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カテゴリ:体の遣い
弾勁、という言葉があります。
中国の南派拳法でよく聞く言葉です。また、北派でも私の齧った翻子拳では使う言葉のようです。 その弾勁と、整勁というのが、中国武術のミソだと個人的に思っております。 その二つを、どの程度の割合で重視するかがそれぞれの拳法の風格になるとも思います。 その二つが何に繋がるのかと言うと、つまり速度と力積だと思います。 これ、一般の格技でも同じです。その速度と力積を産むための技術として、弾勁と整勁というテクノクラートがあると思っています。 速度に優った拳種、例えば翻子拳や詠春拳は、弾勁を重視し、威力を求めた拳種の心意六合拳や八極拳などでは整勁を重視していると思っています。 以前、速度を重視したある南拳の基本を学ばせてもらったことがありました。 いくつもの套路があるその拳では、実は五種類の足捌きと、弾勁だけを学べば実は全てだと、南拳の先生が言っていました。 その弾勁を習って試してみました。 ひたすらに速度を求めて思い切りその派の特色である圏錘を打ちました。 こうかな? うん、まぁまぁ上手くできたんじゃないか? と反芻している内に襲ってきた感覚! 痛い! 掌が痛い!! あまりに速く手を振ると、血が一気に動いて血管が痛みます。 驚いて掌を振っている私に、先生は笑いました。 「血管ですか?」 「はい、これ、いってぇ。すごいですね」 「ははは、忘れてました。もう慣れてしまっていたので」 そうか、馴れるもんなのか。 人間とは、すごいものだなあ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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