2023/12/23 好陽軒 １年ぶりに訪問
好陽軒（こうようけん）〒466-0046 愛知県名古屋市昭和区広見町２丁目２１−３11:00～14:00木曜定休名古屋で最も長くたくさん通った店、好陽軒。不思議なことに、毎年年末になるとようやく訪問するチャンスが訪れるが、今年もやはり年末。昨年はたしか３０日の最終営業日だったかな。今回はクリスマス前。いつもより少し早め。Troy's American BBQでの夜パーティの前の腹ごしらえ（？）ということで、いざ。中に入ると、いつものごとく愛嬌たっぷりかつ丁寧な接客でのお出迎え。何がどう、というわけではなく、大将と女将さんのその立ち振舞と声の一言一言全てに「Welcome」の精神がにじみ出ている。何度来ても感動するが、これがもてなしというものかと考えさせられる。特別なことなんぞ何も無い。さて、好陽軒と言えば言わずとしれた好来系かつ日本最大級の超絶メンマ盛で有名な店。特に、メンマ増しのラーメンは「メンマラーメン」ではなく「メンマ」。まさに、麺かメンマか、どちらが主体なのかやや怪しいというネタ成分も有りかと誤解されがちだが、これほど正統派なラーメンも無い。店のコンセプトもラーメンの設計も、これほど徹底して守り抜かれた店が他にあるんだろうか。メニューは昔の吉野家のごとく、カウンターの上の壁にかけられた↓だけで、卓上には何の説明もない。来たことの無い人は面食らうかもしれないしややハードルが高い感があるが、そもそもここのラーメンはつまるところ、２種類（メンマとチャーシュー）のトッピングの有無と、麺大盛の有無。これだけ考えればOK。ねぎ盛る人も稀にいるけどこれは例外と思ってO.K.（主観）。む？？？？？大寿竹（大盛スペシャルメンマ）が2,000円！！？？ラーメン業界に限らず値上げが常識となった1年だったが、トッピング盛とはいえ、正規メニューのラーメン単品で2,000円越えの大台に載ってしまったか・・・別に惜しくはないが、さすがにショックだな。以前から大盛スペシャルメンマは1,500円と、東京のラーメン屋を含めても異次元のコストだったのは有名だが、これは痺れる価格やね。驚きだ。ちなみにここに来ると小生は９９％大盛スペシャルメンマのオーダーなんだが、今日は3時間後にBBQが控えているということでさすがに大人しめに通常盛を。つーか、普通盛なんて初回訪問以来やから・・・１７年ぶりってことか！？驚いたな( ﾟдﾟ)ただ、基本的に麺大盛りって一杯の味のバランス絶対に崩れるから、やっぱり通常盛で食うべきだわな。実は小生、今でこそメンキチで通ってるが（通ってねえだろ）、実は今でも三度の飯よりもメンマの方が好きな質。白神が使ってた丸松物産の台湾産極太メンマを個人で購入できないか真剣に悩んでいた程度にメンマ吉だ。さて、店の並びは待ちが１０名程度。この好陽軒の回転率なら、おそらく１０分とかからずに席に座れる。ここね、マジで早いんよ。２オペの限界越えてる。麺茹でが４玉同時というちょいと独特な規格のテボ（テボなのか？）を使って麺茹で麺揚げするのも手伝って、とにかく提供が早い。店の外まで並んでいたとしても３０分以上待ったことは一度もないな。そして予想通り、１０分かからず席に通される爆速マネジメント。すげえ( ﾟдﾟ)そして通されて１分待たずして着丼。店主がカウンターの上段に一度丼を下ろし、「はいっ、おろしま～～す！」からこちらの手前側まで下ろしてくれるルーティンも健在。最初の頃は知らずに自分で手を出してたんだが、これが好陽軒マナー。万が一火傷をしないようにという店主と女将の気遣いだ。ここまでが演出。スペシャルメンマ（寿竹）いや、思ったんやけど、麺大盛じゃなくていいわこれ（笑）溢れんばかりのメンマメンマメンマ。そうや、わしはラーメンじゃなくてメンマを食いに来たんや。好来系と聞くと何となく白湯を想像しがちだが、うっすらと濁っているものの、ここのベースは限りなく鶏ガラ青湯（イメージの問題ね。実際は違うと思う）。麺を少なめにしたからか、不思議なことに、今までの記憶よりも遥かに鶏ガラらしい豊かな香りが漂う。何とかメンマを押しのけ、まずは麺から（笑）。いつもは麺大盛にしてしまうので無理なんだが（無理に麺を引き上げようとすると絶対にこぼれる）、少しだけ丼のカサに余裕ができたので麺からいけた( ﾟдﾟ)さて、豪快な見た目に反して超繊細薬膳スープは、決して濃い味ではないので持ち上げはそれなりに大人しい・・・・いやちょっと待て、これは歴代最高傑作やないかい( ﾟдﾟ)決して塩味も濃度も無いにも関わらず、超絶持ち上げくり。どうなってんだこれは。一点の淀みもなく、かつ鶏ガラのあらゆる旨味を出し切ったスープに、程よい食感のツルモチ麺。旨味が溢れ出てくる・・・間違いなく過去一の出来。そしてこの前つじ田ボックス見てて気になった“提供温度”なんだが、これまた激ヌル( ﾟдﾟ)好陽軒といえば、メンマの量を除けば、どのパーツも主張しすぎることはなく極めて大人しいのが特徴なんだが、実は温度もけっこう温め。この温めが最高なんだよな。火傷するほどチンチンじゃなきゃラーメンじゃないという批判、熱々＝常識という固定観念がまかり通ってるという印象があるんだが、本当にチンチンじゃないとあかんのかいな？“それがラーメンだから”という理由以外に根拠があるなら理路整然と説明してもらいたいけど、「油脂成分のベタつき」くらいしか温度低めのリスクは無いと思うんだがね。むしろ、これぐらいのヌルさだから、最初から全力ですすりにいける。コーヒーしかり、茶しかり、紅茶しかり。あの手の嗜好品は、ほとんどが温度低めとか、人肌で出すのが一番美味いってのはむしろ常識やんか。何でラーメンだけはアツアツじゃないといけないのか、理解に苦しむわ。というわけで、反論がある人は教えてもらいたいね。少なくとも、好陽軒の提供温度はこれがベスト。改めて確信したわ。この時点で感動の針が振り切れそうなほど興奮気味だったんだが、なんとここで珍しいことにそう、基本的にバラチャーシューでは原則として心動かされることの無い小生の心が震えた。間違いなく、ラーメン人生、生涯No.1のバラチャーシュー。驚いた。これより美味いチャーシューは一度たりとて存在しなかった。ぶっちゃけこの店はメンマが命で、感動の９０％はメンマだったんだが、今日だけはチャーシューに流れるかも。肉という肉の旨味全てを閉じ込めたようなこのチャースー。もちもちのプリンプリンで、赤身は噛みしめるほどに肉汁と弾力のある歯ごたえが、脂身からは至高の甘みが弾ける。お世辞一切抜き。好陽軒はここに来て高みに上り詰めてしまったか・・・いや～これを表現する言語力を一切持ち合わせていないことをここまで後悔したことはない。もっと真面目に勉強しておくべきだった。この日は横にHASH師を置いてコメントを聴きたかった・・・そしてやっとこさ主役のメンマ。チャーシューまでの感動がデカ過ぎてもはやどうでもよくなってきている。好陽軒に来てこんな気分になったのは初めてで、正直戸惑いまくっている。とはいえ、これを食うために来たのだからと思い切ってズバっと持ち上げて、いっきにすする。いや、ただの杞憂だったな。やっぱり好陽軒はメンマだわ( ﾟдﾟ)下味ほぼ皆無のナチュラルテイストの極太メンマは、過去一レベルの出来のスペシャルなスープを十二分に吸い込んで至高の持ち上げ状態。シャグシャグと咀嚼すれば、封じ込められたスープがメンマの風味と一緒に溢れ出す・・・ジャクジャクというか、シャグシャグというか、どんな擬音語が似合うのか自分でもいまだによく分からんが、噛む喜びをこれほど味わえる一杯はこの好陽軒をおいて他にあるのか。ここまで来たらあとは無心に味わうのみ。幸いメンマの量は麺に匹敵（というか多いのか？）。迷うことなんぞない。終盤に差し掛かったら味変タイム。素の味が味なので、序盤からぶちこむと繊細な風味が台無し。やるなら後半推奨。また、混ぜるのも厳禁。一番左手前が特製ごまラー油。辛さよりも胡麻の風味豊かなタイプ。持ち帰りたいぐらい好き。右の方には粉ガーリックや胡椒があるが、正直ここのラーメンにかける意味があるのか理解し難いので、１回目以来使ったことはない。一番奥の高麗人参酢は、好きな人は試してみると良いが、レンゲにとって少量ずつ使うのがオヌヌメ。今日は素の状態であまりに出来がよろしいので、レンゲの上でほんの少しだけ。プワ～っと香るごま油、山椒その他唐辛子系の複雑な香味がスープと化学反応。今日ぐらいスープの存在感が強いと、こりゃだいぶ引き立つな。かなりアリだと思ったが、やっぱり勿体ないので一口でやめておく。そこからの流れは怒涛のごとく、必死になってゆっくりと味わいたかったが、このクォリティには全力ですすって対抗せざるをえなかったため、あえなく１８００フレームほどで終了。K.K.できないわけがない。そういえば、ここのラーメンだけは生涯一度もK.K.逃したことはないな。一般的なラーメン屋と比べれば爆盛にもかかわらず、胃もたれや疲れなど皆無。むしろこれからもう１杯ぐらいお替わりしたくなってしまうような、まさしく薬膳系に相応しい健康ラーメン（実際に健康に良いかどうかは知らんけどな）。ラーメン自体の完成度もさることながら、やはりこの店といえば徹底的に磨かれたカウンターや床の清潔感もさることながら、何よりご夫妻の接客態度。どんなに忙しくても、常に忙しく客の様子を伺いながら、コップが空になれば雷神のごときフットワークでさっと水をさし、客が声をかけようとすれば声を出す前に瞬時に視線をこちらに寄越す。この徹底的なホスピタリティがラーメンのクォリティと信頼に無限ブーストをかけ、ひたすら常連と近所に愛される店を更新し続けてきたんだのう。ごちそうさまでした。今までで最高の一杯でした。価格も上がったえけど前の倍美味くなってました・・・「はい、ありがとうございます。まったどうぞ～♪」退店時のお決まりのルーティン。あと何回聞けるのかね。
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