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久しぶりに、読書などをしました(王子達に小突かれながら)
藤沢周平氏の「風の果て」。簡単なあらすじは ある日、桑山又左衛門の元に、野瀬市之丞より果たし状が届く。 市之丞は娶らず禄を喰まず、ついに髪に霜を置くに至った野瀬家の厄介叔父である。 その厄介叔父が、藩の重責を担う首席家老である自分に、果たし合いを挑んできたのである。 「ばかものが」 そう罵る又左衛門は、昔を回想し出す。 市之丞とは又左衛門が植村隼太と名乗っていた頃からの付き合いであり、片貝道場の仲間であった。 この片貝道場の仲間には、杉山鹿之助、三谷庄六、寺田一蔵らがいた。 杉山鹿之助が一千石の上士の嫡子である意外は、みな似たり寄ったりの家柄。 おまけに長男ではないのだから、いずれは婿に行かなければならない身である。 その仲間達と、隼太は道場での稽古が終わると、鹿之助に付いて楢岡図書の屋敷に行くのを楽しみにしていた。 楢岡図書は杉山鹿之助ら若者が来ると、様々な藩政の話などをして聞かせた。隼太はそれを聞くのが楽しみであった。さらには図書の娘・千加に会うのも密かな楽しみでもあった。 彼女は、上士の娘にしては気さくであり、また、男達が狎れ親しむを許さない凛然としたところがある女性であり、美人であった。 そうした時を過ごした中で、寺田一蔵が先ずは婿入りをした。だが、この婿入り先の女が後に一蔵の運命を大きく変えていく。そんな折り、寺田一蔵の婿入りが決まり、杉山鹿之助の婚礼も決まる。 そして、杉山鹿之助が家督を継ぐことになり、千加を嫁にすることになった。この杉山鹿之助の家督相続は隼太らとの関係が無くなることを意味していた。杉山鹿之助は藩の名門で、将来は執政に進むであろう家柄。住む世界が違うのだ。一つの時代が終わったのだと隼太は思った。 そして、隼太自身も郡奉行の桑山孫助との出会いにより、桑山家に婿入りをする。 そこから隼太の人生は思いがけない方向へと進んでいく…… あれから数十年、一人は業の死を遂げ、一人は友を斬り運命を変えてしまう。一人は友と政敵同士になり、権力闘争に巻き込まれていき、一人は身の丈にあった平凡な人生を送る。 又左衛門は市之丞を探しながら、彼は思う。 自分の行ってきたことは本当に正しかったのか?今の自分は幸せなのだろうか? もっと違った道もあったのではないか? そして、彼はついに市之丞と対峙する。 首席家老・桑山又左衛門ではなく、上村隼太として。 素直に「面白かったです」 果たし合いに至るまで、又左衛門が昔を回想したり、長年の疑問が解けていくところが良かったです。 早朝に「自分も今の地位に執着している」と悟るところが、うぅーむ! 地位には恵まれたけど、奥さんとの仲はいまいち。 読みながら、 「結局一番幸せなのは……」 と思うのですが、その本人からは痛烈な一言。 そして、ラストはついつい苦笑い 秋の夜長に、是非どうぞ!な一冊です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007年09月30日 10時11分06秒
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