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カテゴリ:万年筆
これも昨年末にオークションで落札したものですが、70年代のモデル「モンブラン No.221」として出品されていました。
ところが「軸は、221では無いのでは?」という質問が出ており、確認すると確かにキャップリングには「221」と刻印があるのですが、ペン先は明らかに221のものとは異なります。 軸には「022/EF」というシールが貼られているように見えたので、軸のみ60年代の「No.22」と言うパターンは在り得るかもと思っていました。 しかし、分かる方には分かったんでしょうね。 私は、分かりませんでしたが・・・。 最後まで、結構競り合いになり、8,500円で落札しました。 一応、モンブランですが、けして豪華な造りではなく、軸もキャップも簡素です。 むしろ樹脂製の安っぽい万年筆という感じが否めません。 状態はとても良くて綺麗で、軸やキャップの樹脂は、まだ新品に近い光沢を放っています。 難点は、軸にネームが入っている事くらいです。 ちなみに軸のみ「No.22」ではと言う予想は外れました。 キャップは勘合式で、首軸と軸の間には、幅が細めのインクビューが付いています。 キャップをした状態では、「ペリカン M600」より少し長い程度ですが、軸径は細く、軸自体の長さは「ペリカン M400」ほどです。 ペン先やインクビューは、60年代の「No.22」と70年代の「No.221」を合わせたような仕様。 何なんでしょうね。このモデル。 シンプルな金メッキのクリップが付いたキャップは、どうみても「No.221」のものに見えます。 少なくとも70年代のモデルのものであることは間違いないでしょう。 60年代の2桁モデルのものより、やや安っぽく感じる造りです。 キャップリングは2重で、片側のリングに「221」の刻印。 やはり、キャップ自体は「No.221」のもののようです。 キャップが「No.221」のもののようなので、当然ですが、天冠は、70年代のデザイン。 尻軸のホワイトスターも70年代のものに見えます。 実は、このホワイトスター、簡単に外れてしまいます。 60年のものの方が、明らかに造りが精巧で、好きですが・・・。 軸に貼られているシールがオリジナルのものか分かりませんが、それを信じるならモデル名は「No.022」となりますが、そんなモデル見つかりません。 無論、この軸は「No.22」のものではありませんし。 インクビューは、幅が狭く、「No.221」と似ています。 全体的な印象としては、「No.221」に近いのですが、ペン先は1世代前の「No.22」に近い感じです。 吸入ノブは、動きが悪く、誤って破損するといけないので、後で何とかしましょう。 ピストンリング付近に、黄色いリングが入っていますね。 ペン先は14金ですが、エボ焼けやらで小汚い状態です。 ペン先は、首軸に隠れていて、見えている部分は少ないですが、「ウイングニブ」っぽい感じ。 やはり、ペン先と首軸の先端だけは、「No.22」に近い雰囲気です。 ちなみに「No.221」はウイングニブではありません。 首軸から僅かに覗くペン芯は、エボナイト製でしょう。 これらの情報から考えて、ようやくモデル名が判明しました。 しかし、このモデル情報自体少ないんですよね。 「趣味の文具箱 vol.3」に写真が出ていて助かりましたよ。 60年代に「No.22」などの2桁モデルは、販売を終了し、70年代になって「No.221」などが登場しますが、その合間に発売された短命モデルがあります。 これは1970年に登場した過渡期の短命モデル、「No.0221」でした。 特徴は、50年代から続く「ウイングニブ」の伝統を引き継ぐ、70年代のモデルであること。 「No.0221」誕生の翌年、1971年には「No.221」が登場しますが、暫くの間は「No.0221」もカタログに掲載されていたようです。 掃除のため、バラしてみました。 高級路線をとる現在のモンブランには存在しない、廉価モデルなので全体的な造りはチープ。 樹脂軸は、結構ペラペラで、分解するときに樹脂が割れないか、ちょっと怖かったです。 吸入機構もバラしたかったのですが、やり方が分からなかったのでパス。 吸入ノブの動きが悪かったので、シリコン潤滑剤で滑りを良くしておきました。 最近、万年筆の洗浄ばかりしているので、うちの息子は、万年筆を水中の生物と思っているみたいです。 万年筆を「おとと(魚)」と言いますから。 ペン先とペン芯は、透明のケースに収められ、ユニットになっています。 表面が平らなウイングニブ。 どうも、60年代の「No.22」のペン先を流用したようです。 ペン先には、「22」と刻印がありました。 ペン芯の構造は、明らかにカートリッジ式を意識してます。 しかし、この万年筆は、ピストン吸入式です。 吸入式に対応するための、軸の先端に工夫が。 ペン芯から突き出した棒を保護するための、パーツが軸の先端にありますね。 「No.221」はカートリッジ式も存在したので、カートリッジ式への以降を意識した設計を取り入れたか、「No.221」と並行して販売された時期に共通の部品が使われたのかもしれません。 キャップは、如何にも「No.221」のものの流用と言った感じです。 60年代の「No.22」、「No.24」と比較していましょう。 手前から「No.22」、「No.0221」、「No.24」と並んでいます。 キャップリングが2重なので「No.2X」の後継にあたり、「No.22」にサイズかと思いきや、キャップをした状態では、やや大型の「No.24」に近いサイズになります。 しかし、軸自体は、「No.22」に近いサイズですね。 太さも「No.24」ほど、太くはなく、「No.22」に近い感じです。 最後に、いつもの如く、汚い字で書いてみました。 使用した紙は、ブロックロディア。5mm方眼が入っています。 インクは、パイロットの色彩雫 松露。 比較は、 ・モンブラン 149 たぶんF(細字) ・ペリカン #500 F(細字) です。 ペン先はEF(極細)なのでかなり細い筆記線になります。 紙の上を軽く走らせるだけでインクが素直に出る、非常に書きやすい万年筆ですね。 「ウイングニブ=柔らかい」というイメージがあったのですが、第一印象は、予想以上に硬く感じました。 勿論、撓りとフワフワ感はありますが、確りとコシもあり、私の頭の中のイメージとは、異なる撓り方でした。 筆圧を上手く逃がすように自然に撓るので、優秀な設計のペン先と言えるのではないかと思いますが、古いペリカンとは、また違った感触です。 扱い易さという点では、モンブランの方が上かもしれません。 フーデッドタイプで、ペン先とペン芯はユニットに収まっていますし、ペン先は「No.22」のものの流用で小さめ。 50年代のモデルや一世代前の「No.24」あたりだと、また違った印象になるかもしれません。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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