会社の全社ミーティングやら研修やらで
二日間カンヅメにされてました。。。疲労困憊。。
しかも、朝８時３０分からという、
普段フレックスになれきった低血圧のカラダには
非常にこたえるスケジュール。
うっかりキッチンに出しっぱなしにしてあった
しっかり味のしみこんだおでんは、
研修を終えて帰宅したら、傷んでるし。。
がっくり・・・・・。

ところで、おそらく、３０代後半以上で東京住まいの方なら、
なんとなく知っているのではないかという有名老舗喫茶店の
「談話室　滝沢」が、３月末をもって、閉店というのを
いまごろ知ってしまい、少なからずショックを受けている。
（長文ですね、ゴメンナサイ）







「談話室　滝沢」は、飲み物ほとんどが
１杯１，０００円という高価格なので、
自分のくつろぎのためには入らなかったが、
仕事の打合せで新宿というと、ほぼ必ず滝沢を利用していた。

とくに、作家さんと打合せというと、
必ず「じゃあ、新宿の滝沢、別館２階で」というように指定を受けた。

どんな喫茶店だったかというと、
まず驚くのは、ウエイトレスさんの礼儀正しさ。
良家のお嬢様といった風情の妙齢の女性達が、そろいの制服を着て、
美しい日本語と丁寧なしぐさをもって、
注文をとってくれる。
店内は、静かで、和風庭園風のオブジェがあったり。
テーブルもゆったりしているので、
打合せにはもってこいなのだ。

昔は、あのウエイトレスさんたちの、
あまりにも深々としたお辞儀が、なんだかおかしくて、
よく同僚たちと社内で真似してふざけたりもした。

実は、３ヶ月ぐらい前に、映像ディレクターと、
数年ぶりに、滝沢で打合せをしたときに、
「なんだか昔に比べて、お辞儀が軽くなりましたね」なんて
いったりしていたのだが、
それが閉店に向かうひとつの理由だったとは
正直驚いた。

今回の閉店騒ぎで知ったが、当時、あの女性達は全員社員で、
全寮制にて、接客マナーを
徹底的に指導されていたらしい。
ところが、近年、全寮制を嫌がる人が増え、
かつアルバイトというカタチが好まれるようになっていたという。
今回の閉店も、採算が合わないのではなく、
あくまでも「サービスの品質を維持できなくなる前に、
いさぎよく身を引きたい」という、社長の思いからだったとのこと。

２０代前半の駆け出し編集者だったころ、
作家の先生と打合せというたびに、半分びびりつつ
どきどきしながら、滝沢で待ち合わせをした。
（その場で初めて会う場合はとくに。）

周囲のお客さんも、ほとんどが
いかにも編集者と作家といった風情が多く、
それもまた、駆け出しの私には、「貴重な空間にいる」という
独特の気分を味わわせてくれた。

今の会社に転職して以来、
いわゆる「作家さん」との接触は少なくなったため、
ほとんど滝沢には行っていなかった。
３ヶ月前の映像ディレクターさんとの打合せは、
先方が「新宿の滝沢　別館　２階」と電話で指定してくれたのだが、
それを聞いたとき、「うわー！その響き、懐かしい！」と
思わず叫んでしまったものだ。

そのぐらい、「新宿の滝沢、別館２階」というのは、
私にとって、「＝打合せ」というように刷り込まれていたのだ。

トラックバックさせていただいた方々のブログを見ても、
みなさん、滝沢にはそれぞれの思い入れがあって、
愛していたんだなあと感じさせられる。
私にとっても、編集者としての成長の場だっただけに
なくなってしまったというのが非常に惜しい。

おそらくああいうタイプの古式ゆかしい喫茶店は
もう二度とできることはないだろうけど、
私の中では決して忘れることはないと思う。

そういえば、もうひとつ新宿で打合せというと
よく指定されたのが、今でいうマイシティの確か８階にあった
「伊勢丹　プチモンド」。
「談話室　滝沢」を指定してくる先生に比べると、
若干おしゃれで、軽い感じの作家さんやイラストレーター、
カメラマンなどが多かった。
でも、ここもずいぶん前になくなってしまっている。

おそらく、新宿で打合せの場所というと
「滝沢」しか知らないというご年配の作家の先生も多いはずだから
この先、たいへんだろうなあ。。。

滝沢の最後の営業日の売り上げは、全額赤十字に寄付したという。
なんだか最後の最後まで、「凛」とした幕の閉じ方。
自分の思い出の場所がまた無くなってしまったという寂しさはあるけど、
４５年もの長い間、ほんとうにご苦労様でした、ありがとうございましたと
お礼を伝えたいと思う。

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