
『天保異聞妖奇士』のOVA、『奇士神曲』獄一〜獄五を観ました。
1年近く待ちわびた期待を裏切らない、ストーリーも映像美も最高のクォリティでした。
獄一『嘆きの河』…佃の漁師達は自分達の祖先が国を守る護衛大のような存在だとそそのかされ、妖夷を追ってきた奇士一行を襲う。そこで小笠原は人を斬ってしまう。妖夷は倒したものの、小笠原は捕まってしまう…。
獄二『ディーテの市』…宰蔵は小笠原を救うため、赤猫と言う名の妖夷を暴れさせてしまう。小笠原が救われた引き換えに宰蔵は高野長英にそそのかされ、狐豊川を暴れさせてしまう。本来ならば火炙りの宰蔵もいまや時代から取りこぼされた奇士のひとりである。
獄三『煉獄山』…宰蔵を高野長英から取り戻すため、奇士一向は夏の蝦夷地へ。蝦夷の白河神社で媛という名の若い女性と出会う。しかし、高野が現れ、媛を斬ってしまう。
獄四『地上楽園』…竜導に説得されながらも、宰蔵は「知りたいか、この世の誠を。」と、言い放ち、揺るがない。そして、ついに高野と共に妖夷スサノオを蘇らせてしまう。
獄五『神話』…竜導はスサノオの力により、竜人へと化してしまう。これは出雲神話のヤマタノオロチを指していて、高野はヤマタノオロチをスサノオが倒すと言う神話を再現し、徳川の世を破壊しようとしていた。地獄と異界で構成されたこの世界の穢れを忌み嫌った竜導は天照大神のひとりだった媛とともに、異界に向かってしまう。
残り半年でやろうとしていた内容を濃縮させたと言われるだけあって、非常に中身の濃い内容、だった。どちらかと言えば人間嫌いの傾向があり、家族には幼稚で、未熟な素振りを見せてしまうこともしばしばある私にとっても良い処方箋だった。一人一人の人生に物語がある。それは誰かの物語でもある。難しいようで何よりもシンプルな作品の主張が私が小説を書くようになった、一つのきっかけにもなった。
疲れたらまた、この物語をもう一度旅してみよう。そんな気分にさせる一作だった。悩みを抱える現代の大人達に、ぜひとも勧めたい作品。数々の不条理にもめげず、ここまでの傑作を作り出した會川氏と故逢坂氏ら、スタッフ全員に謝辞と敬意を。