこんな素敵な映画があったせいで、
テレビ版のスタッフの受けたプレッシャーは相当だったと思われる。
それでも全く違う話として作りあげたのだからあっぱれである。

しかし映画のカップルなら現実にありえそうだ。
もとはいいのにオシャレしてないためにダサになってる男と、
美人なのに近より難い雰囲気のため、彼氏がいないまま年くってしまった女
これならテレビよりは説得力がある。
(テレビはコントラストを逆によりはっきりさせないと視聴者を呼べないのだ)

これから秋の夜長に恋人同士で見るのにピッタリの映画だと思います。あ～、独身時代に見たかった！。