沈丁花、そして「土の中の子供」
沈丁花のツボミが、ここまで大きく膨らんでいますよ。 大げさに言えば、号泣したくなるくらいのニュース。小学一年生の男の子が、親の虐待の末、死んだ・・・。この子は、いったい何のために、この世に生まれてきたのだろうか。 2005年の芥川賞受賞作品、中村文則作 「土の中の子供」 を読み終えたばかりだったので、余計に心にぐっときてしまいました。親に捨てられ、親戚をたらい回しにされ、すさまじい暴力の中で育った私。私は、何度殴られ、蹴られたか分からない。幼かった私は、打ちのめされず、殺されることなく、生活をやり過ごすことだけが希望だった。 成長して、親が会いたいと言っていると聞いたとき、「僕は、土の中から生まれたんですよ。だから親はいません。」私は人の流れの混沌の中を、ゆっくり歩いた。この最後の一文に、彼の再生の予感がするのです。 生きてさえいれば、この男の子も、自らの力で、再生できたのに。可哀そうでなりません。もう一度、優しいお父さんお母さんのところに、生まれてくるんだよ。