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部下を育てたいなら、彼らに期待をかけよう
教育心理学の理論のひとつに「ピグマリオン効果」というものがあります。これは「教師から期待をかけられた児童・生徒は、実際に成績が伸びていく」という理論です。また教育心理学には「ゴーレム効果」というのもあって、これは「教師から期待されていない児童・生徒は、実際に成績も落ちていく」という理論です。 ピグマリオン効果を発表したのは、ロバート・ローゼンタールという教育心理学者です。 ローゼンタールは、あるアメリカの小学校で知能テストをおこないました。そして先生方に「知能テストをおこなった結果、将来成績が伸びる可能性が高い子どもたちがわかりました」と告げて、子供の名前が書かれたリストを渡しました。 ところが、このリストはまったくのウソ。テストの結果を反映したものではありませんでした。 しかし先生方は、「このリストに書かれた子供たちは、成績が伸びる可能性が高い子供たちだ」と信じて、その子供たちに期待をかけるようになります。 すると子供達も「自分は先生から期待をかけられている。自分はできる子供なんだ」と感じたせいか、実際に数カ月後には成績が目に見えて伸びたというのです。これがピグマリオン効果です。 私がなぜ教育心理学のピグマリオン効果の話からはじめたかというと、実はビジネスの世界でも、「マネージャーから期待をかけられた部下は高い業績を達成する」というピグマリオン効果が発表されているからです。 DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー編集部編訳「動機づける力」にのった論文「ピグマリオン・マネジメント」によると、実証的な研究によって、次のような事実が明らかになったといいます。 ・マネジャーが部下に何を期待し、またどのように扱うかによって、部下の業績と将来の昇進がほとんど決まってしまう。 ・優れたマネジャーは、「高い業績を達成できる」という期待感を部下に抱かせる。 ・無能なマネジャーは、このような期待感を植え付けることができず、その結果、部下の生産性も向上しない。 ・部下は部下で、自分が期待されていると感じていることしかやらない傾向が強いようである。 これはとても興味深い結果です。 部下を育てる力があるマネジャーとは、部下に高い期待を抱くことができ、自分が期待を抱いていることを部下にちゃんと伝えることができている人ということになります。 逆に部下を育てる力がないマネジャーは、部下に期待を抱くことができていない人、部下に期待感を伝えることができていない人ということになります。居酒屋で「うちの若い奴が育たなくてさあ」と愚痴を言っている上司は、実は自分がちゃんと部下に期待感を伝えていないから、育っていない可能性が高いわけです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010.09.25 08:26:26
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