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小説「首輪のニュースキャスター」8
「ただいま・・・阿部キャスターのお帰りでございますよ。」 「おかえり。朝のお散歩、お疲れさま。ちょうど用意ができたところだよ。」 阿部が、その首輪から伸びる鎖をハツ枝に取られて母屋の居間に入って来た。 キク子が、短鞭を食卓の上に置いた監視役のシゲ代に声を掛けた。 「大人しくしてたのかい、阿部さんは。」 「ああ、もちろんだよ・・・脚の鎖は短くなったし、おまけにこのシゲ代様特製の縄褌を締められては走るどころか歩くことさえ儘ならんじゃろう。」 シゲ代の台詞に、阿部の尻の割れ目にズシリと食い込んだ股縄に目を遣ったキク子がクスリと笑った。 1日のうち唯一納屋から出られる機会のこの散歩であるが、阿部が逃亡の機会を窺う様子も無いのは足枷を繋ぐ鎖と縄褌の所為だけではない。 両腕を首の真下まで捻り上げられた高手小手ではバランスが上手く取れず、まっすぐ歩くのがせいぜいである。 更にその真白い歯の間には太い棒状の革轡が咬まされ、助けを叫ぶにも阿部の口からは涎と僅かな呻き声しか漏れないのだ。 「いずれは納屋の中だけじゃなく、散歩も四つん這いで出掛けることになるからね。いひひ・・・。」 椅子に腰掛けたシゲ代の前に、キク子が味噌汁を運んで来た。 「ふふ・・・すっかり素直になったご褒美に、今日からは納屋じゃなく此処で皆と一緒に餌が喰えるよ。良かったねえ、阿部さん。」 「ほら、遠慮せずにお座り。」 キク子の言葉に力無く俯いていた阿部が顔を上げると食卓の下、床の上に小さな筵が敷かれていた。 阿部が此処に囚われてから、既に数日が経とうとしていた。 一切の衣服を与えられない全裸、檻の中での排泄・就寝、厳しい緊縛と猿轡、首輪を引かれての屋外散歩、犬芸の調教、虎吉の手による入浴、そしてこの犬食いの食事・・・初日に施された強烈な折檻にすっかり怯えたと見えて、阿部は殆ど抵抗もせず逃げる素振りも見せない。 もちろん農婦たちも寅吉も、これで阿部が屈服したなどとは思いもしていない。 今にまた本心を見せるだろう・・・己の足元に膝を突き餌皿の残飯に顔を埋める阿部を横目に見ながら、シゲ代が残酷そうに唇の端を歪めた。 「それにしても、寅爺が遅いねえ。どうしたんだろ。」 「それが、電話にも出ないんだよ。風邪でも引いたんじゃないかい・・・あとで様子を見て来るよ。」 キク子とハツ枝の会話を耳にしながら、シゲ代が筵の上に正座する阿部の前に棒轡を差し出した。 「さあ、また猿轡を嵌めるよ。アーンするんだ。」 「頼む・・・お願いです・・・。」 丁寧に言い換えた阿部の態度が愉快らしく、シゲ代が阿部の顔を覗き込んだ。 「何だい、阿部さん。」 「おっ、お金ならできる限りの用意はします・・・今なら警察にも言いはしません・・・だから・・・」 蚊の啼くような小さな声で哀しげに見上げる阿部の垂れ目が却って加虐心を煽り、シゲ子が面倒臭そうに聞き返す。 「だから?」 「どうか・・・どうか、此処から逃がして下さいっ。」 久々に聞く阿部の力強い声に、ハツ枝とキク子も側に寄って来た。 「・・・そうかい、そんなに此処から出たいのかい。」 シゲ代の意外な返事に、阿部だけでなくハツ枝たちも驚いて目を瞬かせた。 「じゃあ・・・私たちの目の前でウンコしておくれよ。もう3日もおまるを汚してないだろ。」 シゲ代の意地悪い、しかも滑稽な答えにキク子たちも大笑いして加勢する。 「くっくっく・・・『おはようジャパン』の美男キャスターがどんな風にウンコするのか、見たかったんだよね。」 「我慢すると身体に悪いよ・・・何なら、浣腸するかい。いっひっひ。」 「新聞紙を敷いてあげるから、今すぐ此処でウンコして頂戴な。そしたら約束どおり縄を解いて差し上げますわよ。」 「うっ・・・そんな・・・直ぐになど無理ですっ。」 羞恥に顔を真っ赤にして狼狽える阿部を見下ろし、せせら笑うキク子たちの後ろから寅吉の弾んだ声で呼び掛けた。 「お愉しみのところお邪魔するが・・・ちょいと納屋まで来てくれんか。見せたいものがあるんじゃ。」 寅吉の思わせ振りなニヤケ顔に、ハツ枝たちが何事かと顔を見合わせた。 [首輪のニュースキャスター]カテゴリの最新記事
たまさんへ。
おはようございます。 7、8話を読ませて頂きました。 一瞬、ホームレスに連れ去られるのかと 思いました。 寅吉の様子も気になりますね。 たまさんも、実際の、排泄シーンは、 好きなのですか? (2012年02月09日 08時54分13秒)
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