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カテゴリ:エッセイ集
クラブW杯、柏レイソルの快進撃が続いています。
はや2連勝。格上と見なされていたメキシコのモンテレイも撃破し、ベスト4以上確定。明日は、南米代表ブラジルのサントスに挑戦します。 ところで、モンテレイとの対戦の時、豊田スタジアムに大挙して押しかけた柏サポが掲げたと思われる横断幕 WE ARE KASHIWA STUPID! が、ネット上で話題になってるようですね。 柏サポが自称する「柏バカ」を、英語に直訳したものと思われます。 日本語の「バカ」には、「頭悪い」、「愚か」だけではなく、「~ばっかりやっている」、「~が好きでたまらない」という意味もあります。「空手バカ」、「専門バカ」などがそうですね。「柏バカ」ももちろん、後者の意味です。 一方、英語の「STUPID」には、基本的に「頭悪い」という意味しかありません。 ですので、英語圏で生まれ育ち、日本語の「バカ」の意味も、もちろん「空手バカ一代」も「大山倍達」も知らない人間が、KASHIWA STUPIDの横断幕を見ると、 「柏サポが、誇りをもって、レイソルを応援している」のではなく、 「相手チームが、柏を馬鹿だと、けなしている」 おそらく、そう解釈するでしょうね。 参考までに、「空手バカ」、「柏バカ」の趣旨を、英訳したいのなら、「Fanatics」とか「Crazy supporter」あたりになると思います。 あと、日本の文化には、禅の「三昧」(ざんまい)という思想があって、「~ばっかりやっている」ことが、いずれ、より高いレベルの境地に達するという、肯定的なニュアンスがあります。だからこそ、「空手バカ」みたいな言葉が存在するわけですが、 英語圏文化に、そういう発想は、基本的にありません。「空手」でも「柏の応援」でも、「~ばっかりやっている」ことが、肯定的な意味を持つことはまずない。 という解説をした上で、私は、 柏サポが、KASHIWA STUPIDを広めることは、アリだと思う。 確かに、英語のSTUPIDには、いま、「頭悪い」の意味しかありません。 でも、救いの神はあります。英語という言葉は、きわめて国際的で、世界中の人が使います。ネイティブだけでなく、日本人や中国人といった、英語が得意とは言えない人々でさえ、使います。 その結果、英語は、世界の言語で、ダントツに一番、語彙の多い言葉になりました。 日本語の「寿司」、「刺身」、「津波」などは、英語の言葉としてすっかり定着しましたし、 中国人がよく使う、「好久不見」(「久しぶり」の意味)を英語に直訳した"Long time no see"でさえ、英語のフレーズとして、すっかり定着しています。 そう考えると、英語のSTUPIDが、今後、「空手バカ」、「柏バカ」のように、肯定的な意味を持つ日が、将来いつか来るのかもしれません。 その日の到来は、結構、早いかもしれない。柏サポが、国際試合のたびに、"WE ARE KASHIWA STUPID"の横断幕を掲げ、いつも堂々としていればいい。 そしてレイソルが、モンテレイやサントス、バルサを相手に、良い試合をしていれば、 英語圏や、世界中のサッカーファンも、「柏レイソルって、無名だけど、ちょっと気になるチームだな」と、注目するでしょうし、 そのサポーターが掲げる、"KASHIWA STUPID"の横断幕にも、注目して、 「この人たちは、なぜ、自分たちをバカだと自称しているのだろう?」・・・その意味を考えはじめるかもしれません。 柏サポは、柏バカのままでいい、KASHIWA STUPIDのままでいい。 JR常磐線や東武野田線を乗りこなし、国道6号や16号が走る地域に暮らし、基本的に日本語しか使わない柏サポが、別に、英語の「正しい」使い方にこだわらなくてもいい。 堂々と、柏バカ、"KASHIWA STUPID"を名乗ればいいのだと思う。 バカみたいに、それをやり続けることが、英語を、そして世界を変えていくかもしれないのだから・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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