ＪｅｌｌｙＦｉｓｈ

●くらげ●

生まれ変わったら何になりたい？
私はくらげです。


小さい頃・・・海面下に思いを馳せるのが大好きでした。
新聞に挟まってくる広告のうらの白い面に
クレヨンや色鉛筆で海の中の様子の絵を描いて遊んでいましたね。

特に、熱帯魚が好きだとか・・・
海の生物の生態に興味があるとか・・・

そういったことではありません。

穏やかな光の差し込む、静かな水中世界に憧れていただけなのです。

小学校の時プールの時間に水の中に頭まで沈み込み・・・
目をいっぱいに開けて水面を仰ぎ見て・・・
くらげになって・・・
ぼう～っと海の中を想像することも大好きでした。

水中に差し込んだ光は・・・
その世界の全てのものを柔らかに映し出します。
半透明の世界。
夢の中のようにぼんやりとした世界です。


小学校の小さなプールで・・・
私はくらげになって・・・プカプカと・・・。
決して頭の良い子のすることではありませんね。笑



水中を　ふわふわ　ふわふわ

流されてるのか・・・
泳いでいるのか・・・

ただただ漂っている感じが大好きなのです。
もちろん、あの半透明な身体も。

水族館のくらげの水槽の前で
じっと眺めているだけで・・・
自分もくらげになったように身体が浮遊し始めます。

ふわふわ　ふわふわ

夢のような生き物ですね。

英語名がジェリー　フィッシュというのも・・・なかなか良い。

もしも生まれ変われるのなら、くらげになって・・・
だだっ広い海の中を・・・

あっちへ　ふわふわ・・・
こっちへ　ふかふか・・・

漂い続けてみたいです。


　月光の中を泳ぎいで
　むらがるくらげを捉えんとす
　手はからだをはなれてのびゆき
　しきりに遠きにさしのべらる
　もぐさにまつはり
　月光の水にひたりて
　わが身ははりのたぐひとなりはてしか
　つめたくして透きとほるもの流れてやまざるに
　たまひは凍えんとし
　ふかみにしづみ
　溺るるごとくなりて祈りあぐ。
　かしこにここにむらがり
　さ青にふるへつつ
　くらげは月光の中を泳ぎいづ

　（月光と海月　萩原朔太郎）