コストパフォーマンスが高い多機能ディレイ『VOX DelayLab』
最近は単機能エフェクターに様々な設定パラメーターや付加機能を持たせた多機能エフェクターがトレンドの1つになっており、様々な製品がリリースされています。その中でもデジタル・ディレイは競争が激しい分野で、定番の『LINE6 DL-4』を始めとして『TC Electronic Flashback X4』、『BOSS DD-20』、『EVENTIDE TIME FACTOR』、『STRYMON TIME LINE』等の多機能デジタルディレイが人気を得ています。 そんな中で比較的新しい製品にも関わらず、既に忘れ去られようとしている製品が1つ。『VOX DelayLab』です。純正ACアダプター『KORG KA-181』付きで、ほぼ未使用品が中古で売られていたので保護しました。本来は『LINE6 DL-4』、『TC Electronic Flashback X4』、『BOSS DD-20』と価格が競合する製品かと思いますが、実際には新品が15,000円を切る価格で手に入ります。けして悪い製品ではなく、少なくとも『LINE6 DL-4』より音は良いと思いますが、市場の評価は低いようで今や立派な不人気モデルです。何がダメなんでしょうね。まず、無駄にデカイ筐体。コレばかりは頂けません。これを買ったばかりにエフェクトボードを新調する必要が出てきました。多機能とは程遠いアナログな感じのインターフェースがマイナスイメージなのでしょうか。裏返せば直感的に操作出来るということなんですが・・・。PCとの親和性が皆無とは。USBポートを備えていません。不具合が出てもファームウェアを書き換える手段がないということです。基本となるディレイは10種類ですが、それぞれに3つのタイプあり、搭載してるディレイは30種類とクラス最高です。ディスプレイもアナログな感じでアルファベットの表示さえ微妙ですが、必要な情報は十分に読み取れます。 この製品は立派なデジタル・エフェクターですが、アナログ風のコントロール系統のお陰で直感的に操作できる秀逸なインターフェースを実現しています。基本的な設定はコンパクト・エフェクターと大差ありません。設定は、10バンク✕3チャンネル=30プログラムまで保存することが出来ます。プログラムの呼び出しは4つのペダルで行います。一番の左のペダルで、バンクを切り替えます。右側の3つのペダルでA、B、Cチャンネルを選択してプログラムを呼び出す。ルーパー機能の操作も、この4つのペダルを使用します。ステレオ入力、ステレオ出力をサポートし、コントロールペダル接続用の端子も装備。先にも書きましたが、残念ながらUSBポートはありません。 デジタル・エフェクターですので一般的なエフェクターより消費電力は大きいのですが、比較的少なく抑えられているようで、消費電流は200mAです。消費電力の少なさを生かして単三電池6本でも動作するように設計されています。ACアダプターは別売りですが、起動時により大きな電力を必要することを考慮しても定格電流が300mA程度のもので十分です。デジタル・エフェクターとしての仕様は量子化ビット数 24bit、サンプリング周波数 48kHzと一般的なものですが、28秒のステレオ・ルーパーを備え、バイパス時にDSPを通すかトゥルーバイパスにするか、いきなりディレイをOFFにせずに残響音を残すかと言った細かな設定も可能です。肝心の音はと言うと、悪いということは全くありません。むしろ『LINE6 DL-4』よりは、ハイファイな印象を受けました。使いやすい無難なディレイ・サウンドで、特徴を欠いているとも言えますが・・・。今回もレビュー動画をアップしました。勿論、下手くそなデモ演奏もあります。 ・[DEMO] VOX DelayLab (DIGITAL DELAY)