カテゴリ:本に関する話
植松黎さんの「毒草を食べてみた」にでてくる「ゲルセミウム・エレガンス」という植物
中国南部からベトナム、タイに生息するのですが葉っぱ3枚で人間を死にいたらせる青酸カリ よりはるかに強烈な毒草です。この植物はハート形した葉がかわいい常緑のツル性植物で、 黄色い花が咲く時期以外は目立たないふつうの見かけをしています。 日本には自生しないのですが、何と千二百年前にすでに輸入されていたようです 奈良の正倉院の宝物庫に納められた生薬の「冶葛」(やかつ)というのがそれで、別名断腸草という 冶葛は食べた人が腸がねじれたように苦しむという意味だったそうです。 面白いのはこの「冶葛」貴重品なので記録が残っているんです 756年 32斤(約14kg) 793年 31斤 811年 11斤 856年 2斤 とおよそ百年の間に大半が無くなっているのです 天然痘の治療薬に良いとされたとのことですが、実際治療薬としては使われなかったようです。 となるともうひとつの使い方しかないのですが、 宝亀十年の十二月六日に親王禅師という人が60gの申請をしています。 この親王禅師というのは皇族出身の僧侶のことで誰なのかは不明です。もちろん申請理由も 不明??? しかしこの宝亀十年十二月からの一年間に、壬申の乱以後の天武天皇系の皇位が天智天皇の系 に移るというドラマがあったのです これがただの偶然なのか、そうではないのか 千二百年後の1996年の調査では、冶葛の毒性は全然劣化していなかったそうですしかも現在正倉院に残されていた「冶葛」は何と わずか390gだったそうです。 誰が、いつ、どうして使ったかを考えると歴史の勉強に少し興味が湧きませんか? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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