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2011.07.31 楽天プロフィール Add to Google XML

2011年4月~7月レビューのまとめ
[ レビューまとめ ]    



2011.04.19

トラックバック受付終了のお知らせ
[ その他 ]    

 先日、ブログ引越しの件で触れたとおりに、本日4月19日より楽天ブログ様の暴挙によりトラックバックの受付が終了したと共に、過去に皆様から頂いた大切なトラックバックも全て消去されてしまいました。過去受付分のトラックバック消去は私の想定外でもあり、楽天ブログユーザーをバカにした行動です。

 映画ブログユーザーとしてトラックバック機能は、他のブロガーさんとの交流できるパイプラインであり、情報を供用する不可欠なツールでもあっただけに、今回の楽天ブログ様の判断は大きな間違いであり、ブログと言うツールをまったく理解していない事が露呈してしまった。

 2006年に開設し、足掛け6年間に沢山のトラックバックを皆様から頂いたのに、こんな形で消滅してしまい皆様には申し訳無い気持ちで一杯です。先日のブログ引越し時にレビューと共にコメントは引き継ぐ事が出来たのですが、トラックバックデータまでは引き継げなかったのが無念でした。

 バックアップツールも作らず、自分達の都合で強引に機能を廃止した楽天ブログ様は酷すぎる。これからブログを開設しようと考えてる方は楽天ブログ開設だけは止めましょう。



 尚、「masalaの辛口映画館」は、4月9日にウェブリブログにて「masalaの辛口名画座」と統合して「新・辛口映画館」として新装開設しました、よろしくお願いします。

最終更新日  2011.04.19 23:30:19
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2011.04.09

ブログ引越しのお知らせ
[ その他 ]    

 2006年9月9日に開設した「masalaの辛口映画館」は、4月9日をもってウェブリブログに開設していた「masalaの辛口名画座」と合併統合して、「新・辛口映画館」として生まれ変わりました。

 3月のブログ休館宣言をして、昨日アップした「八日目の蝉」でブログ活動再開宣言したばかりですが、楽天ブログ様がトラックバック受信機能を4月11日をもって廃止という、突然のブログユーザーを無視した荒行に出た事で、ブログの運営に支障きたすと判断しての引越しとなります。尚、ブログ自体はそのまま残しますのでコメントは引き続き受け付けしております。

 長い間ご愛読ありがとうございます、「新・辛口映画館」でお待ちしております。

最終更新日  2011.04.10 12:14:21
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2011.04.07

映画「八日目の蝉」@よみうりホール
[ 試写会2011 ]    

 先月半ばに休館宣言をしてから約一月、やっと当ブログも活動再開です、引き続きよろしくお願いします。

   八日目の蝉

 試写会の客入りは95%くらい、主権は読売新聞さんだ。

 映画の話
 子どもを身ごもるも、相手が結婚していたために出産をあきらめるしかない希和子(永作博美)は、ちょうど同じころに生まれた男の妻の赤ん坊を誘拐して逃亡する。しかし、二人の母娘としての幸せな暮らしは4年で終わる。さらに数年後、本当の両親にわだかまりを感じながら成長した恵理菜(井上真央)は大学生になり、家庭を持つ男の子どもを妊娠してしまう。

 映画の感想
 いくつか気になる点があるものの、役者の演技と相成り総体的に見てよく出来た力作である。「孤高のメス」で高い評価を受けた成島出監督の勢いがそのまま作品に反映されたのだろう。映画の構成も一癖あり、誘拐事件の判決を物語冒頭に配し「何故本件の誘拐事件が起こったか?」を辿るメインパートと並行して、赤ん坊の時に誘拐され大学生となった恵理菜(薫)の現在が並行して描かれる時間軸をばらした複雑な構成がとられているが、丁寧に作られている為に戸惑う事は無い。wikiによると原作では第一部と第二部に分けられた物語を映画版は一部と二部を並行して描いている、映画らしい大胆な脚色に醍醐味を感じ取れる。

   以下ネタばれ注意

 まず気になるところを揚げると、希和子が愛人の自宅から赤ちゃんを連れ去った事で警察事件となり、赤ちゃんが顔写真入りのマスコミ報道がされているのに、希和子はその赤ん坊を隠そうともしないのに違和感を持った。通常であれば赤ん坊に帽子をかぶせる、性別を偽るために男児の服を着せるなど変装させるくらいすると思う。そして、事件当初のみ報道がされるものの、その後は警察や報道が動いている気配がまったく描かれていないのにも違和感を持った。その為に誘拐事件を描いているのに緊迫感が感じられないのは難点である。張り出された捜索願のポスター、パトカー、交番など小道具&大道具を使えば容易に誘拐犯の焦りや恐怖が演出出来たと思う。まぁ私は原作を未読の為に不明であるが、2時間27分と言う上映時間に収めるために警察やマスコミは割愛されたのかもしれない。

 そこで本作は「どこに焦点を絞るか?」と見てみると、明らかに血の繋がらない擬似親子の親子愛と、大人になった恵理菜が辿った生い立ちに焦点が絞られている。それにしても本作に登場する男は情けない。誘拐事件のきっかけを作った張本人である恵理菜の父は、妻がいながら不倫相手の希和子を妊娠させ堕胎させた駄目男だ。そして現在の恵理菜の交際相手の岸田も妻がいながら悪ぶる気配も見せずに不倫をし恵理菜を妊娠させてしまう。まぁ、そんな相手と交際してしまう恵理菜も駄目である。彼女が父親から受け継いだ遺伝子がそうさせてしまうのだろう。

 逆に本作に登場する女性は強い。メインキャストの喜和子と恵理菜しかり、行き場を失った希和子と薫を受け入れるエンジェルホームは女性だけのコミュニティだ。代表のエンジェルを演じる余貴美子は若干演技を作りこみ過ぎている感はあるものの、時代設定となる80年代末期~90年代初頭を象徴するカルト教団オウム真理教辺りを誇張しモチーフにしているのかもしれない。居場所を見つけたはずの希和子と薫であったが、思わぬ事態にホームを抜け出し、ホームで知り合った女性の伝を辿り小豆島に逃避行する。

 現在のパートで重要な鍵を握るのが恵理菜誘拐事件を追うフリーライター千草だ。岸田の事を“ストーカー”と勘違いするが、彼女こそが恵理菜のストーカーの様に彼女の生活に踏み込み恵理菜の道先案内人を勤める。千草を演じる小池栄子がいい。普段は図々しく押してくるが、実は男性コンプレックスを抱えオドオドとした態度の女性像を上手く好演している。彼女の素性も意表を付かれた。そして恵理菜の失われた過去の記憶を繋ぐ重要人物となる小豆島の写真館主を演じる田中泯がいい。台詞も少なく存在感だけであの役を演じられるのは彼だけであろう。

 そして本作の最大の功労者は希和子を演じた永作博美である。私は正直、彼女は苦手な女優であるが、希和子役の熱演は認めないわけにはいかない。映画冒頭に泣き止まない赤ん坊をなだめる為に、出るはずの無い母乳を与えるシーンがあるがおっぱいが見えないのが難点で、このシーンで惜しげもなく「ハングオーバー!」のヘザー・グラハムの授乳シーンの時のように、普通におっぱいを出していれば女優魂を感じ取れたのが惜しい。まぁ、それを差し引いても彼女の熱演は今後の映画賞をにぎわす事になるであろう。それにしても永作博美と井上真央って二人別々に見ると似ていないのだが、二人がつながったカットで登場すると「」と一瞬、永作か井上かが判別出来なくなる瞬間が何度かあった。擬似親子を題材にした作品だけに作り手が仕掛けたキャスティングの妙なのだろう。あと一点難点を書くとスコアとBGMの音がでか過ぎて台詞が聞き取れないシーンがあった。近年だらだらとした幕引きが多い邦画であるが、本作は言いたい事を言ってスパッと上手く幕を引く、早くも今年ベスト作品候補確定作品である。

 映画「八日目の蝉」へのトラックバックは「新・辛口映画館」にて受付中です。
 
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最終更新日  2011.04.27 17:08:57
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2011.03.16

幻の試写会
[ その他 ]    

 
   東日本大震災により被害を受けられたみなさまに謹んでお見舞いを申し上げます。

   幻の試写状

 上記の3作品は今週予定していた試写会だったのですが、震災の影響で全て中止になってしまいました。したがってレビューを書くネタも無くなり「masalaの辛口映画館」もしばらくの間、休館とさせて頂きます。コメント&TBは随時受け付けております。

最終更新日  2011.03.16 17:40:54
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2011.03.08

映画「ツーリスト」@チネチッタ
[ 劇場2011 ]    

 平日の昼間、客入りは407席のチネ11に2割弱くらい。

   
★アンジェリーナ・ジョリーとジョニー・デップ共演★■先行告知Ver■ [映画ポスター] ツーリスト (THE TOURIST) [ADV-DS]
 映画の話
 傷心を癒やすためイタリアを訪れたアメリカ人のフランク(ジョニー・デップ)は、ベニスに向かう車中で上流階級の美女エリーズ(アンジェリーナ・ジョリー)に声を掛けられる。魅力あふれるエリーズに誘われるがまま、アバンチュールに酔いしれるフランク。しかし、それはすべて仕組まれたわなだった……。

 映画の感想
 アンジェリーナ・ジョリージョニー・デップという二大ビッグスターのネームバリューにおんぶに抱っこし、作り手が面白い映画を作ろうとする事を放棄してしまったような非常につまらない作品である。まず、本作が始まり直ぐに妙に軽快に細かく動き回るスコアが鳴り始めて「これはヤバイかも?」と言う不安な気持ちが湧き上がる。宣伝媒体には“ロマンティックミステリー”となっていたが、蓋を開ければ“ロマンティックコメディ”に近いノリに映画を見ていて違和感を持つ。

 物語前半は謎の美女と列車内で彼女に声を掛けられた旅人と言う設定は興味を引くが、なにか緊張感に欠けた作風に見ている私も本腰が入らない。列車からホテルまでは何とか無難な演出で乗り切るが、ホテルにフランクを狙う殺し屋が押し入り、フランクがパジャマ姿で屋根づたいを逃げ回るシーンも緊張感もないゆるい演出を見ていて私は確信した「これはダメだ」。その後の殺し屋とのボートチェイスまでは「まぁ、こんなものだろう」と自分を落ち着かせたが、エリーズの素性が判ってからは「なぁ~んだ」と急に私のテンションも下がり、「そういえば、007を演じたティモシー・ダルトンも出てたしなぁ・・・」なんて、完全に映画から心が離れてしまった。

 まぁ、本作はアンジーとジョニーと美しいロケ地を見る映画なのかもしれないが、あまりにも映画としてお粗末である。役者の演技もアンジーはいつもあんな感じなので別にいいが、ジョニーは悲惨だ。役の設定上ああいう演技なのは判るが、こんなに魅力のないジョニーははじめてだ。私の推測であるが本作はアンジーとジョニーの出演料で製作費の大半を持っていかれ、いいスタッフも集まらなかったか、アンジーとジョニーに注文を付けられないYESマン的なスタッフが集まってしまったのだろう。私は本作の監督フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルクの監督作品を見るのは初めてであるが、彼はきっとこの手の作品を得意な監督ではないのだろう。

 それにしても「何故こんなダメ映画が出来上がったか?」を調べてみると色々判った。まず本作は宣伝媒体ではあまり謳っていないが、ソフィー・マルソー主演のフランス映画「アントニー・ジマー [DVD]」のリメイク作品で、企画段階から出演者や監督の降板したいわく付きの作品らしい。どうも本作を配給したソニーピクチャーズも宣伝が及び腰と言うか、これだけのスター映画なのに試写会も東京ではジャパンプレミアと他にも数回?しかやらないなど、今思えば不安な要素がいっぱいあったわけだが、まんまと私も気づかず地雷を踏んでしまった。レンタルDVDで十分の作品である。

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最終更新日  2011.03.09 22:26:12
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2011.02.18

映画「塔の上のラプンツェル」@TOHOシネマズ川崎
[ 試写会2011 ]    

 客入りはほぼ満席、ディズニー作品らしくチビッ子たちも多数来場している。今回は日本語吹き替え版を鑑賞しました。

   
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 映画の話
 深い森に囲まれた高い塔の上から18年間一度も外に出たことがないラプンツェルは、母親以外の人間に会ったこともなかった。ある日、お尋ね者の大泥棒フリンが、追手を逃れて塔に侵入してくるが、ラプンツェルの魔法の髪に捕らえられてしまう。しかし、この偶然の出会いはラプンツェルの秘密を解き明かす冒険の始まりのきっかけとなり……。

 映画の感想
 本作は主人公が赤ちゃんの時に魔女に連れ去られ、18年間塔の中に幽閉されると言う、洒落にならないネガティブな設定であるが、そんな事を微塵も感じさせないディズニーのマジックに満ち溢れた楽しい作品だ。原作となったグリム童話もあらすじを読むとかなりネガティブあるが、本作を見ると「塔の中から出た事の無い“髪長姫”」と言う設定だけベースに、ディズニーは新たに物語を作り出したようだ。主人公ラプンツェルは外の世界に憧れるポジティブな少女となり、原作では王子だった彼女の相手役もエイドリアン・ブロディ似の大泥棒となり、ラプンツェルの初めての冒険のお供となると言う設定であるが、お姫様と大泥棒の組み合わせだと、日本人観客の多くは宮崎駿監督「ルパン三世 カリオストロの城」のルパンとクラリスの関係思い出してしまうだろう。

   以下ネタばれ注意

 作品は明らかにディズニーアニメーションなのだが、キャラクターの設定や動きに所々、宮崎駿監督の影響が感じられる。特に大泥棒フリンのキャラクター設定や、コミカルな体の動きは明らかに宮崎駿版ルパンに似ている。まぁ、製作総指揮が宮崎駿をリスペクトするジョン・ラセターなのだから仕方が無い。そんな野暮な愚痴を差し引いても作品のクオリティは非常に高い。前作「プリンセスと魔法のキス」がディズニー初の黒人ヒロインだったのに比べると、本作ラプンツェルは前作の反動なのか非常に可愛いく描かれている。美しいブロンドヘアに愛らしい顔立ちはまるで人形のようであり、3DCGアニメが作り出したヒロインは、バービー人形やリカちゃん人形と同様なソフトビニール人形タイプの造形だ。
 
 物語の展開もディズニーらしい王道な展開で安心して楽しめる。ディズニー作品ならではの動物キャラも健在で、本作では王室に従える白馬マクシマスと、ラプンツェルのペットのカメレオン・パスカルが要所要所で大事な仕事をしてくれる。“髪長姫”と言う設定もディズニーはアクションシーンに上手く使っている。ラプンツェルの長い髪の毛が「インディ・ジョーンズ」のムチのような役目をしたり、髪の毛を物に巻きつけて「ターザン」のように移動したり、作り手のアイディアは底知れぬ。ダムのシーンでの一大スペクタクルは鳥肌が立つくらいにスリリングで緻密なアクションが構築されている。

 CGアニメーションも非常に美しく、今まで見てきた3DCGアニメ作品の中でも最高の色使いで、3Dメガネを掛けていても色の美しさとグラデーションを感じる事が出来る。3D技術も美しく、クライマックス前のラプンツェルの為に空に上げられる小さな灯篭の様な気球が舞い上がるシーンでは、目の前まで気球が迫り楽しい。そして音楽は「リトル・マーメイド」「美女と野獣」「アラジン」など、数多くのディズニー作品の音楽を書いてきたアラン・メンケンが担当している。劇中に何度かミュージカルシーンも用意され、メンケンらしい美しい楽曲には思わず聞き惚れてしまった。ここ数年のディズニー作品の中でも群を抜くクオリティに仕上がり、お子さんから大人まで万人が楽しめるディズニーならではの作品である。

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最終更新日  2011.04.14 18:30:47
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2011.02.11

映画「ヒア アフター」@ヤクルトホール
[ 試写会2011 ]    

 客入りは7割くらい。試写会の主権はラジオ日本イエスタデイポップス・ウィズ・シネマダイヤリー」さんだ。映画上映前に横山明日香さんのMCでスポンサー様からの商品案内と抽選会が行われた。

 
★クリント・イーストウッドの新作★■両面印刷Ver■ [映画ポスター] ヒア アフター (HEREAFTER) [DS]
 映画の話
 霊能力者としての才能にふたをして生きているアメリカ人のジョージ(マット・デイモン)、津波での臨死体験で不思議な光景を見たフランス人のマリー(セシル・ドゥ・フランス)、亡くなった双子の兄と再会したいイギリスの少年マーカス。ある日のロンドンで、死に取りつかれた3人の人生が交錯する。

 映画の感想
 私の中でここ数年“イーストウッド監督作品にハズレなし”と自負していたが、ついに御大もやっちまった!と言うか製作総指揮を務めたスピルバーグが監督のチョイスを間違ってしまったのだろう。現在81歳のクリント・イーストウッドは08年の「グラントリノ」で自身の死生観をドラマに盛り込み大傑作を生み出したが、09年の「インビクタス/負けざる者たち」では主演のモーガン・フリーマンに監督依頼され、作家性を打ち消した雇われ監督のようなそつない仕事をこなした辺りで、私の中でイーストウッド監督作品への不安を感じていたのだが、本作は監督のジャンル外のスピリチャルドラマに初挑戦した訳で、吉と出るか凶と出るかとなると完全にである。

以下ネタばれ注意
 本作は「グラントリノ」で描かれた監督の死生観から一歩踏み込んだ、現世と来世を描いた物語である。バリ島の津波で生死を彷徨ったパリで活躍するジャーナリスのマリーと、サンフランシスコで霊媒師として活躍したジョージと、事故で双子の兄を亡くしたロンドンのマーカスという、3人の主人公の物語が並行して描かれる訳だが、本作は構成に難がある。まず、物語冒頭にマリーが巻き込まれるバリ島の津波襲来が凄まじいド迫力映像でダイナミックに描かれる。

 このパターンはスピルバーグが大好きな掴みのシークエンスパターンで、スピルバーグ監督「JAWS」や「インディ・ジョーンズ」シリーズ、彼がプロデュースした「ツイスター」など、冒頭にド派手なシークエンスを用意して観客の心を鷲づかみにする。本作は正にこのパターンで幕を開けるのだが、物語冒頭が本作の最大のピークとなり、その後は淡々としたドラマが続き面白味が無くなってしまう。

 観客と言うものは現金な者で、オープニングに凄まじい映像を見せられると、それ以上の物
を求めてしまうものだ。先に書いたスピルバーグ監督一連の作品は見事に観客の望む映像を打出し満足させてくれた。しかし、本作はオープニングでハードルを思いっきり揚げたのはいいが、後が続かない。近年のイーストウッド映画の特徴とも言える、淡々とした贅肉をそぎ落とした枯れた音楽が流れる中、物語は3人の主人公を交互に映し出すが、どれも先の展開が読め観客が思ったとおりに物語が進行してまう。特にマーカスの兄ジェイソンの事故死のシーンや、地下鉄のシーンはありふれた展開であり、マーカスの被っていた帽子が彼の運命を左右するギミックは、まるで「ファイナル・ディスティネーション」シリーズにソックリな演出で脱力してしまった。

 似ていると言えば、元霊媒師ジョージが相手の手を触ると死者と対話できる仕組みも、デヴィッド・クローネンバーグ監督「デッドゾーン」の中で、主人公が相手の手に触るとその人物の未来が見えるギミックと似ていたり、来世の映像表現が「パッセンジャーズ」と似ているようだったし、なんか手垢の付いた演出が多く、改めて監督のビジョンの古さとセンスの悪さを痛感してしまった。

 クライマックスのブックフェアもあまりにも都合良く、パリやサンフランシスコに住む主人公がロンドンに集まるのも不自然であり、ラストの幕引きもイメージ先行で漠然と終わってしまうのもイマイチだ。まぁ、このラストの解釈も頑なに誰とも握手をしなかったジョージが進んでマリーと握手したのを見ると、一度死の淵を彷徨った者同士心が繋がったと解釈すればいいのだろうか?もっとスピリチュアル物や、ファンタジー物に精通している監督が演出すればもう少しマシなドラマが描けたはずだ。なんかイーストウッド監督作品という事で、期待し過ぎた自分が駄目だったのか拍子抜けしてしまった作品であった。

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最終更新日  2011.02.11 17:50:31
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2011.02.05

映画「ナルニア国物語/第3章:アスラン王と魔法の島」@TOHOシネマズ川崎
[ 試写会2011 ]    

 客入りはスクリーン前方3列以外満席、試写会の主権はTOHOシネマズさんだ。
   
   
【送料無料】「ナルニア国物語 第3章アスラン王と魔法の島」オリジナル・サウンドトラック
   映画の話
 ペべンシー兄妹は大嫌いな従兄のユースチスの家に預けられるが、壁に掛かった帆船ドーン・トレダー号の絵の中に吸い込まれ、再びナルニアの国へ。兄妹は、親友のカスピアン王子(ベン・バーンズ)とネズミ戦士のリープチープと再会を果たし、ナルニアの東の果てへと再び冒険の旅に出ることになるが、行く手にはさまざまな困難が待ち受けていた。

   映画の感想
 前2作と監督も変わり、より人間ドラマに厚みが出てラストは不覚にも涙が溢れてしまった。監督は「アガサ/愛の失踪事件」(78年)から「007/ワールド・イズ・ノット・イナフ」(99年)など、あらゆるジャンルをオールマイティに演出するイギリス出身の監督マイケル・アプテッドだ。音楽も「007」繋がりでイギリス出身の作曲家デイヴィッド・アーノルドに変更されている。配給、製作もディズニーから20世紀フォックスに変更されていて驚いた。上映時間も1作目が140分、2作目が150分に対して本作は113分と前2作と比べるとコンパクトになっている。物語は当然だが前作と繋がっているので未見の方は予習は必至である。

 今回はペベンシー兄弟の長男ピーターと長女スーザンはアメリカ滞在中という設定の為に顔見せ程度の脇役となり、次男エドマンドと次女ルーシーが物語を牽引し、二人が預けられている家のいとこユースチスがサブキャラとなり活躍する。本作は児童文学が原作の為に前2作は割と優等生的な仕上がっていたが、今回はエドマンドもルーシーも成長し人間の内面に焦点があてられ、いとこのユースチスのひねくれぶりが物語のアクセントになっていて面白い。彼の言動はちょっと日本テレビコレってアリですか?」の中で、オードリー若林が演じる“モンスターヒラタ”と共通するひねくれ者で意地悪な少年と言うのが本作のポイントで、優等生的な作品世界に彼の存在が際立つ。

   以下ネタばれ注意

 物語の導入はサラリとしたものであるが、ペベンシー兄弟が暮らす壁に飾られた船の絵から水が溢れ出し、ナルニアの海に導かれる導入部は非常に上手い。あっという間にナルニアの海に辿りついたペベンシー兄弟は、前作で活躍したカスピアン王に救われ彼と共に帆船“朝ぴらき丸”に乗船し、光を奪われたナルニアを救う為に、アスランのテーブルに並べる剣を求めて島々を航海に出ると言うファンタジー小説の王道を行く設定だ。前作で王子だったカスピアンも王となり、髭まで蓄え男臭いイメチェンを図っている。

 本作のポイントは人間の持つ様々な欲が主人公達の冒険を妨げる。ルーシーは美しい姉に対する劣等感や妬みであったり、エドマンドは出世欲と言うのか、いつも2番手と言う自分の存在が気に入らない。兄のピーターに対してもそうだし、カスピアンとは対立関係になってしまったり、白い魔女に操られそうになったりで、ぐらぐらと揺れるエドマンドの内面心理は思わず共感してしまう。ユースチスに至っては強欲に駆られてドラゴンになってしまう。本作はユースチスがドラゴンに変身した以降が作品のピークとなり、大迫力のクライマックスを迎える。

 人間の恐怖心理を現実化する霧のシーンは「ゴーストバスターズ」の“マシュマロマン”や、「NECK【ネック】」に登場する“ネック・マシーン”が生み出す妄想の産物と同じ発想だ。本作の妄想の産物は巨大な海蛇の姿となり、主人公達の乗船する朝びらき丸に襲い掛かる。巨大海蛇のデザインは、どこかスティーブン・ソマーズ監督「ザ・グリード」に登場するモンスターに似ている。巨大海蛇とドラゴンのバトルや、帆船と巨大海蛇とのバトルは、今は亡きストップモーションアニメの神様レイ・ハリーハウゼンが手がけた数々のモンスターと人間の対決を思い出し、私のテンションもあがる。

 数々の冒険を終え、最終地点で主人公達を迎えるのがライオンの姿をしたアスランだ。CGのクオリティの進歩でアスランの毛並みは素晴らしい。主人公とアスランとの別れは、王道だがスピルバーグ監督「E.T.」と共通するもので、アブネッド監督のストレートな演出で素直に涙が溢れてしまった。05年に始まったシリーズも制作会社や監督が変わったが、ハイクオリティなファンタジー作品として健在だ、良質な作品だけに是非お子さんにも見せてあげたい。

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最終更新日  2011.02.06 13:57:22
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2011.02.03

映画「ザ・タウン」@ヤクルトホール
[ 試写会2011 ]    

 客入りは7割ほど、試写会の主権はAXNさんだ。

   
★ベン・アフレック監督、最新作★[初版・映画ポスター] ザ・タウン (THE TOWN) [DS]
 映画の話
 綿密な計画を立て、ある銀行を襲撃したプロの銀行強盗一味のリーダー、ダグ(ベン・アフレック)は、思わぬ事態から支店長のクレア(レベッカ・ホール)を人質に。その後クレアは無事解放されるが、強盗たちの影におびえる日々を過ごす。そんな中、彼女は魅力的な男性に出会うが、その男性こそが自分を人質にしたダグだった。

 映画の感想
 私はベン・アフレック監督作品を見るのは初めてであるが中々骨太な力作に仕上がっている。しかし、監督、脚本、主演を努めたアフレックが結局は美味しい所を持っていってしまった印象で、甘さを残した幕切れに若干不満が残る作品である。その結果、アフレックの相棒役を演じ徹底的に悪に徹したジェレミー・レナーの非情ぶりが際立ちアカデミー助演男優賞にノミネートされるのも納得であり、アフレックにとっては誤算だったかもしれない。

 物語は強盗が家業とされるボストンの町で暮らす男達が、完璧にこなした銀行強盗で人質を取った事が誤算で思わぬ事態に陥ってゆく過程が描かれる訳で、映画は始まって直ぐに銀行強盗シーンからの幕開けとなる。彼らには自分達のポリシーがあり、強盗の際に誰一人傷つけることを避けている。かなり手の込んだ妖怪の様なマスクを被り、時間式の金庫からまんまと現金を奪うが、この日に限って女性支店長クレアを人質にとってしまう。強盗たちは逃走後に支店長を解放されるが、彼女が同じ街に住む住民だと知り強盗を行ったダグたちは、彼女の言動が気になり監視を始める。

まぁ、本作は一時の快進撃が嘘の様に寂しい状態になってしまった、ベン・アフレックにとっては再起を掛けた作品になるのだろう。アフレックと言えば友人のマット・デイモンがいる訳で、デイモンの方は役者として頭角を現しまくりで主演作が次々と公開されている。そんなデイモンの快進撃をアフレックが気にしていないはずが無い。そこで本作でアフレックは監督、脚本、主演と言う特権を生かし一番美味しい役をチョイスしたはずた。そんな意地悪な目線で本作を見るとアフレックの演じるダグは八方美人と言うのか、仲間には崇高な理念を掲げながらも、ちゃっかり本人は女支店長とはヨロシクやっている優柔不断男になってしまっているが、本人は結構この役を楽しんでいるふしを感じてしまった。

   以下ネタばれ注意

 本作のダグを見ると結構詰めが甘いのが気になる。彼女の前ではただの工事作業員のはずが、やたら犯罪の知識があり、知らないはずの彼女の愛車の車種まで知っていたり、まったくダメダメな男で、彼女のデート中も相方ジェムに見つかりシドロモドロになってしまったりで見ている観客が冷や冷やしてしまう始末である。この彼女とカフェデートシーンで一瞬ダグが空を飛ぶ飛行機を見つめるシーンと、映画冒頭で人質になったクレアが開放された後に頭上に飛行機が通過するショットがあったが、これは飛行機が彼らにとって逃避願望の象徴なのだろう。“タウン”と呼ばれる行き場の無い街で暮らす二人は、早くこの現実から抜け出したいと思っている心理を端的に上手く描いたシーンである。

 本作はアクションシーンも見所だ。冒頭の銀行強盗、中盤の現金輸送車襲撃~カーアクション、クライマックスの野球場からの現金強奪、どれを取っても超一級なアクションに仕上がっている。中でもクライマックスに警察に包囲された後、FBIとの銃撃戦で仲間を失い、ダグとジェムが地元警察官に変装してFBIの包囲網を逃れるシーンで、FBI捜査官フローリーに逃亡中のジェムが発見され、銃撃戦にもつれ込み、その銃撃戦をダグが傍観者となるシーンが出てくるが、このシーンが不思議な事に私の大好きな日本映画「新幹線大爆破」の構図とそっくりなのには驚いた。「新幹線大爆破」では、警察に見つかった犯人が建物を包囲され爆弾で応戦するが、逃げ切れず事件現場で傍観者となった主犯格の高倉健の目の前で爆死する、と言った構成が本作とそっくりで不思議なデジャヴを味わってしまった。まさかアフレックも海外公開版の「新幹線大爆破」が見ていたのかな?

 本作はクライムアクションとしてよく出来ている。しかし先にも書いたが物語の締め方が甘い。結局ダグが所属していた強盗組織は全滅するが、ちゃっかりダグだけが生き残り、別天地で余生を送る甘いラストには私は不満である。私の希望では最終的にダグは彼女が手入れする庭に大金を埋め、逃亡途中でFBIに見つかり死んでくれれば、クライムアクションとして傑作になったはずだが、原作どおりなのかもしれないが、ダグが生き残った事で作品がどこか綺麗事になってしまったのが惜しい。先ごろ亡くなったピート・ポスルスウエイトや、クリス・クーパーの好演も、ちゃっかり者のアフレックに美味しい所を持っていかれてしまったのが残念である。
 
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TREview

最終更新日  2011.02.06 19:33:56
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