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テーマ:辛口映画批評(354)
カテゴリ:マスコミ試写
築地の松竹試写室にて「怪談」を鑑賞した。
映画の話 怪談 通常版/尾上菊之助(五代目)[DVD] 時は江戸時代。煙草売りの新吉は、美しい三味線の師匠・豊志賀と巡りあい、瞬く間に激しい恋に落ちる。実は2人の出会いは、親同士の因果な関係と深くつながっていた。やがて新吉と豊志賀の身に不幸な運命が訪れる。 「リング」シリーズで知られる中田秀夫が、ハリウッドデビューした「ザ・リング2」以来の日本凱旋帰国作に選んだのは何と、三遊亭円朝の古典落語「真景累ヶ淵」を原作にした「怪談」である。 映画は、随分昔のくすんだ松竹のロゴマークで幕を開けて、人間国宝の一龍斎貞水が語り部として登場して舞台劇を模した書割のセットの中、過去の因縁が白黒映像で始まる大胆な構成で映画の世界に引き込まれる。 そして、過去の因縁を背負った二人の男女が出会ってしまい悲劇が訪れる・・・。 映画の感想 うん、これは面白い!まず主役の新吉を演じた尾上菊之助をキャスティングした段階でこの作品は成功していた!人気タレントを使わず、手垢の付いていない歌舞伎界のプリンスを起用した事により、江戸時代の人の侘び寂びを思わせる立ち振る舞いや佇まいを感じさせる役柄にピタリとハマリ、映画の世界観にリアリティを醸し出している。 そして豪華な女優陣もいい!新吉を慕い、女の情念、嫉妬、怨念をエロティシズムを感じさせる豊志賀を演じた黒木瞳も良いし、その妹を演じた木村多江、新吉を好いてしまう町娘の井上真央、新吉の後妻となる麻生久美子、新吉をゆする女を瀬戸朝香など皆イイ。 中田秀夫の演出も美しい江戸時代の風景を再現した美術の中、相変わらずの淡々としたものであるが、恐怖演出は冴えている。不意に訪れるショックシーンにはドッキリとさせられるだろう。ハリウッドで身につけたCG技術も随所に導入されて、古風な怪談話も一気に現代流アプローチに変わるのも面白い。 古典落語も調理のしようによって現代でも十分通用する事を証明してくれた作品であり個人的には大好きな作品であるが、最後に流れる歌が余韻を台無しにしてしまうのが残念だった。 映画「怪談」の関連商品はコチラをクリック。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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