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見たまま、感じたまま、思ったまま

(3)夜を重ねて

夜を重ねて


走れアルマジロジャケ
走れアルマジロ HUMMN003

今度はラブソングである。
勇造さんのアルバムには必ず素敵なラブソングが収められている。
この曲の初出は、1977年に地元京都のライブハウス拾得で録音されたライブアルバム「走れアルマジロ」である。
目の前で演奏されているような、臨場感がヒリヒリする好アルバムで、ファンが多いし、僕も好きなアルバムである。

このアルバムは2001年にCD化されたが、そのライナーノーツに、勇造さんが78年に他の雑誌上で、このアルバムを自分で評した記述が引用されている。その中で、この曲に触れている部分を抜粋してみよう。

・・そして、ゆっくり時間をかけて一つの円を描いてみるという点ではB面4曲目の「夜を重ねて」が一番気に入っている。まず、自分を勇気づけたり楽にさせる、そんなLPを作りたいと思い続けてきた俺にとって、この「夜を重ねて」は嬉しい。これ以来、ディランの「ジャスト・ライク・ア・ウーマン」を聞かずに済むようになった・・・・。


ラブソングにご託は要らない。ただ、その優しい波の中に身を漂わせれば良いのである。
この曲と、前の曲の間には語りが挟まれる。
語りの部分から記しておく。



去年は、ずっと京都でいるような事があまりなかって、大体70カ所のツアーやさかいに、年の半分くらいしか京都におらんで、拾得にもあまり来いひんかった。
昔、ビートルズの本とかディランの本とか読んでいたら、コンサートツアーの話しが出ていて、向こうは凄いよね、ニューヨークでやった翌日にサンフランシスコでやったり、俺ら京都でやったあくる日に枚方でやったりすんのやけど(笑) 。
けれどもやっぱり1日1日は同じで、身体の中から養分が吸い取られてしまうような気になる時もある。そんな時に作った歌で「夜を重ねて」新しい歌です。


静かに流れ込んでくる 夜の気配がする
真夜中これを書いてる あてのない手紙の代わり

孤独な兵隊だった ふと気づくと10年だった
1つの町と幾つかの恋を生きて 今でも愛は行方不知

もう長いあいだゆっくり 話さなかったねえお前と
戸口戸口に立つ物貰いのように
痩せた心に重ねて欲しい お前の夜を

世の中で一番綺麗なものを 人の心に見て
世の中で一番醜いものを 人の心に見る

生まれたばかりの子犬に お座りを教えた奴が憎い
そして俺もそんなふうに 人を傷つけてきた

もう長い間ゆっくり 話さなかったねえお前と
耕されすぎた畑のように 
疲れた心に重ねて欲しい
お前の夜を

目の前に指1本立てたら 隠れてしまう俺だけど
もう少し側に居て欲しい しばらく人を抱いていない

南の果ての見知らぬ島に 打ちよせる波よりも
今お前に唄いたい 精一杯のラブソング

もう長い間ゆっくり 話さなかったねえお前と
緩みはじめた新芽のように 
嬉しい心重ねて欲しい
俺の夜に

もう長い間ゆっくり 話さなかったねえお前と
緩みはじめた新芽のように 
嬉しい心重ねて欲しい
俺の夜に


「夜を重ねて」収録アルバム
走れアルマジロ  HUMMN003
振り返るには早すぎる HUMMN05~07




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