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カテゴリ:革製品
前記事「万双のブライドルレザーの2つ折り財布を買いました その1」の続きです。
今回のレビューは、記事が長くなったので、分割連投します。 では、レビュー再開。 続いて、縫製を見てみましょう。 この値段ですので当然ですが、ミシン縫いです。 凄くピッチの細かい縫製ですね。糸は白。光沢が有るのでナイロン糸でしょうか? これは、かなり丁寧な縫製です。 ステッチの外側には、「ネン」が入っています。 「ネン」は、ステッチの脇にラインを切れる技術。「念引き」はかなりの高等技術です。 飾りの意味と革の接着性を高め、コバ(財布の端、切断面)を頑丈にする意味があります。 内装側では、焦げ目が付いているので、これは「熱ネン」ですね。 更に、カード入れの部分を見てみましょう。 こう言った段差が出来る部分の縫製は難しいんです。 綺麗に段差を跨いで縫製されているかがポイント。 ここも中々上手い仕上げです。 下側の扉(折れ曲がり部分)で、縫製の粗を見つけてしまいました。 片方は段差を跨がずに縫製を終了しています。 縫い始めとか終わりの関係で仕方ないのかもしれませんが・・・。 他にも、ステッチが乱れている箇所が数箇所ありましたが、狭いにピッチで綺麗に縫製されているだけに、乱れた部分が目立ちます。残念です。 量産品で完璧な縫製を求める事自体酷な事です。 多少、粗があるとは言え、すばらしい出来と言えます。 最後にゴバ(端の断面)をチェックしてみましょう。 コバの処理は、切断した革の断面を磨き上げる「切れ目」。 「切れ目」でも、顔料を含む樹脂の状の塗料をコーティングして処理するものが多い中、これは純粋に「切れ目本磨き」。 カンナやヤスリで断面を整え、フノリという海草で丁寧に磨いて仕上げます。 顔料か染料か分かりませんが、断面に黒い墨が入っていますね。 コーティングする手法と異なり、粗が目立ちやすい処理方法なので自信がないと出来ません。 完璧にツルツル、ピカピカですとまで言えませんが、かなり丁寧に仕上げられている事は確かです。 この価格帯で、ここまで丁寧にコバの仕上げを行っている革製品は、まず、無いでしょうね。 しかし、このコバ、分厚いですね。これだけ革を使えば仕方ないですが。 コバのお陰で、財布が重厚なイメージに仕上がっています。高級感も出てます。 一通りチェックしましたが、中々の出来ですね。 シンプルながら重厚な造りで「所有する満足感」が有る点も評価できます。 誤解が無いように先に書いておきますが、おそらくこの財布は、万双さんお抱えの職人が作ったわけではなく、万双さんが企画した外注品だと思います。 レビューする時は、価格との兼ね合いも考え、「元々安物なのに安っぽい。」とか言った「けなし方」はしないように心がけていますが、万双さん、HPで立派な事を書かれているので、今回は厳しく評価します。(笑) 結論から言うと、この財布に関しては「世界最高の品質と、常識的な価格。」は言いすぎだと思います。 「常識的な価格。」であることは間違いないでしょうが、そもそも、2万円しない財布ですから常識的に考えて「世界最高の品質」は無いですね。 実際、レビューでも粗は見つかりました。 コストと量産という制約から、この財布に関わった職人さんも100%の力を出した訳ではないと思います。 しかし、この価格でここまでの品質を実現している点は驚異的です。 2万円以下で、これ程の丁寧な造りの財布は、まず見つからないと思います。 もう少し厳しく品質管理すれば、「世界最高の品質」に近づくと思いますが、そうすると価格が上がってしまうのでしょうね。 多少、けなした部分もありますが、この財布が非常に高いレベルにあることは間違いないでしょう。 個人的にも買って正解だったと思っています。 実は、今回購入した「万双」の財布以外にも気になるブライドルレザーの財布がありました。 そのうち買うかも。 まずは「AJIOKA」の「GANZO」シリーズ。 「GANZO」シリーズは、革の質と作りに定評がありますが、ブライドルレザーの財布も中々良い感じです。 マチ付きタイプの小銭入れが付いていますが、このタイプは嵩張らず良いですね。仕切りが無ければ、もっと良いのに。 値段は、32,550円とちょっと高いですね。 【送料無料●バッグsale】GANZO BRIDLE '07 札入れ マイナーな所では「aries WEBSHOP」のブライドルレザーの財布も気になっていました。 こちらは、ボックス型の小銭入れ付き。 ここで購入した名刺入れ(参考:コードバンの名刺入れ、激安で心配だったけど)の作りは、悪くなかったです。 値段も、14,700円と手頃。見方を変えれば、あと4,000円プラスで「万双」が買えますが・・・。 英国SEDGWICK(セドウィック)社のブライドルレザーを使用!!ブライドルレザー(ヌメ革ロウ引き)二... 上記2つは、有名なイギリスのタンナー「J&E SEDGWICK」社のブライドルレザーを使用しています。価格から考えても同じ品質のものではないでしょうが・・・。 最後は、「万双」並みの絶滅危惧種「土屋鞄製造所 (楽天市場店)」の「ヘリテージ」シリーズ。 こちらは、内装に染色した牛ヌメ革(厳密にはヌメとは言えませんが)を使用しています。 デザインは、万双とは対照的でカジュアルな感じのデザインです。 メンテ用のブラシ付きで25,000円。割高な印象の強い土屋の製品としては好感の持てる価格です。 問題は、この商品が滅多に入荷せず、入荷しても即完売状態であること。入手には忍耐が必要です。 Heritage ブライドル二折財布 土屋鞄のブライドルレザーは、「GRADE LEATHER」社と言うあまり名前を聞かないイギリスのタンナーのものを使用しています。 成牛ではなく、キップ(若い牛)をバット部(背中の繊維が緻密な部位)だけを原料としているとの事。 ブライドルレザーは、高級革の部類に入ると言っても、所詮は普及品の域を出ません。探せば、もっと安いものもあるにはありますが・・・。 楽天市場でブライドルレザーの財布を探す お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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