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「龍馬が惚れた女たち」原口泉 胸が高鳴るほどのいろいろな新事実が書かれている。 「坂本龍馬に」に関して、最近になって発見された資料も多く、まだこれからも出てくる可能性は大きいという。 龍馬が持つ女性に対しての価値観は、当時の一般男性とはかなり違って、"同志"として見ていたようだ。 そういう意味で著者は以下の4人を挙げている。 平井加尾 同郷の幼馴染である平井収次郎の妹。 *どうしても実物写真が出てこなかった。 千葉佐那 江戸の北辰一刀流、千葉定吉道場の長女。 楢崎 龍 京都の内科医師・楢崎将作の長女。本妻。
大浦慶 日本茶貿易で巨富の利益を得た長崎の女商人。 こうしてみると、各人の出身地は違い、歴史上龍馬が活躍したそれぞれの土地で何らかの形で大きく関わっている。 英雄・坂本龍馬が偉業を成す事ができたのも、彼女達の影の力があればこそではないか。 そして、この中に私の血が逆流するかと思うぐらい引き付けられた文面があった。 龍馬とお龍が鹿児島への新婚旅行の時に案内役として同行した吉井幸蔵という10歳の少年がいた。 その幸蔵の長男で歌人でもある吉井勇が、父親が語る当時の二人の様子を書き留めている記事が発見された。 (以下は本書より引用) 坂本さんは、 私を伴れてぶらぶら懐手をしながら近所の森に出かけてゆく。 無論、お龍さんも一緒で、 しなだれるように歩いているかと思うと、 急に怒ったように離れてしまって、 いつまでも口を利かずにいるようなこともある。 とにかく私は、子ども心にも、 お龍さんが一風変わった女のように思えてならなかった。 が、坂本さんには、 その変わっているところが気に入っているらしい。 -中略- (坂本さんがピストルで小鳥を撃ち落し、) 死骸を見るなり顔をしかめて、 「ええ、捨ててしまえ」と怒鳴るように言った。 小鳥がまだ死に切れないで、 血だらけになってもがいているときなぞは、 一層語気が荒かった。 ある日のことだった。 私はやっぱり坂本さんに連れられて、 いつもの森に出かけていった。 ‥‥坂本さん夫婦の間には、 何か気まずいことでもあるらしく、 二人とも妙に沈んでいるのが、 子どもの私でもはっきりとわかった。‥‥ いつもの森に来たけれども、その日はどうしたものか、 まるで小鳥の影さえなかった。 どこかでさえずる声だけが聞こえて、姿がまるで見えないので、 機嫌の悪い坂本さんは、だんだん顔が青ざめてくると同時に、 こめかみのあたりがぴくぴくと動いた。 「お龍さん」 坂本さんは何を思ったか、 そう呻くようにお龍さんの名を呼んでから、 突然森の奥の方をめがけて、続けざまにピストルを二三発撃った。 で、暫くじっと凄まじい反響こだまの音に耳を傾けていたが、 急に体を揺ゆすり上げるようにして、 大きな声を立てて笑い出した。 「はヽヽヽヽ、もういいよ、もういいよ。お龍さん。仲直りしよう。」 お龍さんの手をじっと握った坂本さんの目からは、 私にとっては思いがけない涙が、 とめどなく頬を伝って流れ落ちた。 -中略- 私は坂本さんと言うと、きっとあのピストルの音を思い出す。 その後もう六十数年経っているが、 まだあの時聞いたピストルの音は、 ありありと耳の底に残っているような気がする。 どうだろう!! まるで二人が手の届く近さに存在するような生々しさではないか!? 作者はこの時の夫婦喧嘩の原因は、 おそらく、「危険なことはやめてこのまま永遠に静かに二人で過ごしたい」と、 お龍が龍馬に言い迫ったのではないか、と推測している。 お龍は龍馬の大きさを充分判っていながらも、独占して平凡に暮らしたい‥ 龍馬もお龍と同じ思いはあるが、大きな志を捨てることはできない。 日本の、大きな大きな変革時代に出会った男女の、大きな悲哀を感じてしまう。
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