狂四郎2030

今週号のスーパージャンプを読んで驚いた。
狂四郎２０３０が最終回だったのである。
不覚にも、前回を読み損なっていたので、どういう展開で終わりになったのか詳細がちと不明だが、まだ終わりって感じじゃなかったのになあ。
いや、正確に言えば、もっと読みたいなあと思っていただけかも知れない。

作者の徳広正也は、少年ジャンプで「ジャングルの王ターちゃん」など、ちょっとエッチなギャグと格闘系の漫画を手がけてきた人だ。
青年誌のスーパージャンプにうつって、お得意のエッチネタを少年誌のように加減することなく十分に腕をふるったのがこの作品だ。

時代は西暦２０３０年。第三次世界大戦後の近未来日本では、ゲノム党の１党支配の元で男女隔離政策が採られていた。労働者階級の庶民は、作業効率をあげるため、男女別々に隔離され、その性欲はひたすら機械（バーチャマシン）を用いてのバーチャルセックスにて処理されていた。

シティーの中央本部の電算センターに勤務するヒロイン志乃は、バーチャルセックスのプログラムを管理する仕事をしてるうちに面白い男に出会う。その男は他の多くが不道徳で変態的なバーチャルセックスに溺れている中で、剣術の修行に励んでいたのだ。
その男が主人公の狂四郎である。

狂四郎はＭ型遺伝子異常と言う、政府の政策では最も排除されるべき遺伝子を持った男であったが、軍の政策で特殊部隊としての訓練をつんだ殺人マシーンとして各地の戦場で活躍した後、平の巡査としてノンビリした勤務をしていたのだ。

シティーの男たちに暴力的に性のおもちゃにされていた志乃は、その純情な狂四郎に興味を持ち、禁止されているインターネットを用いて狂四郎のバーチャルマシンの相手として
彼の夢想の中に登場するようになる。ほのぼのとした純愛の恋人を演じるその仮想現実の中で、二人は背負った過去を忘れて幸せの中に浸れるのであった。

偶然助けた、Ｍ型遺伝子理論の生みの親、八角博士の脳を移植された天才犬バベンスキーは志乃が実在する事に気がつく。それを知った狂四郎は、シティーへ志乃を救出しに行く決意をする。
それは国家反逆者として治安警察に追われる逃亡者としての旅であり、行く手に待ち受ける様々な敵を倒す殺戮の旅であった。そして、更にシティー政府の転覆を企む一派の
陰謀も絡み・・・・。

そしてついに現実の世界で会ったふたり。
しかし、二人に襲いかかった運命は、更に過酷なものであった。

と、まあ話はこんな風に展開していく。
この作品には、近未来日本を描いたＳＦ的な要素、待ち受ける敵との死闘（格闘系の要素）、まだ会ったことの無い男女の間の純な思い（純愛物の要素）、そしてもちろんふんだんに盛り込まれるセックス描写（エロ的要素）、そしてそれを深刻にさせないギャグと、エンターテイメントに必要な要素が全て含まれている。
そりゃ、面白くない訳がないわな。

徳広正也の次回作に期待！