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[全46件]

April 25, 2012楽天プロフィール Add to Google XML

フェリーニの死神少女、ミイラ、ドッペルゲンガーなど雑感 

ハムナプトラ観ました。
初見時、虫ウジャでリタイヤ。
あれから10年くらいでしょうか。
虫ウジャ映画、少し耐性がつきました。
ハムナプトラシリーズ、テレビでやるたびに観る人が家族なので(涙)。

しかし、ベラ・ルゴシの伝記映画、売りやがった。
止めたのに。なんで売るかね。うきー。

それはそうと、
この映画の元となった、30年代のミイラシリーズは観てません。
たぶん。
観たい。ボリス・カーロフでてる。

我らがボリス様関連では、『古城の亡霊(1963)』はDVD所持(失笑)。
ニコルソン、ボリス様、ロジャー・コーマンで撮影2日、
ということばかり話題になってるみたい。
確かに美しい映像詩のような画像で、
俳優は芸達者なのだが、
色々唐突で、しっかり観てないと話がわからん。
実は作りこんであるのだが、
まあ、話はどうでもよいような、
よくも悪くも昔テレ東二時枠でやってたようなB級っぷり。
そういう面白さをレビューしてるサイトが一つだけあった。
ちょっと嬉しかった。

ホラーつながりで、
以前それこそテレ東二時枠で観たきり、
誰に話しても解らなかった印象深い快作(?)が、
深夜のホラー映画サイト徘徊で解った。

ただし、そのサイトのレビューは見当はずれ。
オムニバスの二話目。
『ウィリアム・ウィルソン』(ポーの名作)も知らないのかよ(怒)。
何がアリキタリのドッペルゲンガーモノだ。
高校のサイドリーダーでも読まされた古典だぞ。
ちなみにその本には、ポーの『落とし穴と振り子』や、
H.G.ウェルズ『盲目の国』とかが乗っていた。


一話目、すすり泣く馬の館、も確か原作があったはずだ。
(DVDでは『黒馬の哭く館』という題らしい)

三話目、これはフェリーニのオリジナル。
これ、これが凄い印象に残っていたの。
白いドレス、ボールをつく少女の幽霊(死神)。
それが繰り返し出てくる。
それが、もう、怖いのなんの。

このシーンしか覚えてなくて、
オムニバスってのは覚えていて、
一話目は馬の出てくる話ってのも薄っすら覚えていた。
フェリーニとか、二作目がルイ・マルのポーとか、
何も覚えてなかったなぁ。

これだけの情報で解ってくれる映画マニアは居なかった(笑)。


件の映画(オムニバス三作)は、

世にも怪奇な物語  HISTOIRES EXTRAORDINAIRES
【データ】
フランス 1967年 カラー 121分 日本公開1969年7月 日本ヘラルド配給
監督 ロジェ・バデム、ルイ・マル、フェデリコ・フェリー二
出演 アラン・ドロン、ブリジット・バルドー、ジェーン・フォンダ、テレンス・スタンプ、ピ-ター・フォンダ

でした。
DVD探そうっと。


前回日記から異様に日があいてる(笑)

付記。知人による情報。上記オムニバス、全部ポー原作とのこと。
   私の教養の無さが露呈しました。


Last updated May 08, 2012 08:50:23 AM
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December 18, 2010

ゆさぶられっこ症候群 

滋賀県で、死亡事故があった。
6か月の女児が、ゆさぶられっこ症候群により、死亡。
激しくなくので、強くゆさぶったことによるそうだ。
恒常的虐待の形跡はないという。
それなのに、母親は「容疑者」。「虐待死亡事件」として扱われる。

報道は、「ゆさぶられっこ症候群は、虐待として位置づけられる」と言う。
しかし、育児書には、「高い高い」や「ゆすりあげ」も危険と書かれている。
5歳になるわが子が赤ん坊のころ、本当に怖くて、
周囲の善意の方々が、激しくあやしてくださる度に青くなったものだ。

その点も、今回の記事の最後のほうに付記されていた。
しかし、「虐待死」という、
今や社会悪と目されている「犯罪」であると強調し、
ゆさぶる危険性そのものが伝わりにくくなってしまっている。

問題は、「ゆさぶられる」原因や状況ではなくて、
「ゆさぶられる」という事態そのものが危険であり、
善意であれ、悪意であれ、無意識であれ、
死にいたる場合があるということの筈だ。

特にアメリカで、父子の体格差は日本と比べ物にならないようで、
あやして「ゆすりあげ」をしたら死亡、という事故が、
一時期多発していたそうである。
車が危ないからと、ちょっと手を引いたら脱臼、という事故も、
実は日本でも、お父さんがよくやってしまうと聞く。

虐待と言って騒ぐよりも、力加減の大切さと、
大人と乳幼児の体格差の再認識を呼び掛けるほうが、
こうした痛ましい事故を減らすことに、つながるのではないだろうか。
(特にお父さん注意)

最近、子供が立って叱られているときの状況について、

「大女に見下ろされているのだから、
ただ怖くて、内容なんか聞いてない」

という表現を読んで、ハッとした。
もっと小さいときには、しゃがんで目を観る叱り方を、
私も周囲の保護者も普通にしていた。
しかし、5歳にもなると、わざわざしゃがんで叱る親は、
あまりいない。
家で座らせて叱る場合も、子供は見下ろされているのである。

倫理云々の前に、そうした動物的な部分、
単純な大きさの違いによる恐怖を、
しっかり理解して対処しないと、
叱ったところで、まったく効果がないわけだ。

どんなことでも、解決の糸口は、意外とシンプルなところに隠されている。



Last updated December 18, 2010 10:03:05 AM
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December 09, 2010

フィドルは楽し その後 
[ 楽器 ]  

音楽練習会というものに、参加してみた。
感動した。
ほとんどの参加者が、異様に巧い!
いろんな楽器を間近で観聞きできて、楽しかった~。
カッコイイ~。

ホームページでの事前情報と現実のメモ。

「当日練習分の抜きずり」
はなくて、楽譜集を貸していただいた。
楽譜集は、迷ったのだが、結局帰る時に購入した。

「ゆっくり練習」
ゆっくりの第一段階でさえ、楽譜を追うのでやっと、
微妙に早い第二段階は、音程もボウイングも滅茶苦茶で断念。

「初心者OK、事前連絡不要、途中参加退出自由」
すべてそのとおり。

「アコースティック楽器ならなんでもよい」
5000円の安楽器でドキドキしましたが、
快く参加させていただいた。
私の参加した日は、全員アイリッシュトラッドで普通に使う楽器。


感想。

実際、その音楽の中に身を置いてみると、
いままで掴みきれなかった楽譜と演奏の関係が、
体感できた。

自分が出来るようになったのではなくて、
目指すべき目標がはっきりしたと言う意味だが。

音源または、セッションを聞くだけで、
楽譜と説明とネットで拾った映像を頼りに練習していた。
が、何か根本的に間違っていたようだ。

金と暇ができたら、習いたいなぁ~。
でも、今のところ、楽器の手入れさえ予算が回らない。
Gが酷くバリ音出るのだが、直したら買い換えたほうが安いと思う。

モチベーション上がって、弦を換えた。
楽器とほぼ同額のセット弦で、全部張り替えた(ヘリコア)。
予備弦、一応錆対策していたつもりなのに、
見事に数か所錆ていた…


それはそうと、以前、音大卒の兄が「これならお前にもできるんじゃない?」
と奨めてきた『カリンバ』という楽器を、
その話は知らなかった友人が、偶然雑貨店て購入して愛でていると言う。
この人、ウクレレも持っているのだが、特に弾いてはいないらしい。
こういう、微妙なシンクロニシティのある方というのは、
話していてとても楽しい。


Last updated December 09, 2010 10:40:28 AM
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November 24, 2010

ドラマ ギルティ 7話 

『ギルティ 悪魔と契約した女』というドラマを観ました。
7話でした。
ちょっと面白そうなので、探してみたら1話から観られました。
唐沢さんが楽しそうです。

どんぐり眼で怪演と言うと、仲代さんを思い出します。
でも役どころは、全然傾向が違う感じですね。

トラウマカップルの犯罪ドラマと言うジャンル、
最近3件目です。
少し飽きてきました。

1件目 奇術師山田と仮面ライダーガタックのナチズム的純血主義狂信集団物語
2件目 つくり笑い氏とベテラン俳優陣の仕置き人風物語
3件目 唐沢さんが楽しそうにしている本件

菅野さん(ヒロイン)、性格的に、イグアナの娘ぽい役柄な気がしますが…
大ボズに草刈正雄さん出してくれないかしら…
最近、あんまりテレビ観ないので、誰が現役俳優なのか解らないのですが。


ヒロインの過去の冤罪について。
発生の状況的には無差別殺人ですが、
(一番上に置いてあった、人気お菓子を買ったら毒入りで、あげた人が死んだ)
その後の展開をみると裏もありそうです。

*死んだ人またはその家族がターゲットであるならば、
 販売店のレジ係が毒入りにすり替えたと考えるしかなさそう。
 その日その時、まさにその箱を、ターゲットに購入させるには。

気になったことなど

*ヒロインの実家は、地域の「防犯」拠点の看板をかかげている。
→地域の有力者である。
→国選弁護人(世界の車窓から)が電話していた「大物政治家」の配下かも?

*ヒロイン母がヒロインを「悪魔の子」と言っている
*ヒロイン両親は離婚
→ヒロイン母が黒幕大物政治家の落とし子としてヒロインを不本意に生んだ?
→ヒロイン父が黒幕の政敵とか?
→ヒロインは「誰からも求められない子」設定?

*ヒロインの事件にかかわった高校には、その大物政治家がかかわっている?

*ギルティ=有罪って意味もあるけど、
いろんな人がタイトルの「悪魔に良心は存在しない」
を言っているので、登場人物全員が過去の事件に何らかの関係がある?
→おきまりの「誰の心にも悪魔は潜む」ための悲劇?

*ヒロイン姉の自殺。
キーパーソンのようですが、
「出来の良い姉」
「夫と、おそらく小学生くらいの一人息子あり」
「裁判シーンで意味ありげにアップになった胸元のペンダントは、
現在ヒロインのする羽根のペンダントと、おそらく同一」
の三点しか、現時点では情報なし。
→”復讐”は自分のためではなく、姉(自殺)のため?
→そのために、すべて”自殺にみせかけた他殺”の手法?

*ペットサロン店主(横山”真珠夫人”めぐみ)いわく
ヒロインがモテルのは「犬にだけかしら」??
→大物代議士が、配下の政治家の娘であるヒロイン(高校生)を狙ったが、
 姉が彼女を守るため犠牲に?
→そして店主は代議士の愛人で、ヒロインを監視中

松本清張~火サス的王道展開だと、こんな感じでしょうか。

玉木さん、ちょっと一本調子な気がします。
若い人が影のある役をやると、たいがいこんな感じになる気もします。

この役、『殺人狂時代』の頃の仲代さんとか、
梅庵の彦さん役やってた時代の田村高廣さんとかみたいに、
(この二人からしてタイプ違うけども、)
もうすこしヒョウっとした軽さ、もしくはキレのある冷たさが欲しいような…
玉木さんには、今時のバタ臭さというか、何とも言えない良い雰囲気もあるけども。
やっぱり、こういったネチッコイドラマには、
日本的凄味のある美男子を求めてしまいます。



Last updated November 25, 2010 01:52:19 AM
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November 12, 2010

フォコラーレの「集まり」、アドラー「パセージ」など 

先日、お誘いを受けてフォコラーレの集いに行ってみた。
フォコラーレとは、イタリア語で「暖炉」を意味するそうで、
炉辺の集いをイメージしたものらしい。
実際、そんな感じだった。

一般的黙想会では、リーダーの設定した「正解」に共感しない限り、
異端のように目されて針のむしろなのだが、
この集いでは特にそういう感じもなく、
なごやかな茶飲み話のごとく、日常のささいな場面にみことばを思い、
聖霊のはたらき、まんなかのイエズス様を感じた体験が「おしゃべり」された。

フォコラーレのホームページ

メンバーが列福されたり、リーダーがパパ様に個人謁見したり、
正統的なカトリック団体であるようだ。
が、この団体は、立正佼成会と仲がよいのである。
一部で怪しまれてもいる新興宗教団体と密接なのは、多少心配ではある。
イタリアには、天理市みたいに、フォコラーレの町というのもあるそうだ。
そいうコミュニティまで出来てしまうのは、たしかに新興宗教的だが、
「みことばを生きる」という標語そのものは、
いかにもカトリック的である。
深入りせずに、たまに参加するぶんには、よい集いだと思う。

フォコラーレのことではないのだが、
近年、親子関連にも言及する「コンミュニオン」主催のシスターが、
ニューエイジだったとか、
日本でも有名なシュタイナー教育の創始者は、
オカルト教団の教祖(しかも所属教団を脱退して自分の教団を作った人)だとか、
カラーセラピーによる親子関係のみつめなおしと言いつつ、
色層心理学&児童心理学の体験ではなく、実はスピリチュアル系だったとか、
育児関連には、その出自が怪しかったり危なかったりするものも、多い。
有名な七音階も、シュタイナーのオカルト的直観から7を神聖数と決めたことに由来。
まあ、実際に心安らぐというのだから、そういう美的直観力は確かなものだったのだろう。
逆にいえば、芸術的感性の持ち主は、オカルトにはまりやすいから注意(笑)

宗教関連は不明だが、アードラー心理学の「パセージ」という集まりにも、
声をかけられた。
怒っちゃダメを徹底している団体で、一種のコーチング育児のようなのだが、
その集まりは、分かち合いと似ているらしい。
実体験していないので、いまのところよくわからないが。

個人的には、怒る育児もアリだと思うし、怒るのも情動的豊かさの発露と思う。
のっぺり無感情なのと、穏やかなのが混同されて、
中庸の美徳という言葉が流行(誤用)した時代も、記憶に新しい。
怒っちゃダメも用い方ひとつによっては、危険である。
怒ってヨシの行きすぎはもちろん、論外だが。

ちなみに、教皇庁諸宗教対話評議会というところから、
ニューエイジ関連の書籍が発行されており、
キリスト教とニューエイジは相容れない思想である、と明記してあるそうだ。
未読なので、近いうちに読んでみたいと思っている。

『ニューエイジについてのキリスト教的考察』書評


そういう諸々を了解したうえで、
方法なり理論の一部なりをアレンジして活用するのが、
結局は実生活だとも、言える。

背景や出自には、そもそも興味も共感も示さずに、
つまみ食いのいいとこ取りをしているのが、
現実の学校やら教育団体やらであるのかも知れない。
特に日本では。

シュウキョウ気持ち悪い、
クリスマスパーティいつにする~?
が同じ人の口から出ても、全く違和感なく成立してしまう国。

そういうの、フレネミーとか言うそうだが。
そもそも無意識で、自分にとって有益かどうかのみを選択してゆく時代。
たとえそれが、嫌悪する人や物から引き出される「利益」であったとしても。
古来、純真よりも古狸が人気者になるわが国、
日本では一種の美徳かも知れず。

坊主憎けりゃ袈裟まで憎いのはバカで、
坊主殺して身ぐるみ剥いで金目の物はいただいてしまうのが褒められる。
場合によっては、はぎ取った衣服を「平等に」くじ引き引いてわけるかも知れぬ。
むしろ憎みさげすむ相手からこそ、利用可能な情報や金銭物品を引き出そうとする。
搾取である。

つまり…現代日本だけでは無い、人間の本質だった…

愛なるキリストは、それゆえに、
獣的人間性への普遍のアンチテーゼであると気づかされる。


Last updated November 12, 2010 11:27:46 AM
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November 10, 2010

陶淵明 飲酒二十種「其の七」(菊酒) そして甲賀忍法帖 
[ 暮らし ]  

まずは、前回の続きから、陶淵明(4世紀ごろ)の菊酒のお話。

菊水伝説は、まさに4世紀ころから広まったと言う。
これは、
菊の群生地にある河の水を飲んで暮らす里人が、長寿の仙人である。
という伝説で、
古来薬効のある菊の成分が川水に染み出したとされる。
この伝説から、菊酒の習慣が発していると言われる。

残念ながら、現時点では「四世紀の本」としか確認できず、
正確な出典がわからなかった。

国立歴史民俗博物館「くらしの植物苑」(2002年10月21日)

(参考)


また、中国で菊酒というと、文字どおり菊から作るものだという記事をみつけた。
梅酒やハーブ酒の一種と言える。

(参考)


が、件の詩には、はっきりと「秋菊」を「つみ」「うかべて」と詠われている。
浮かべて飲むのが一般的でないとすれば、
陶淵明一流の風雅であったのかもしれない。

菊を浮かべて飲むのは、中国古来の風習だとする説も散見されるが、
こちらも出典を明記したものが見つけられず、真相は藪の中。 

以下の記事中に、4世紀に結婚式の祝い酒として、紹興酒を美麗な絵付けをした甕に入れたという記述がみえる。
紹興酒関連記事

透明なお酒ではなくて、
もしかしたらあの飴色のお酒に、黄色の菊を浮かべたのだろうか。
食用菊は、日本だと黄色とピンクを思うが、
菊水伝説関連では、「白菊の群棲」という記述もみつけた。
色彩的には、紹興酒なら白菊がよさそう。

wikipedia の参考文献にある、
花井四郎『黄土に生まれた酒 - 中国酒、その技術と歴史』東方書店、1992, ISBN 4-497-92357-6.
も気になるが、未読。

まあ、そんなこと忘れて、
ゆるりと独り、杯を重ねるのが吉。
呑まないひとも、独り気ままに夜空でも眺めれば、

イササカ マタ コノセイヲ エタリ

である。

最後に、本文を載せておく。
手持ちのテキストと一部表記が違うが、
「陶淵明 詩と構想の世界」さんから読み下しをコピーさせていただく。
なお、忘憂の物 とは酒であり、駒田信二『漢詩名句 はなしの話』の註によれば、
『詩経』のなかの一遍にたいする毛伝(毛チョウの註)に由来する。

  秋菊有佳色  秋菊 佳色あり
  衷露採其英  露を衷みて其の英を採り
  汎此忘憂物  此の忘憂の物に汎べて
  遠我遺世情  我が世を遺るるの情を遠くす
  一觴雖獨進  一觴獨り進むと雖ども
  杯盡壺自傾  杯盡きて壺自ら傾く
  日入群動息  日入りて群動息み
  歸鳥趨林鳴  歸鳥林に趨きて鳴く
  嘯傲東軒下  嘯傲す東軒の下
  聊復得此生  聊か復た此の生を得たり


そして、イササカ唐突に、甲賀忍法帖である。
実はこの小説、飲食の描写が皆無。
たったひとこと「宴もつきて」と言うような言葉はあるのだが、
実際の酒宴なども無い。
菊酒のことばかり考えていて、ふと、気づいた。
時代劇といえば酒宴、剣豪と言えば酒、という概念に毒されていたが、
そんな画面は不要とする作家もいるのだなぁ。

以前から読もう読もうと思いつつ機会がなかった一冊。
近年、映画や漫画で流行したが、古本に案外出ない。
100円本を唯一みかけたとき、「最近はやったから、もっと安くでるかも」
と見過ごしてしまい、後悔している。
結局420円の角川文庫版を購入。
用もないのに、初版&美本。
読めればいいものに限って、こういうものが手に入る無駄。

文体はスッキリと読みやすい。
どこか岡本綺堂を思わせる、淡々とした語り口。
一気に読了させる、展開のうまさ。
見た目にも読みやすい、表記法も含めた、天性の文章力。

残酷美。
非恋の結末も、ただ美しく悲しい情景ではなく、
グロテスクとも言える描写で閉める。
そして一転、高く飛翔する結びの一文。
全体を通して、実に空間を感じさせる作品だった。

娯楽小説なので、葛藤だとか人間性だとか、そういうところは、
物語のキッカケや彩どりにすぎない。
そのあたり、文学作品と主客転倒しているのが面白い。

ある時代の、古い文体、古いスタイルなのだが、現代の若者にも受けている模様。
現代大衆小説における、曲亭馬琴くらいの位置づけにされている節もある。

映画 shinobi と アニメ バジリスク~甲賀忍法帖~ も観る機会を得た。
どちらも、朧さん(ヒロイン)視点に重点がある感じ。
アニメにいたっては、各人物のサイドストーリーを加えたために、
ますます弦の介が希薄な存在になっている。
原作ファンからも受け入れられた漫画化をアニメにしたそうだが、
私、朧の絵柄はかなり苦手で、イメージも視覚的に違う。

そして、忍びのくせに、皆いちいち凶相を呈して憎しみをぶちまける。
原作には、虐殺的なホリックはない。
残虐美といえば、もう少し様式的で静かである。

原作世界の表現には、こうしたバイオレンスはなかった。
ニタリである。
ニッと笑う凄惨な笑みである。
岡本綺堂にもよく出てくる、あの、うすら寒い笑みである。
にんまりでもなく、にやりでもない。
ここは西洋的肉感ではなく、日本怪談的ゾッとするような笑みこそふさわしい。

西洋ホラーみたいにズガズガ刺したり、それをことさら口にしたりはしない。
特に、蛍火にはがっかりした。
虫つかいの女というブキミな美しさ。
どうしても『箕輪の春』を思い出してしまう。
そうした悲しさ、一途な恋心と少女特有の冷酷。
第一、狂気して何度も刺すのは暗殺者のトドメではないと思う。
時間もかかるし、かえり血もあびるし。
確実に、スタイリッシュに、静かに、迅速に。
そして、こともなげに。
それが蛍火のイメージなんだが。

この蛍火は好きではないのだけれど、
箕輪の春の「小女」が好きで、重ねて観てしまうと、
健気さにホロリとさせられる。
アニメにはそれがなく、
映画にはイメージのみは、ほぼそのままだが、活躍がなく。
残念なことだった。

映画の弦之介は、画面に登場するたびに、どうにも
「今までどこにいましたか」「このひとだれですか」と聞きたくなるほどだ。
アニメは、映画ほど存在感は薄くないが。

この2作品には「甲賀忍法帖」という題名はそぐわない。
実際、映画には『甲賀忍法帖』というタイトルはつけられなかった。

原作小説は、あきらかに表題どおり「甲賀」が主体で、
伊賀がなんとなしに悪者と感じるしくみになっている。
それだけに、朧の一筋の思慕が哀れだ。

主人公である甲賀弦之介が、古いタイプの好青年であったために、
現代のエンターテイメント的には地味すぎたのかもしれない。
ただ、古いタイプの人間であるからこそ、
ラストの開眼シーンが活きるように思うのだが。

思いのほか長くなってしまった。
本日これまで。


Last updated November 10, 2010 0:18:39 PM
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October 21, 2010

池袋古本市  (2) 

古本市

文庫100円、函付き単行本300円。
それほど掘り出し物では無いけれど。

喘息治療の帰り、ついつい覗き、ついつい購入。
他にもめぼしい本があったけれど、保留しました。
お金も、収納場所も、熟慮する時間も無いので。

漢詩の本、巻頭は陶淵明。
菊酒に言及した詩で、季節にもマッチしています。
陶淵明の時代、菊を浮かべたお酒って、
どんなお酒だったのでしょうか。

あとで調べてみようと思います。



Last updated October 21, 2010 1:13:48 PM
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